役員の決算賞与の不支給
役員の決算賞与について、事前届出を行っておいて、決算時に利益が確保できておれば、支給しようと考えております。
利益が出ていなければ、支給はしない予定ですが、支給しないことに税務リスクはございますでしょうか。
税理士の回答

竹中公剛
利益が出ていなければ、支給はしない予定ですが、支給しないことに税務リスクはございますでしょうか。
何もありません。
安心ください。
事前確定給与はゼロか百ですのでどちらかで大丈夫です。
役員賞与の支給日までに不支給の決議をしていない場合には、会社と役員の間で役員賞与未払金の債権債務が成立するので、実際に不支給であったとしても、役員賞与相当額に対して源泉徴収が生じ,また役員賞与未払金相当額の債務免除益を受けたとして法人税課税を指摘される可能性があると考えます。
一方、役員賞与の債務確定日は支給日と考えられることから,事前確定届出給与の対象とした役員賞与の支給日到来前に、役員賞与の全額を不支給とする決議をすれば,会社と役員の間で債権債務が認識されず,以下のような処理により課税が起きないとの論拠が成り立つのではないかと考えられますのでご確認ください。
① 役員賞与の実際支給額が事前確定届出額と異なるため、支給額の全額が損金不算入(実際支給額0であれば,損金不算入額なし)となる。
②役員賞与の源泉徴収については,支給日の到来前に辞退した場合には課税しないとされている(所得税基本通達28-10)
③役員からの債務免除益については,支給日前に不支給決議をして支給しなくなった賞与に係る債務免除益は益金の額に算入しないとされている(法人税基本通達4-2-3)
注)上記回答は、ご質問から読み取れる内容から現時点で最善と思われる記載をしておりますが、極めて限定的な情報をもとにしており、あくまで税務の方向性とを初期的に示すものでしかなく、上記コメントに依拠して税務処理されたとしても弊事務所では責任を負えません。
実際に税務処理される際には、関係資料等ご提示の上、個別に弊事務所までご相談いただければ,喜んでご助言させていただきます。

佐藤和樹
支給しないこと自体に税務リスクは基本的にありません。
ただし、適正に「支給しない」という意思決定がされていること、届出との整合性があることが重要です。
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【詳細説明】
1. 役員賞与は原則として損金不算入ですが、「事前確定届出給与」として届出済のもので、実際にその通り支給されれば損金算入が可能です。
2. 事前届出をしていても、支給しなければ損金不算入となるだけであり、支給しなかったこと自体がペナルティになることはありません。
3. ただし、次のような点には注意が必要です。
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【注意点】
・支給しない場合は、必ず役員会議事録や株主総会議事録に「支給しないことを決定した理由(例:業績悪化による)」を明記しておく。
・税務調査で「業績が良いのに支給を見送った」などとされると、恣意的な利益調整(節税目的)とみなされるリスクがあるため、正当な判断であることを文書で残すことが大切。
・来期以降も同様の運用を続ける場合、税務署から形式的な届出になっていないかを確認されることもある。
本投稿は、2025年06月16日 15時41分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。