死亡した母の預貯金の取扱いについて
母が昨年6月に突然他界しました。遺言書もなく、相続税を支払うほどの資産も持ち合わせていませんでした。そのため、認知症の父を老人ホームに入居させる資金を母の預貯金から捻出しようと考えました。銀行および信用金庫に聞いたところ、遺産分割協議書はなくても、私と父と弟の3人の実印、戸籍謄本等の書類を揃えれば問題ないとのことだったので、計約20百万円の支払いを行い、3百万円は父の口座に、残額の17百万円は私の口座に入金しました。しかしながら、結局、父を費用がさほどかからない老人ホームに入居させることができたため、このお金は必要ないこととなりました。本来なら、この段階で母の遺産分割協議を行えばよいのですが、司法書士の先生に相談したところ、認知症の父は判断能力に欠けるため、父が亡くなったときに母の分も含めて相続するようにと言われました。また、既に支払済の母の預貯金については、父の口座に入金した3百万円は絶対に使わないこと、私の口座に入金した17百万円は、別口座(被相続人:母の名前、相続人代表:私の名前で口座開設)を開設のうえ、そちらに移すように指導され、併せて、銀行および信用金庫から支払を行った書類は必ず保管しておくように厳命されました。
最近ですが、父が亡くなった際には、ぎりぎり相続税がかかる程度の資産があることが判明しました。そのため、父の口座に入金した3百万円は、父の資産ではなく、母の資産であることから、税理士の先生には、この3百万円は、父の口座から減額して相続税の計算を行ってほしいと考えています。司法書士の先生は、税理士の先生が減額してくれるから問題ないと言っていましたが、この考えで正しいのでしょうか?
なお、母の相続財産は、自宅の1/4(約5百万円)と預貯金約20百万円であり、相続税がかかるほど持ち合わせていません。
税理士の回答

ご回答させて頂きます。
その考え方は税務的には問題があると考えられます。
お母様相続時にお父様の意思判断能力があれば、お父様はお母様の財産を何も相続しないという遺産分割を行い、お父様の固有の財産のみで相続税の申告を行うことができましたが、
お母さま相続時にお父様の意思判断能力がなかったのであれば、原則的にはお母様の財産の法定相続分(配偶者は2分の1)の財産を含めたところで、お父様の相続申告するのが適正な申告方法となります。
上記はあくまで原則論の取り扱いとなります。
とあるサイトには「これに対して、一次相続の遺産分割が、二次相続にかかる相続税の申告までに行われていない場合には、一次相続にかかる未分割財産のうち、乙の法定相続分である2分の1が乙の相続財産として、相続税の課税の対象となります。」と書かれていることから、これを参考にして、母の遺産分割協議書を作成する際に、父の取り分を「ZERO」としています。この遺産分割協議書にもとづき、父の口座に入金した母の3百万円も、私の相続預金であることから名義預金として減額するよう税理士の先生に依頼しました。もちろん、父の相続税の申告期限日までに実施しているので問題ないと思いますが。問題あるのでしょうか?

ご回答させて頂きます。
ご回答させて頂きました内容はあくまで原則論です。
認知症の方は原則、法律行為をできませんので、仮にお母様の分割協議をする際は、
家庭裁判所で分割協議に関する特別代理人を選任し、
その代理人を交えて分割協議を行うので、お父様は必ず法定相続分を取得することとなります。
ただし、実務的には相続人間の関係や財産の多寡などを斟酌し、
お父様が同意したとしてご相談者様のような対応をとることは往々にしてありますので、
全く問題がないわけではありませんが、実務的にはよくあることです。
実は私の家は、西東京市泉町にあります。今回、ご相談させていただいた内容も、東町の司法書士の方からアドバイスを受けて実行に移したのですが、西東京市の無料相談で相談した税理士の方は、異なった見解を述べていました。そのため、ちょっと不安になり税理士ドットコム様に相談させていただきました。また、私の父は軽度の認知症だったので、司法書士の方より裁判所が「成年後見人」を認めるレベルではないため、このままの状態であれば、母の相続は父の死後にした方がよいと言われました。実際は父が本年3月に他界したため、母と父の相続を同時に行い、母の相続においては、父の取り分を「ZERO円」とする遺産分割協議書を作成しました。(遺産分割協議書は、もちろん司法書士が作成した。)その後、東伏見の税理士の方に父の相続税の申告を依頼しました。母から父への相続を「ZERO円」としたことで、父の相続財産が減少し、かつ小規模宅地の特例を使用したことから、相続税の申告額が「ZERO円」となっています。
最後になりますが、この相続方法につきまして、東村山の税務署から文句を言われることはあるのでしょうか? その1点だけ教えていただけると幸いです。

ご回答させていただきます。
年末年始の休業期間に入りご回答が遅くなってしまいまして申し訳ございません。
結論から申し上げますと、問題ないと考えられます。
私も他のご相談内容と混同していたところがありまして、回答に誤りがありました。
申し訳ございませんでした。
相続税法基本通達19の2-5をご覧ください。
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/02/06.htm#a-19_2_5
直接言及したものではありませんが、逆を考えると、お父様が財産を取得していなければ、
配偶者の軽減は使えないが、その分割方法を認めるということが推測されます。
よろしくお願い致します。
年末年始にもかかわらず、ご回答ありがとうございました。お名前を存じ上げなかったのですが、西東京市の方なので、もう少し早くお名前を知っていれば、私の父の相続税の申告をお願いしたかもしれません。少し残念です。なお、私の父は昨年2月28日に亡くなったため、昨年12月27日に東村山税務署に相続税が「ZERO円」である旨の申告を完了しています。(もちろん、東伏見の税理士の方が申告しました。)
本投稿は、2016年02月17日 12時57分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。