発注工事費用の資産計上月、について
法人の経理担当をしております。
本社の外壁工事(費用の見積額は、税抜30万円)が本年10月下旬に完了したのですが、請求額が確定しない(発注先から請求書が届かない)ため、10月の計上(固定資産に計上予定)に間に合わない可能性があり、間に合わない場合、11月に計上しようと考えています。
発注先には請求書を催促し、ギリギリまで待とうとは思いますが、それでも10月に間に合わず、11月に計上した場合、税務調査などで指摘される可能性は高いでしょうか。
※ 弊社の決算月は、「12月」、となっています。
税理士の回答
山本快夫
お世話になります。
ご質問に対する回答)
↓
工事完了→完成引渡→事業供用日から、減価償却することになります。
決算から申告期限まで、一般的には2ヶ月の期間がありますので、さすがに請求額は確定するものと考えられ、確定した金額により10月下旬の事業供用として計上することになります。
しかし、法人は、償却限度額の範囲内において、法人が償却費処理しただけが損金算入となる任意償却となっていますので、11月に固定資産登録および11月からの償却計算でも税務上は問題となりません。
なお、社内のルールにおいて、月次決算の締切を設定している場合は、何らかの工夫が必要と考えます。しかし、その場合であっても、決算および申告時には、実際の事業供用日をもとに減価償却費の計上をするケースが多いと考えます。
他の方のアドバイスも参考になさってください。少しでもご参考になりましたら幸いです。
山本快夫
税務調査などで指摘される可能性は高いでしょうか。
↓
納税者不利となるだけであり、何も指摘されません。
月次決算はともかく、例えば公認会計士監査を受ける法人であっても、実際の取得日や事業供用日により、あるべき正しい減価償却費を計上することが妥当な処理と個人的には考えます。
質問者さまの前提では12月決算とのことで、申告期限は2月または3月でしょうから、10月下旬の工事完了取引について、それまでに請求額は確定するものと一般的には考えられます。
なお、4~5ヶ月経過しても請求額が確定しない場合は、税務や会計の論点から離れて、受注者側の怠慢や遅延によって、発注者側における月次決算の遅延、予算管理の狂い、見積り計上の手間などの迷惑を被るわけで、値引を含めた重大な話に発展する可能性も有り得ると考えます。
宜しくお願い致します。
請求書の到着月と工事の取得・供用月は分けて管理するのがよいと考えられます。10月に引渡しを受け使用しているなら、契約書・見積書・完了確認から金額を確認し、月次の仮計上と確定後の精算を検討してください。12月決算では実際の供用日と取得価額を整理して償却額を確認します。外壁工事は内容により修繕費となる可能性もあるため、工事内訳を顧問税理士へ示し、資産区分も確認されるとよいでしょう。
※本回答は一般的な情報提供を目的としたものです。詳細な判断は管轄の税務署への確認や、税理士への個別相談をお願いいたします。
藤倉真人
お世話になります。
結論として、決算月(12月)より前の同じ事業年度内で10月分を11月に計上する程度であれば、法人税の所得計算への影響はごく小さく、税務調査で問題として指摘される可能性は低いと考えられます。調査で主に問題になるのは、費用や資産の計上が翌期にずれる「期ズレ」です。
理由は次のとおりです。
1. 法人税は事業年度単位で所得を計算します。10月と11月はどちらも当期に含まれるため、計上月の違いで当期の所得が大きく変わることはありません。
2. 資本的支出(建物の価値を高める支出)として固定資産に計上する場合、減価償却は事業に使い始めた日(事業供用日)から行います。工事完了の10月から使っていれば、本来の償却月数は10月からとなります(法人税法施行令第55条、第59条等)。11月からとして計算すると償却費がわずかに少なくなるだけで、所得を少なく見せる方向には働きません。ただし、固定資産台帳には事業供用日を10月と記録しておくことをおすすめします。
3. 外壁工事の内容が塗り替えなどの原状回復であれば、修繕費として一括で費用にできる場合があります(法人税基本通達7-8-2)。また、資本的支出か修繕費かはっきりしない支出のうち60万円未満のものは修繕費とすることが認められています(同通達7-8-4)。今回の30万円はこの基準内ですので、修繕費として処理する場合は計上月の問題はさらに小さくなります。
一方で、注意していただきたい点が2つあります。
・12月末までに請求書が届かない場合でも、工事が完了して支払義務が確定していれば、見積額で未払金を計上し、当期の費用または資産として処理する必要があります(同通達2-2-12参照)。請求額が見積額と違っていた場合は、確定した時点で差額を調整します。
・消費税の仕入税額控除(支払った消費税を差し引く仕組み)は、原則として工事完了日の属する課税期間で行います。控除を受けるには適格請求書(インボイス)の保存が必要ですので、申告までに必ず入手してください。課税期間の短縮(1か月ごとの申告など)を選んでいる場合は、10月の課税期間で処理する必要があります。
本投稿は、2026年10月31日 11時42分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







