「土地の無償返還に関するの届出」をした土地の相続時の「小規模宅地等の特例」の適用の可否について
私(長男)の両親が共有で所有する土地の上にある建物(6割を両親の住宅、4割を貸工場として使用)を私の妻が代表の法人(両親は役員となっていません)で所有して、「土地の無償返還に関する届出(借地権としていて、固定資産税の3倍以上の地代を両親に払っています)」を税務署に提出しています。また、敷地の一部を駐車場としても貸しています。敷地面積は、180平米です。両親も高齢なため、亡くなった際の土地に関する相続税の評価額について知りたく質問させていただきました。「貸付事業用地として小規模宅地等の特例(50%減額)」の適用はされるのでしょうか?よろしくお願いいたします。
税理士の回答

川村真吾
「貸付事業用地として小規模宅地等の特例(50%減額)」の適用はされます。
ご回答ありがとうございます。土地の所有者でもなく、また相続人でもない親族が代表を務める法人が所有する建物で「土地の無償返還に関する届出書」を提出している点が引っ掛かっていたため、50%減額の適用となるとのことで安心しました。
1点疑問が生じましたので、追加でお聞きいたします。上記ケースでは、以下のように減額を併用することも可能なのでしょうか?
土地を賃貸借契約としていますので、土地の相続税評価額を貸宅地として自用地評価額から20%減額し、また、貸付事業用宅地等として小規模宅地の特例50%減額を併せて適用する。
自用地評価額を5,000万円とすると、評価額は2,000万円となる。(5,000万円✕0.8✕0.5=2,000万円)
以上、よろしくお願いいたします。

川村真吾
無償返還の届け出は借地権課税をしないために借地権をゼロとみなす制度なので底地評価は自用地100-借地権0=100となります。
再度のご回答ありがとうございます。
以下の①の記載に、「無償返還の届出書を提出していても、地代を収受している場合は、自用地価額の80%を土地の評価額とします」とありましたので、20%の減額がされるものと思いました。
①「無償返還の届出書を提出した際の土地の相続税評価額」
土地の無償返還の届出書を提出している土地の相続税評価額は、相続税の個別通達『相当の地代を支払っている場合等のについての相続税及び贈与税の取扱いについて』に基づいて計算します。
届出書の対象となる土地に係る借地権の価額は、ゼロと規定されているため、土地を貸し付けていたとしても、借地権相当額は差し引きません。
しかし、地代を収受している場合においては、自用地価額の80%を土地の評価額とします。
土地の評価額が20%下がる理由としては、借地権の価額がゼロであっても、実質的に土地の利用制限があることなどを評価上考慮されていると考えられています。
以下の②の記載もありましたので、参考に掲載します。
20%減額(土地の無償返還に関する届出がされていて、かつ、借地権が設定されている土地」)と50%減額(貸付事業用地として小規模宅地等の特例)の併用は可能なように思われますが、いかがでしょうか?
②「土地の無償返還に関する届出書が提出されている場合の貸宅地・借地権の評価」
相当地代通達(一部抜粋)
(「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の貸宅地の評価)
8 借地権が設定されている土地について、無償返還届出書が提出されている場合の当該土地に係る貸宅地の価額は、当該土地の自用地としての価額の100分の80に相当する金額によって評価する。
なお、被相続人が同族関係者となっている同族会社に対し土地を貸し付けている場合には、43年直資3-22通達の適用があることに留意する。この場合において、同通達中「相当の地代を収受している」とあるのは「「土地の無償返還に関する届出書」の提出されている」と読み替えるものとする。
(注) 使用貸借に係る土地について無償返還届出書が提出されている場合の当該土地に係る貸宅地の価額は、当該土地の自用地としての価額によって評価するのであるから留意する。

川村真吾
貴殿意見で正しいと思います。失礼しました。併用は可能と思います。
早々にご回答ありがとうございます。
色々調べてみたものの、記載者により内容がまちまちで、何が正しいのか確証が持てず、こちらのサイトに質問させていただきました。川村様に何度も確認の上ご回答いただけて大変助かりました。
本投稿は、2025年05月24日 19時00分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。