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生前の医療費などの立て替えでも相続放棄はできなくなる?

【死亡後に】被相続人に対して請求された医療費や公共料金を相続人が支払ってしまうと、相続放棄が出来なくなると聞いたことがあります。

すると、被相続人が【生前に】請求された医療費を、被相続人が生きている間に相続人が立て替えしていた場合も、相続放棄が出来なくなるのでしょうか?

【生前】の場合はセーフでしょうか?

実は、一昨年、私が入院中で意識が無かった時に、親が変わりに医療費を立て替えしてくれていました。私はその頃、レバレッジのかかった金融商品を保有しており、もし借金を残したまま亡くなっていたとしたら、親が相続放棄ができずに私の借金を背負わせていたかと思うとゾッとしました。

税理士の回答

 ご相談については、税法上の問題ではなく民法上の相続についての問題ですので税理士として詳しい意見は差し控えさせて頂きますが、一部に誤認があるものと考えます。
 被相続人が亡くなった後に、入院費等の医療費について請求書がくることがありますが、どのように支払ったかによって相続の判断が分かれます。
 入院中に死亡して退院することを「死亡退院」と言いますが、後日入院費の請求がされたときに、相続人が被相続人の預金を解約して被相続人の入院費の支払いに充てると、相続放棄ができなくなる可能性があります。これは、被相続人の預金を解約して支払いに充てたことで、相続財産を処分したことになり、法律上相続を「単純承認」したものとみなされるためです。
 一方で、同じように入院費を病院から請求されて支払っていても、相続人が自分の預金口座からて支払いに充てた場合は相続放棄をすることができます。これは上記と異なり、被相続人の預金を解約するなどの財産処分を行っていないためです。
 被相続人が亡くなると相続人は、単純承認、相続放棄、限定承認のいずれかの相続方法を選びます。単純承認は、プラスの財産もマイナスの財産(借入金等の負債)もすべて相続することです。法定単純承認とは、法律で規定された一定の行為をすると、相続を単純承認したものとみなされるという制度で、相続放棄ができなくなります。
 法定単純承認にあたると考えられる行為としては、例えば相続人が相続財産を処分した場合などは、相続を単純承認したものとみなされます。
 上記の内容はあくまでの相続発生時の相続財産の処分に係るものであり、相続前の支出の負担の有無については関係ないものと考えます。ですから「被相続人が【生前に】請求された医療費を、被相続人が生きている間に相続人が立て替えしていた場合」つまり「【生前】の場合はセーフ」と思われます。
 いずれの場合もご自分で負担されたのであれば問題ないものとお考えください。

ご丁寧に細かく教えてくださりありがとうございます。とても良く理解できました。

本投稿は、2023年04月28日 13時40分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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