商業・サービス業・農林水産業活性化税制とは?2021年3月まで延長 - 節税や実務に役立つ専門家が監修するハウツー - 税理士ドットコム

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商業・サービス業・農林水産業活性化税制とは?2021年3月まで延長

取材協力: 橋本 昌和 税理士

設備をよりよくしたい、経営を改善したいと思ったとき、まず考えなければならないことは資金についてです。新しい設備の導入により、営業利益の増加が見込まれるにも関わらず、資金不足のために実行できないのは非常に残念なことです。

そんな設備投資のための資金繰りに悩む中小企業主や個人事業主をサポートするのが「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」です。

目次

商業・サービス業・農林水産業活性化税制とは

「商業・サービス業・農林水産業活性化税制」は、商業、サービス業や農林水産業を営む中小企業などが、外部機関の経営アドバイスをもとに導入した設備投資に対し、特別償却または税額控除を適用できる制度です。

効果的な「攻めの投資」を促進させることを目的として、当初は2019年度末までの時限制度でしたが、消費税率引き上げの影響なども考慮され、2019年度の税制改正により本税制の適用期限が2021年3月31日までの2年間、延長されることになりました。

商業・サービス業・農林水産業活性化税制の適用要件

適用対象者

本税制の適用対象者は、以下の2つの要件を満たしている必要があります。

  • 中小事業者(※1)に該当し青色申告書を提出する個人事業主、または中小企業者(※2)や特定の中小企業者(※3)に該当し青色申告書を提出する法人であること
  • アドバイス機関である認定経営革新等支援機関等(※4)による経営の改善に関する指導及び助言を受けた旨を明らかにする書類の交付を受けたもの

※1

中小事業者とは、常時使用する従業員の数が1000人以下の個人事業主のことをいいます。

※2

中小企業者とは、以下の要件を満たす法人のことをいいます。

  • 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人(同一の大規模法人に発行済株式または出資の総数または総額の2分の1以上を所有されている法人、および、2以上の大規模法人に発行済み株式または出資の総数または総額の3分の2以上を保有されている法人を除く)
  • 資本または出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員が1000人以下の法人

なお、上記の大規模法人とは、資本金の額もしくは出資資金の額が1億円を超える法人または、資本もしくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1000人を超える法人で、独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小企業等経営強化法に規定する認定事業再編投資組合を経由して間接的に保有している部分のみ)および、中小企業投資育成株式会社を除くものをいいます。

※3

特定の中小企業者とは、中小企業等協同組合(中小企業団体中央会に該当するものを除く)、出資組合である商工組合、商店街振興組合をいいます。

※4

認定経営革新等支援機関等とは、都道府県中小企業団体中央会、商工会議所、商工会、認定経営革新等支援機関などの、企業の経営の改善に関する指導および助言を行う機関のことです。

なお、認定経営革新等支援機関とは、中小企業が安心して経営相談などを受けられるように、専門知識や実務経験が一定レベル以上の者として国が認定した税理士や金融機関などを指します。

経営改善設備

本税制の適用を受けるには、適用対象者が経営改善設備を取得し事業の用に供す必要があり、経営改善設備は以下すべてに該当する設備のことをいいます。

  • 認定支援機関等が交付する経営改善指導助言書類に記載された設備であること
  • 設備投資により年間2%以上の売上高または営業利益の伸びが達成できると見込まれることが認定支援機関等により確認されたもの
  • 器具及び備品並びに建物附属設備で、下表に該当するもの
設備要件
器具及び備品一台又は一基の取得価額が30万円以上のもの(新品のものに限る)
建物附属設備一設備の取得価額が60万円以上のもの(新品のものに限る)

なお、法人税法で「所有権移転外リース取引」と区分されるリース取引により取得した経営改善設備は、後述する優遇措置のうち、特別償却が適用できません。

指定事業

本税制の適用を受けるには、取得した経営改善設備を事業の用に供す必要があり、その事業は以下に挙げられる指定事業に限られます(貸付けの用を除く)。自社の事業がどの事業に該当するか不明な場合は、税理士などの専門家に確認してみましょう。

卸売業|小売業|情報通信業|一般旅客自動車運送業|道路貨物運送業|倉庫業|港湾運送業|こん包業|損害保険代理業|不動産業|物品賃貸業|専門サービス業|社会保険・社会福祉・介護事業|映画業|サービス業(教育、学術支援業、協同組合、他に分類されないサービス業(廃棄物処理業、自動車整備業、機械等修理業、職業・労働者派遣業、その他事業サービス業))|農業|林業|漁業|水産養殖業|広告業|技術サービス業|宿泊業|飲食店業|洗濯・理容・美容・浴場業|その他の生活関連サービス業

※製造業、建設業、医療業、娯楽業(映画業を除く)等は対象になりません

2つの優遇措置

本税制では、適用対象者が経営改善設備の取得し指定事業の用に供した事業年度(以下、投資初年度)に「特別償却」または「税額控除」のいずれかの優遇措置の選択適用が認められています。

特別償却(取得価額の30%)

特別償却を適用した場合、投資初年度において、経営改善設備の取得価額の30%を通常の減価償却費に加えて償却することができます。

特別償却は経済政策の一環として早期の減価償却が認められている特例税制です。そのため、特別償却を適用した場合には、投資初年度だけみると減価償却額が増えますが、経営改善設備を使用する期間全体でみると減価償却額は増えず、取得価額が限度となります。

税額控除(取得価額の7%)

税額控除を適用した場合、投資初年度において、取得価額の7%相当額(以下、税額控除限度額)を法人税額または所得税額から控除することができます。

前述の特別償却とは異なり、通常の減価償却費は設備を使用する期間に渡り取得価額を償却していき、投資初年度に上記の税額控除が認められます。そのため、場合によっては特別償却よりも税負担を抑えることが可能です。

ただし、資本金または出資金の額が3000万円を超える法人は税額控除が適用できません

税額控除の上限額

税額控除の上限額は、その事業年度の法人税額または所得税額の20%相当額となります。ただし、税額控除限度額が当該上限額を超えているために税額控除限度額の全部を控除できなかった場合、1年間の繰越が認められます

なお、本税制以外に「中小企業経営強化税制」「中小企業投資促進税制」を適用している場合、税額控除の上限額はそれぞれの税制の税額控除限度額の合計額で計算する必要があります。

また、この制度の適用を受ける減価償却資産については、他の特別償却制度や割増償却制度などを同時に受けることはできません。

どちらを選択すべきか

特別償却と税額控除のどちらを選択すべきかは、現状の経営状況やほかに適用している税制などによってケースバイケースとなり、一概に言えません。そのため、どちらを選択するかは、税理士などの専門家に相談しながら適切な方法を検討しましょう。

たとえば、業績が赤字で払うべき税金がないというケースでは税額控除や特別償却の効果が得られません。しかし税額控除は1年間繰越が可能なので、翌年に黒字化するのであれば税額控除の効果を得ることはできます。

そのため、設備投資初年度だけなく、それ以後の事業年度も含めて比較・検討することが大切です。

商業・サービス業・農林水産業活性化税制の手続き方法

商業・サービス業・農林水産業活性化税制を適用するには、確定申告書等に添付する説明書類が必要です。

必要な書類(個人事業主、法人共通)

添付が必要な書類は個人事業主と法人では異なります。まず、個人事業主、法人共に必要となる共通の書類として、アドバイス機関である認定経営革新等支援機関等から指導助言を受けたことを明らかにする以下の内容が記載された書面が必要です。

・中小企業者等の氏名または名称および代表者名
・取得する経営改善設備の明細
・認定経営革新等支援機関等の氏名または名称および代表者、住所または所在地
・アドバイスを行なった年月日
・アドバイスの内容

なお、アドバイス機関からの指導助言は設備の導入前に受ける必要がありますが、この書類の交付は設備の導入後であっても構いません。

個人事業主の手続き

確定申告書に以下の書類を添付します。

特別償却の適用を受ける場合

  • 確定申告書(申告書B第二表)の「特例適用条文等」欄に「措法10条の5の2」の記載が必要
  • 償却限度額の計算に関する明細書(青色申告決算書(減価償却の計算)において、「割増(特別)償却費」「適用」の欄にそれぞれ特別償却の額、特例名(措法10条の5の2)を記入)

税額控除の適用を受ける場合

「特定中小事業者が経営改善設備を取得した場合の所得税額の特別控除に関する明細書」を確定申告書に添付

法人の手続き

法人税の確定申告書に以下の書類を添付します。

特別償却の適用を受ける場合

  • 特別償却の付表(八)(特定中小企業者等または特定中小連結法人が取得した経営改善設備の特別償却の償却限度額の計算に関する付表)
  • 適用額明細書

税額控除の適用を受ける場合

  • 法人税の確定申告書の別表六(二十一)(特定中小企業者等または特定中小連結法人が経営改善設備を取得した場合の法人税額の特別控除に関する明細書)
  • 適用額明細書

設備投資した際に利用できるそのほかの税制措置

中小企業経営強化税制

中小企業等経営強化法の認定を受けた「経営力向上計画」に基づき、対象となる生産性向上設備や収益力強化設備を取得した場合に、即時償却または取得価額の10%税額控除(資本金3000万円超の法人は7%)を受けることができます。

中小企業投資促進税制

中小企業者等が機械装置等の対象設備を導入の際に、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除(資本金3000万円超の法人については税額控除の適用なし)を選択適用できます。

商業・サービス業・農林水産業活性化税制と対象となる業種が異なるので、対象とならない業種の場合は、こちらの税制の適用を受けられるか確認しましょう。

おわりに

本税制は、サービス業にも適用される数少ない税制です。特別償却または税額控除のいずれかの優遇措置を選択することができるため、自身の経営状態に応じて柔軟な対応ができることも魅力です。

ただし、アドバイス機関である認定経営革新等支援機関等からの経営改善指導助言書類が必要だったり、どちらの税制優遇措置を適用したほうがメリットが大きいかなど専門的な知識も必要となりますので、税理士などの専門家に相談しながら適切な方法を検討しましょう。

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