家賃収入における事業承継費用の相殺処理についてお尋ねしたい
今回、法人の事業承継を行いました。前理事長が家主となり、賃貸物件として現施設の賃料を支払う形での営業継続を行っていますが、事業承継に係る純資産の組み入れに関して、承継後に数百万円の超過支払いが前理事長に渡っていたことが判明しました。
この超過支払金の精算に関して、法人から前理事長へ毎月支払っている現在の家賃から、数ヶ月にわたって分割で相殺処理することは、税務上の問題はございますでしょうか?
また、問題となり税務調査などが行われた場合、この相殺処理に合意した現法人にも何らかのペナルティを課される可能性はあるのでしょうか。ご教示いただけますと幸いです。
税理士の回答
事業承継に伴う前理事長への超過支払金を、今後の家賃から分割で相殺することに関するご質問について以下回答させて頂きます。
1、相殺処理に関する税務上の問題点
超過支払金(法人側の返還請求権)と未払家賃(法人側の債務)を分割相殺すること自体は民法上可能ですが、税務調査では以下の点が問われる可能性があるかと存じます。
●超過支払金の実態認定: この超過分が単なる「計算誤りによる未収入金(返還金)」ではなく、前理事長への「実質的な退職慰労金」や「寄附金」として意図的に支払われたものではないか、という点。
●相殺の明確な文書化: 口頭や帳簿上のみで相殺を行っていると、単なる「家賃の未払い」および「前理事長への資金流出(貸付等)」とみなされる恐れがあります。
必ず両者間で相殺合意書を作成し、債権債務を相殺する旨と今後のスケジュールを法的に明確にする必要があります。
●認定利息の計上: 超過分が前理事長に対する「一時的な貸付金」と認定された場合、相殺完了までの期間について法人側で適正な利息(認定利息)を計上しなければ、その利息相当額がさらなる寄附金等として課税対象になる可能性があります。
2、現法人へのペナルティの可能性
税務調査において処理が不適切と判断された場合、相殺に合意した現法人に対して以下のペナルティが課される可能性があります。
●法人税等の追徴課税: 超過金や認定利息が「役員賞与(前理事長に実質的な影響力が残っている場合)」や「寄附金」と認定されると、損金不算入となり本税が追徴されます。
●加算税および延滞税: 追徴税額が発生すると過少申告加算税(原則10〜15%)および延滞税が課されます。
万が一、契約書を偽装するなど事実を隠蔽・仮装して利益供与を行ったと認定された場合には、より重い重加算税(35%)が課される重大なリスクがございます。
上記を勘案し、税務リスクを最小限に抑えるためには、超過支払いの原因と返還義務を明確にする取締役会議事録等を作成し、正式な相殺契約書を締結した上で処理を進める対応が求められるかと存じます。
回答は以上となります。
ご参考になりましたら幸いです。
本投稿は、2026年10月10日 23時34分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







