適格分割時の税務上の簿価について
適格分割では資産、負債は簿価で分割承継会社へ引き継がれ、別表5の税務上の否認額もそのまま引き継がれます。
例えば、期中に分割された場合ですが、分割会社の期首(=前年度の別表5の期末額)の別表5の否認額が100だったとしたら、期中での分割であっても、別表5から引き継ぐ否認額は100でもよいのでしょうか?
それとも分割前日に改めて否認額を算定しなおして、分割前日の否認額になおさないとだめなのでしょうか?
例えば退職給付引当金の別表5の留保額が期首時点では100だったとして、分割前日では120になっている場合などです。
理論的には分割前日の120が正しいのだと思いますが、そうすると、分割会社の別表5は期中に作成は当然しておらず、別表5では、前年度末の否認額残高100を減算しますが、一方で分割承継会社では期中の残高120を別表5で加算することになり、減算と加算の額が合わなくなっていまします。
ご教授いただけないでしょうか。
宜しくお願いします。
税理士の回答
分割型分割と分社型分割では、引き継ぐ税務上の帳簿価額は異なります。
分割型分割は直前の事業年度の帳簿価額(法人税法62条の2、1項)、分社型分割は分割の前日の帳簿価額(法人税法62条の3、1項)とされています。
条文通りの解釈では、分割型分割の場合の別表5(1)は、分割法人は当期減100、分割承継法人の当期増は引き継いだ100+当期発生分となり、分社型分割の場合の別表5(1)は、分割法人は当期増20、当期減100、分割承継法人の当期増は引き継いだ120+分割期日以降の発生分となるだけです。
従いまして、減算と加算の額が合わなくなってしまうということはありません。
なお、適格組織再編における移転資産の引き継ぎに係るご質問のような税務調整項目は、別表4を通さず別表5(1)で直接増減させるため所得計算に影響はありません。
上記回答にひとつ誤りがありましたので訂正します。
分社型分割の場合の別表5(1)は、分割法人は当期増20、当期減120です。
ありがとうございました。今回は分社型分割ですので後者になりますね。条文まで示していただき大変助かりました。
本投稿は、2021年07月28日 11時18分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。