自社株の会社買取による役員貸付金の返済について
前社長への会社からの貸付金が数百万円あります。現金での返済は難しいとのことです。
前社長が持っている会社の株を、会社が買い取りを行い、貸付金返済のかわりにできないかと考えていますが可能でしょうか?
また、可能な場合、会社が株を買い取りする金額の制限(上限)などの条件はあるのでしょうか?
税理士の回答

こんにちは。
前社長から貸付金相当の自己株式の取得を行い、前社長への債権(貸付金)と債務(自己株式取得に係る支出額)の相殺を行うということですね。
端的に言ってしまえば可能ですが、会社法上の分配可能額規制とみなし配当についてご理解すべきだと思います。
【分配可能額規制(上限の話)】
会社が株主から株式を買い取る際、分配可能額の規制があります(会社法 第461条第1項)。債権者は会社の資本金等の資力を踏まえて与信判断をしているため、無制限に株主にお金を渡してしまっては債権者を害するためです。
大きな理解として、その他資本剰余金とその他利益剰余金の合計が分配可能額となります。実際には細かい計算が必要になりますので、仮に「数百万円」と仰っている貸付金と比較してぎりぎりであれば、決算書等を持って専門家に判断を仰いでください。
【みなし配当(前社長目線で説明します)】
株主にいくらで買い取るかという点とセットなのですが、実際には純資産額で計算することが多いので、その前提で説明しますね。
配当を行ってから自己株式を売却する場合と、配当を行ってから自己株式を売却する場合とで、自己株式を売却した個人(前社長)に課税の不公平がないようにしています。
つまり、配当を行わずに自己株式を売却した場合、売却価額の内、いくらかは配当と同じ性質ですよね?とみなすという課税方法を「みなし配当」と言います。
取得直前の資本金等の額 ÷ 取得直前の発行済み株式総数 × 取得する株式数
で計算した金額が「資本金等」に相当する金額で、それ以外の売却価額は「みなし配当」として課税します。
この「みなし配当」は前社長の配当所得になり、総合課税の中で課税されることになります。
こちらも考え方はシンプルなのですが、専門家にお任せした方が良いかもしれません(あるいは、事前に税務署に相談行くなど)。
本投稿は、2021年11月10日 18時26分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。