倒産防止共済の損金算入の明細書(別表)の添付忘れについて。
3年前に倒産防止共済に節税目的で顧問税理士に相談し加入しました。3期連続で掛け金いっぱいの240万円×3年間=合計720万円を損金で計上処理しましが、先日のあるセミナーで倒産防止共済を損金計上するためには、「損金算入の明細書(別表)」を決算書に添付しないと適応されないと伺いました。さっそく弊社の顧問税理士にその件を確認したら「別表は添付していない!そんな認識は全くなかった!」と云うことで、結論的に添付をしていないことが判明しました。税理士は「急いで別表を過去3期分作成して税務署へ持参する」と安易に言っておりますが、租税特別措置法第66条の11には「該当添付がない確定申告書等の提出があった場合においても、その添付がなかったことにつき税務署長がやむを得ない事情があると認める場合においてはこの限りではない」と明記されております。現状を踏まえてご相談です。明細書を3期分税務署へ後出しで提出しても別段問題ないのでしょうか? それとも藪蛇になるので静観しておいた方がよいでしょうか? ご回答のほど、宜しくお願い致します。
税理士の回答
東京都中央区の税理士法人石川小林 小林拓未と申します。
倒産防止共済を損金算入するためには、別表(明細書)の添付が必要です。添付は当初申告の時点で行われていなければなりませんので、添付を忘れた場合は、基本的に損金算入されないものと思われます。
「やむを得ない事情がある場合」は、確かにこの限りではないと規定されていますが、単なる添付忘れには適用されません。
過去3期分の別表(明細書)を作成して、提出しても、認められないものと思われますので、現段階でできることはありません。
別表1枚の添付忘れで、損金算入できないのは、あまりにも厳しいです。税務署に指摘された場合は、まずそのように話されてみてはいかがでしょうか。
以上よろしくお願い致します。
ご回答ありがとうございます。更にご質問させていただいても宜しいでしょうか?
弊社9/末決算ですので、11/末に税務署へ決算書を提出するのですが、今期の決算書にも別表(明細書)を添付するとかえって藪蛇になるので、税務調査が入るまで静観してた方が良いということでしょうか? あと、次回税務調査でこの件が指摘され損金算入を否定された場合、顧問税理士への責任追及することは可能でしょうか?また、先生のこれまでの経験より指摘を受けて拒否された事例や、逆に認めてもらった事例などございましたらお教え願いますでしょうか?宜しくお願い致します。
ご連絡ありがとうございます。
今期の申告書には、別表の添付をしておいた方がよろしいかと存じます。今期の申告分だけでも、損金算入を確実にしておくことが大事です。
前回の回答は、
当初申告で別表の添付が要件なので、今さら別表を提出しても効果がない、という趣旨です。
顧問税理士への損害賠償については、税務調査の結果によると考えます。
否認内容が、
加算・留保とされるなら、期間のズレにすぎませんので、解約時に雑収入にはなりません。したがって、実損が出ませんので、損害賠償は難しくなるか、金額が減ると思われます(こちらの可能性が高いと思われます)。
加算・社外流出とされるなら、完全なる損失なので、損害賠償可能と思われます(可能性はあまりないと思われます)。
私は、まるで同じケースにあたったことはありませんが、
今回と同様に、別表添付の必要な特例を使っているところ、別表無しで申告されており、指摘を受けたものの、注意だけで済んだ、という事例は経験しております(当方で作成した申告書ではありません)。
税法上のロジックでは、今回のケースは反論のしようがありませんので、
損金経理していることで、費用という意思は明らかであるし、別表1枚の添付忘れで、多額の税金を支払うのは酷にすぎる、以後注意するので今回は指導にとどめて頂きたい、
と主張するとよろしいかと存じます。
ご連絡ありがとうございます。
更にご質問をさせて頂けますでしょうか?
租税特別措置法第66条の11には、「別表(明細書)を添付しないと適用されない」とありますが、
平成26年7月に国税庁から出版されている手引きに「租税特別措置の透明化に関する法律(租特透明化法)」の記載があり、その中「適用明細書の添付が無かった場合、又は虚偽の記載があった場合は適用を受けられない」となり、さらに「添付漏れ、又は記載の誤り等があった場合は速やかに提出をお願いします。」との記載がありました。また、適用額明細書の提出義務第三条の3に「税務署長は、適用額明細書の添付がない法人申告書があった場合においても、その提出があったときは、特別措置を適用することができる」と記載があります。どちらも国税のホームページに記載されているのですが、
どちらが正解か迷ってしまいました。先生のご意見をお聞かせ願いますでしょうか。
何度も恐れ入りますが、宜しくお願い致します。
ご連絡ありがとうございます。
ご質問の「手引き」は、下記の書類でしょうか。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/tekiyougaku/renketsu_h26_02/all.pdf
もしそうでしたら、こちらの書類は、「適用額明細書」という書類でして、提出の必要な書類ではありますが、添付が要件となる別表10(6)とは異なる書類です。
適用額明細書は、租税特別措置法による特例を受けていることを報告するものですので、別表10(6)が提出されていれば、(適用額明細書を後から提出したとしても)倒産防止共済の掛金を損金算入することができると思われます。
長期出張のため、ご連絡が遅くなりました。
いろいろアドバイス、ありがとうございました。
最終的には、今までの提出できていない「別表(明細書)」と「適用額明細書」を合わせて
過去3期分を顧問税理士が税務署へ後出し提出し、受領印を受けたものを持ち帰ってきました。
これで解決するわけではないと思いますが、今後の想定できる税務署の動きについてお聞きしたいのですが、①1~2週間以内に顧問税理士へ電話が来る。②次回の調査まで連絡がなく、調査で指摘を受ける。③逆に調査の期間が早くなり、直ぐに調査に来る。など、いろんなパターンが想定されますが、
小林先生は税務署がどういう行動にでる可能性が高いと思われますでしょうか。何度も恐れ入りますが、先生のご見解をお聞かせ頂けば幸いです。
ご連絡ありがとうございます。
今後の対応は、調査官次第であり、予想は難しいですが、まずは最悪のケースである早期の税務調査を想定しておく必要があります。ただ、もし自分が交渉するなら、
倒産防止共済を損金経理しており、
加入者証等があり、
銀行振込で振込先が明確に分かる
という状況ですので、損金算入する意思が明らかなことから、別表の添付が無いことで否認されるのは酷に過ぎる、と主張します。
法律論を展開されると、反論は大変難しいですが、指導に留めて欲しいという交渉をうまく行えば、否認自体は避けられるのではないかと考えます。
現在の落ち着かずもどかしい状況は、お辛いことと存じますが、打つ手は打ちましたので、早期に税務調査があるという最悪のケースを想定して、まず現在の税理士に、税務調査が行われるとしたらどのような交渉をするのか打ち合わせをして下さい。
貴重なお時間を頂戴しありがとうございました。ご参考にさせて頂きます。
本投稿は、2017年11月01日 17時08分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。