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法人税等の額より、役員個人の税金や社会保険料の額の方が大きいですか?

【法人税等の額】と【役員個人の税金等(所得税・住民税・社会保険料など)】について質問です。

法人税等の額より役員個人の税金などの額の方が高いですか?
役員報酬が年300万(税引き前)ほどでもそうですか?
そのような場合、役員報酬は年250万で十分という場合は、300万より250万にした方が税金の面では有利ですか?

所得税だけなら法人税より低いですが、個人にかかるものをトータルで考えたらどうなんでしょうか?

よろしくお願いいたします。

税理士の回答

社会保険料の個人負担分は給与金額のおおよそ1割と考えられます。
また、所得控除を社会保険料控除と基礎控除の二つを前提に計算すると、次のようになります(便宜上、基礎控除額は所得税の基礎控除額を採用します)。

年収300万円の場合
① 給与所得の金額:300万‐108万=192万
② 課税所得金額:192万-(30万+38万)=124万
③ 所得税住民税等:②×15.105%≒19万
④ 負担割合:(30万+19万)÷300万≒16.3%

年収250万円の場合
① 給与所得の金額:250万‐93万=157万
② 課税所得金額:157万-(25万+38万)=94万
③ 所得税住民税等:②×15.105%≒14万
④ 負担割合:(25万+14万)÷250万≒15.6%

傾向として年収が低い方が税金と社会保険料の負担割合も低くなります。
一方、法人税等の実効税率は法人の所得金額400万円以下の場合、地方税も含めて約22%ですので、役員報酬を低くしすぎた場合には法人税等の負担が増加することが予想されますのでご留意ください。

ありがとうございます。

社会保険料の場合、役員個人が負担する分の他に、会社負担のもの(厚生年金、健康保険、労災保険、介護保険)がありますが、それを含めて考えても役員報酬として払った方がいいですか?



【役員報酬を上げる場合の会社・役員の税等の負担】
①個人に対する所得税
②個人に対する住民税
③個人負担分の社会保険料(厚生年金、健康保険、介護保険)
④会社負担分の社会保険料(厚生年金、健康保険、介護保険、労災保険)
[そのかわり報酬分を会社の損金にできるから法人税等が少なくなる]

【役員報酬を下げる場合の会社・役員の税等の負担】
⑤報酬分を会社の損金に少ししかできない分法人税等が高くなる
[その分①②③④が少なくなる]

と考えられると思いますが、役員報酬300万程度なら、会社に利益が残るような場合は役員報酬を増やした方がいいでしょうか?

役員報酬と社会保険料会社負担分の支払い前の会社の利益(資金残)を500万円と仮定して試算してみましょう。
先ほどは社会保険料の個人負担分を給与の約1割と仮定しておりましたが、介護保険、労働保険も加えますと厳密には15%程度になりますので、本人負担・会社負担を夫々15%とします。

■役員報酬300万円の場合
◆個人の税金等
① 給与所得の金額:300万‐108万=192万
② 課税所得金額:192万-(45万+38万)=109万
③ 所得税住民税等:②×15.105%≒16万
④ 個人の資金残:300万‐(45万+16万)=239万円
◆会社の税金等(実効税率を22%とします)
①役員報酬等支払い後の利益:500万‐300万‐45万=155万
②法人税等:①×22%≒34万
③会社の資金残:500万‐(300万+45万+34万)=121万円
◆個人と会社の資金残合計:239万+121万=360万円

■役員報酬250万円の場合
◆個人の税金等
① 給与所得の金額:250万‐93万=157万
② 課税所得金額:157万-(38万+38万)=81万
③ 所得税住民税等:②×15.105%≒12万
④ 個人の資金残:250万‐(38万+12万)=200万円
◆会社の税金等(実効税率を22%とします)
①役員報酬等支払い後の利益:500万‐250万‐38万=212万
②法人税等:①×22%≒47万
③会社の資金残:500万‐(250万+38万+47万)=165万円
◆個人と会社の資金残合計:200万+165万=365万円

以上のように、役員報酬300万円の場合に比べて役員報酬250万円の場合の方が税金の総額は増加します。
一方で、社会保険料の負担は役員報酬を下げた方が個人・法人ともに減少するため、両者の最終手取り額合計で比較すると役員報酬250万円の方が若干多くなることが予想されます。
どこに目的をおくかでご検討頂ければと思います。

服部先生、詳しい解説本当にありがとうございました。

本投稿は、2018年04月24日 01時34分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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