開業前に取得した住宅の減価償却費について
夫名義の住宅があり(ローンにて3年前に購入)、妻の私が2ヶ月前から自宅で副業を始めております。
税務署に相談したところ、住宅や車の減価償却費を家事按分にて私の経費に計上できるとの事でしたが、
資産として(借方 建物等)開業時に仕訳はしなくてもよいのでしょうか?
せずに減価償却費だけ計上していっても問題ないのでしょうか?
税務署の方に相談しそびれてしまったのでこちらでご回答くださると幸いです。
税理士の回答
山口勝己
結論から申し上げますと、配偶者(夫)名義の住宅であっても、事業に使用している部分については減価償却費を経費として計上できますが、ご自身の会計帳簿上で「資産」として計上する必要はありません。
資産計上が不要な理由
所有権の有無: 減価償却の対象となる資産は、原則として事業主自身が所有している(所有権がある)ことが前提です。この住宅は夫名義であり、あなたの所有物ではありません。
「事業主借」勘定での処理: 生計を共にする親族の資産を事業に使用する場合、所有権は移転しません。そのため、開業時にあなたの事業の「資産」として貸借対照表(バランスシート)に計上するのではなく、夫が支払った費用(減価償却費、固定資産税、ローン利息、火災保険料など)のうち、事業に使用した分をあなたの事業の経費として計上します。
生計一親族間の特例: 生計を一つにする親族間の取引(この場合は夫から妻への「使用貸借」のような形)では、形式的な家賃の支払いは経費として認められませんが、外部に支払われる共通経費(固定資産税や減価償却費など)については、事業按分により経費計上が可能です。
具体的な経費計上の方法
取得価額と耐用年数の確認: 夫が住宅を購入した際の取得価額(建物部分のみ)と、建物の構造・用途に基づく法定耐用年数(国税庁の定めるもの)を確認します。
減価償却費の計算: 定額法や定率法などの償却方法で年間の減価償却費を計算します。
家事按分: 自宅全体の床面積のうち、事業で使用しているスペースの割合など、合理的な基準で事業用の割合(按分率)を計算します。
仕訳: 年間の減価償却費に按分率をかけた金額を、あなたの会計帳簿で「減価償却費」として経費計上します。支払いは夫が行っていますので、貸方科目は「事業主借」として処理します。
仕訳例(年間減価償却費が10万円、事業按分率30%の場合):
借方 金額 貸方 金額
減価償却費 30,000 事業主借 30,000
この処理により、資産として計上しなくても、事業に必要な経費として正しく計上できますので問題ありません。税務署の指導通りに進めていただければ大丈夫です。
とてもわかりやすく丁寧に教えて頂きありがとうございます(>_<)
税務署の方は、住宅ローンの利息分は経費にできないとおっしゃっていたのですが、車ローンの利息とともに経費にしても問題なかったでしょうか?(私も経費にできると思っておりました)
また夫の年末調整で住宅借入金控除を毎年行っております。
山口勝己
私は、事業使用分に関しては経費にしても良いと思います。
いずれにせよ、生活に使用しているものを事業として使うには、適切な按分が必要になりますから、按分ができるのであれば、利息だって必要経費になると思いますよ。
ありがとうございます‼
先生のお言葉通り、処理を行ってまいります(>_<)
山口勝己
個人事業者の一番難しいところ、悩みどころは必要経費だと思っています。生活費と共通して出ていくお金が多いですから、区分できなければ経費としては認めてもらえません。上手に区分できる方法を見つけてくださいね。
分かりました、日々勉強です、頑張ります‼
山口勝己
事業の繁栄をお祈りいたします。
ありがとうございます(>_<)
柴田博壽
去る20日付で『不動産の取得時の状況、建物の運用もご質問の内容も酷似した投函がありました。
心配でしたので、小職は以下のご回答しました。
「...住宅ローン控除の適用を受けた建物だとすれば、一部事業用に使用する訳ですから、居住部分の割合が減少し、ローン控除の適用面積が変わるというご心配はないでしょうか。」
それに対し、質問者様から次の返信がありました。
「ご回答ありがとうございます。
それでは開業時に仕訳して資産計上はしなくても大丈夫なのでしょうか。
主人の年末調整にて毎年住宅借入金特別控除の申告を行っています。
そうなると、その申告もかわってくるかもしれないのでしょうか?」
ということでしたがご主人が住宅ローン控除を行っているという事実を割愛し、いわば、ご自分に有利な部分を切り取った形でのご質問を置き換えていますので正しい答えは導き出せない状況かと思います。
税務署もローン控除を受けていない物件であるとのご説明に基づいた回答されたと考えられますね。必ず是正の対象になりますから、当初の考え方にお改めください。
有利に処理しようと思っているわけではありません。
分からない事が多い為確認をしている次第です。
税務署の方や先生によっても、お考えは違ってくる部分もあるのかと思っています。
その上で自分が分かりやすく理解できた部分で判断しようと考えております。
追記
ちなみにですが、税務署の方には夫が住宅借入金控除を行っている事をお伝えしております。
山口勝己
どのようなお仕事をされているのかお聞きしていませんでしたが、自宅で小規模な事業をされている場合で、事業占有割合が10%に満たない場合には、住宅ローン控除の適用については全額控除して良い事になっています。
ローン控除をお受けになっておられるのであれば、その辺も考慮して事業用とされれば損の無い申告ができますね。
私からの言葉が足らず、失礼致しました。
ありがとうございますm(_ _)m
自宅事業分の建物の按分は7%になります。
そうしますと夫の住宅ローン控除は特に変わらず、減価償却分も妻の経費で家事按分計上できるという事で大丈夫でしょうか?
山口勝己
おっしゃるとおりです。
居住用部分の床面積が建物全体の床面積の90%以上を占める場合、建物全体を居住用とみなして住宅ローン控除を適用することができますよ。
7%なのであれば、旦那様は従来通り100%ローン控除を受けられます。
住宅控除って、所得税法では無い法律に記載されているのです。なので、この90%ルールが適用になれば、それはそれ、これはこれの理屈になってくるのです。
幾度もありがとうございますm(_ _)m
自分でも確認してみます‼︎
本投稿は、2025年11月25日 09時55分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。





