委託販売(消化仕入)における売上の計上方法と、扶養判定に関するご相談
【現状の整理】
現在、ハンドメイド作品を委託販売(BtoC)しており、委託先とは「商品が売れた瞬間に委託先が買い取る」という「消化仕入(売上仕入)」の形式で契約しております。手数料は売上の55%です。
【過去の経緯】
• 一昨年まで: 実態に合わせて、手数料控除後の「純額(45%分)」を売上として計上しておりました。
• 昨年(2025年): インボイス制度開始に伴う混乱から、安全策として「総額(100%)」で申告を行いました。現在は消費税の2割特例を適用しております。
【ご相談事項】
今年から、可能であれば再度本来の「純額計上」に戻したいと考えております。
1.「純額」への変更について:
消費税法基本通達10-1-12に基づき、今年から再度「純額」で売上計上することは可能でしょうか。また、昨年一度「総額」にしてしまいましたが、会計の継続性の観点から問題ございませんでしょうか。
2.社会保険の扶養判定について:
現在、夫の社会保険の扶養(第3号)に入っております。税込売上が600万円規模のため、総額計上では扶養の維持が困難ですが、純額計上(270万円)とし、そこから材料費等の直接経費を差し引くことで、扶養枠内での管理を目指したいと考えております。この方法は実務上有効でしょうか。
お忙しいところ恐縮ですが、ご教示いただけますと幸いです。
税理士の回答
ご相談いただいた「純額計上への変更」と「社会保険の扶養判定」について、実務的な観点から整理して以下お答させて頂きます。
1. 「純額」への変更と継続性の原則について
結論から申し上げますと、消費税法基本通達10-1-12(委託販売等に係る手数料)に基づき、今年から再度「純額」で売上計上することは可能かと存じます。
委託先との契約が「消化仕入」形式の委託販売であり、55%分が「販売手数料」として明確に規定されている場合、手数料差し引き後の金額を売上高(純額)とする処理が認められます。
昨年の「総額計上」についてですが、インボイス制度導入期特有の混乱に伴う「保守的な安全策」という正当な理由があるため、取引の実態に即した本来の純額処理へ戻すこと自体は、税務上も合理的な見直しとみなされます。
今後、純額で継続していくのであれば、会計の継続性の観点からも実務上問題になる可能性は低いです。
ただし、純額計上を行う要件として、委託先から発行される「支払明細書」等で販売額と手数料が明確に区分されている必要がありますので、証憑の確認をお願いいたします。
2. 社会保険の扶養判定(130万円の壁)について
お考えの「純額(270万円)から直接経費(材料費等)を差し引いて扶養内に収める管理」という方法は、有効ですが、実務上はご主人様の加入先である健康保険組合への確認が必須かと存じます。
社会保険における「収入」は、税務上の「所得」とは計算方法が異なります。原則として「年間収入」から「その事業を営むための直接的な必要経費」を差し引いた額で判定します。
そのため、純額(270万円)から直接経費(材料費等)を差し引いて130万円未満になれば、第3号被保険者を維持できる可能性は高いですが、組合事に以下のような独自基準がある場合はあり、これに抵触すると、認められない可能性もございますので、上述させて頂いたように、ご主人様の加入先である健康保険組合への確認も合わせてして頂く事をお勧め致します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
① 健保組合ごとの独自基準
→「売上を見る」等の厳しめ運用も一部あり
② 継続的な収入規模
→一時的でなく「恒常的に130万超」と見られると外れる
③ 事業性の強さ
→規模・継続性によっては「被扶養者として不適」と判断されるケース
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<まとめ>
税務上は、実態に合わせて「純額」に戻して問題ございません。社会保険の扶養維持についての考え方も概ね正しいかと存じますが、上記の通り健康保険組合(協会けんぽ、または健保組合)によって、独自の基準が設けられている場合がありますので、そこだけご確認頂くとよいかと存じます。
以上となります。
今回の一連のお取引のご参考になりましたら幸いです。
大変、分かりやすく丁寧なご回答をありがとうございます。
度々で申し訳ございませんが、念のため確認したいことがございます。
支払明細書の件ですが、『税抜の売上総額(100%)』と、『掛け率適用後の支払額(45%)』はそれぞれ載っていますが、『差し引かれた手数料(55%分)の具体的な金額』自体は別項目としては載っていません。計算根拠(45%)ははっきりしていますが、これでも『区分されている』という要件を満たせますか?
本投稿は、2026年05月01日 09時05分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。






