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相続時精算課税制度について

父から娘(私)へ相続時精算課税制度を利用し、賃貸アパートと保険契約を相続予定です。相続時精算課税制度を利用後 父の死後の相続は放棄を希望しています、相続人は私を含め兄妹4人おります。非課税枠:2,500万円、年間110万円の基礎控除以上の資産の受け取りになる場合、一旦贈与税を支払うことで検討中です。
<質問>
①上記のケースで相続時精算課税制度を利用し資産を受け取り、父の死後は相続放棄する予定です。今後支払う相続税額を確定することは可能でしょうか。
②父の生命保険 受取人が兄妹それぞれに一千万円ずつあります。受取人が複数人でも相続時精算課税制度を利用可能でしょうか。また相続時精算課税制度を利用後に相続放棄した場合でも生命保険を受け取ることは可能でしょうか。

税理士の回答

①について:相続税額を今確定できるか
結論から言うと、現時点で「確定額」を出すことはできませんが、理由は単に将来の変動要素があるからだけでなく、そもそも「相続放棄をすれば精算課税分の相続税もゼロにできる」という前提自体が成り立たない点に注意が必要です。
相続放棄をしても精算課税適用財産は課税対象から外れない
相続税法21条の16により、相続時精算課税適用者が特定贈与者(父)から相続または遺贈により財産を取得しなかった場合(相続放棄をした場合を含む)であっても、精算課税の適用を受けた贈与財産は、その特定贈与者から相続により取得したものとみなして相続税の計算に算入されます。
つまり、
相続放棄をしても「相続人」ではなくなるだけで、
精算課税適用者としての相続税の納税義務は消えません。
生前に受けた贈与(アパート・保険契約)の価額は、父死亡時にそのまま相続税の課税価格に加算され、対応する相続税を負担する必要があります(既に納めた贈与税額は相続税額から控除、超過分は還付されます)。
確定できない理由(変動要素)
・父の死亡時点での遺産総額(その他資産の増減)
・法定相続人の数、各人の取得状況による相続税総額の按分
・生命保険金の受取状況(②参照)
・相続開始時期や、それまでの税制改正の可能性
これらが確定するのは相続開始時のため、今できるのは試算(シミュレーション)までです。

②について
受取人が複数でも精算課税制度は利用可能
生命保険の死亡保険金受取人の設定(兄妹各1,000万円ずつ)と、父からの生前贈与について相続時精算課税を選択するかどうかは、別の制度・別の財産に関する話です。受取人が何人いようと、贈与を受ける方(あなた)が特定贈与者(父)からの贈与について精算課税を選択することとは無関係に成立します。
なお念のため確認したいのは、「保険契約を相続予定」という部分が、死亡保険金受取人の話とは別に、保険契約自体(契約者の地位)を生前贈与するという意味であれば、それは解約返戻金相当額等で評価した別個の贈与財産となり、これも精算課税の対象にできます。この場合も、死亡保険金の受取人設定とは独立した話です。
相続放棄後も死亡保険金は受け取れるが、非課税枠は使えない
死亡保険金は民法上の相続財産ではなく、受取人固有の権利(保険契約に基づく請求権)であるため、相続放棄をしても受取人に指定されていれば保険金自体は受け取れます。
ただし相続税法上は「みなし相続財産」として課税対象になり、かつ非課税枠(500万円×法定相続人の数)は「相続人」に対してのみ適用されるため(相続税法12条1項5号)、相続放棄した人はこの非課税枠を自分の受取分に使えません。
非課税枠の総額(500万円×4人=2,000万円)を計算する際の「法定相続人の数」には、放棄したあなたも含めてカウントします。
ただしその2,000万円は、放棄していない兄妹3人の受取分の間でのみ按分されます。
あなたが受け取る1,000万円には非課税枠が一切適用されず、全額が相続税の課税価格に算入されます。
まとめると
あなたの受け取り分に関しては、相続放棄をしても
精算課税適用のアパート等の贈与財産分 → 課税対象のまま(21条の16)
受け取る死亡保険金1,000万円 → 非課税枠なしで全額課税対象
の両方について相続税の納税義務が残ります。放棄によって軽減されるのは、あくまで「本来の相続財産(父名義のその他の遺産)を相続分として取得する権利」の部分だけです。この前提を踏まえてシミュレーションされることをお勧めします。

丁寧なご説明ありがとうございます、納得感を持つことができました。
十分に検討し手続き進めたいと思います。

<追加質問になります>
相続した賃貸アパートについて
相続時精算課税制度利用後の売却する場合と、相続時精算課税制度利用後に父が逝去し相続税支払い後に売却する場合、双方のメリット、デメリットがありましたらご教示頂きたいです。

まず共通する点として、所得税法60条により、贈与で取得した資産を譲渡した場合の取得費・取得時期は、贈与者(父)が取得した時の価額・時期をそのまま引き継ぎます。これは相続で取得した場合も同様です。したがって、売却のタイミングをA・Bどちらにしても、長期譲渡所得(所有期間5年超・税率約20.315%)か短期譲渡所得(5年以下・約39.63%)かの判定自体は変わりません(父の元々の取得時期次第)。
両者で本質的に差が出るのは、以下の②の「取得費加算の特例」の適用可否です。
A. 精算課税で贈与を受けた後、父の生前に売却する場合
メリット
現時点の評価額で利益を確定でき、将来の市場変動リスク(値下がり)を回避できる
売却代金を早期に現金化でき、既に納めた贈与税(20%課税分)の資金繰りや他の用途に充当しやすい
賃貸経営(空室・修繕・管理負担)から早期に解放される
なお、相続税の課税価格に算入される金額は「贈与時点の評価額」で既に固定されているため(21条の16)、売却後に物件価格が上下しても、将来の相続税額には影響しません。この点は売却してもしなくても同じです。
デメリット
相続税額の取得費加算の特例(措置法39条)が使えません。 この特例は「特定贈与者の相続開始日の翌日から3年10か月以内」に譲渡した場合に適用されるものなので、父の生前に売却すると要件を満たさず、将来の相続税額を取得費に加算して譲渡所得税を軽減する、という選択肢を失います。
継続保有していれば得られたはずの賃貸収入(インカムゲイン)や、減価償却費による所得税の節税効果を失います。
B. 父の死亡後、相続税を支払ってから売却する場合
メリット
取得費加算の特例(措置法39条)が使える可能性があります。 相続時精算課税適用財産は、特定贈与者の相続開始日の翌日から3年10か月以内に譲渡すれば、その財産に対応する相続税額を取得費に加算でき、譲渡所得税を軽減できます(この特例は相続放棄をしていても、精算課税適用者として相続税を負担していれば適用対象になります)。
それまでの間、賃貸収入を得られ、減価償却費による所得税の節税効果も継続します。
デメリット
保有期間中の市場変動リスク(値下がり)・修繕費・空室リスク等の経営負担が続きます。
相続税の納税資金を別途用意する必要があります。 アパートを保有したまま相続税(21条の16の"みなし相続"分)を納めるため、現金等で納税資金を確保できないと、延納や物納の検討が必要になる可能性があります。
特例の適用には申告期限(10か月)+3年、計3年10か月以内という期限の制約があり、また父の死亡時期自体が予測できないため、計画が立てにくい面があります。

詳細で分かりやすい ご説明ありがとうございます。
確実な予定を立てれるものでないですが、内容を精査して相続の準備を進めたいと思います。
ご回答に感謝いたします。

お役に立てれば幸いです。納得のいくプランが出来れば良いですね。

本投稿は、2026年09月07日 12時03分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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