被相続人が負担していた家族分の国民健康保険
被相続人は後期高齢者医療保険の加入者でしたが、死亡日の3日後に被相続人の口座から家族分の国民健康保険料が引き落とされました。これは債務控除の対象となるのでしょうか。
税理士の回答
荒川直宙
結論から申し上げますと、亡くなられたご親族(被相続人)が「世帯主」であった場合は、死亡後に引き落とされた家族分の国民健康保険料も債務控除(相続税法第13条)の対象になります。
被相続人本人が後期高齢者医療保険に加入していたとしても結論は変わりません。理由と確認すべきポイントについて解説いたします。
【1】なぜ「家族分」なのに被相続人の債務(公課)になるのか
国民健康保険法第76条第1項により、国民健康保険料の法律上の納付義務者は「世帯主」と定められています(世帯主課税)。
たとえ被相続人本人が75歳以上などで「後期高齢者医療制度」に加入しており、国保の加入者自身はご家族だけであったとしても、被相続人が世帯主である限り、法律上の納付義務はすべて世帯主である被相続人に課されます。
したがって、ご家族の国保料であっても被相続人自身の公課(確定債務)となり、相続税の計算上、遺産総額から差し引く(債務控除する)ことができます。
【2】死亡後の引き落としと相続税申告の手続き
① 死亡日時点の預金残高と債務控除の関係
相続財産としての預金残高は「死亡日当日」の残高で評価します。死亡日の3日後に引き落とされた保険料は、死亡日時点の残高にはまだ反映されていない(引かれていない)ため、申告書上で「債務(公課)」として記載し、遺産額から控除します。
② 債務控除の対象となる期間(納期)の確認
死亡日時点で既に納期限が到来していた分、または死亡月以前の算定期間に対応する確定した保険料であれば、問題なく全額債務控除できます。
【3】注意が必要なケース(世帯主が被相続人でない場合)
もし、世帯主が別のご家族(例えば長男など)で、単に口座振替の指定口座だけを被相続人の口座にしていた場合は注意が必要です。
この場合は法律上の納付義務者が被相続人ではないため、原則として債務控除の対象にはならず、「被相続人が家族の保険料を立て替えた(立替金)」などの扱いになってしまいます。まずは「被相続人が世帯主であったか」をご確認ください。
【4】まとめ
被相続人が世帯主であったならば、死亡後に引き落とされた家族分の国保料は被相続人自身の確実な債務(公課)となりますので、通知書や口座通帳の記帳履歴を保存の上、忘れずに債務控除として計上してください。
ご参考にしていただけましたら幸いです。
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本投稿は、2026年09月28日 15時23分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







