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ひとり会社:役員報酬と研究委託費を別個に支給できるか?

IT分野のひとり会社を運営しています。

小規模法人ですので、純利益800万円までは15%軽減税率が適用になるほか、
比較的研究開発色の強い会社ですので、中小企業技術基盤強化税制による
軽減措置で法人税負担を圧縮しています。

■中小企業技術基盤強化税制
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/kenkyukaihatsu/index.html

現状、サーバやストレージなどR&Dに必要な機材(の減価償却費)と、
実働工数の目安として80%程度は研究開発の作業を行っているため、
役員報酬の80%を研究開発経費として計上し、これらの金額を研究開発費用として
中小企業技術基盤強化税制の計算式に突っ込んでいます。
(概ね、実効法人税率を8~9%程度まで下げられます)

しかし、役員報酬はあくまでも会社経営に対する報酬。
自ら手を動かして研究開発に従事する部分は、役員報酬としてではなく、
委託研究費として、個人事業主である自らに発注した方が社会保険料の
負担を軽減できるほか、中小企業技術基盤強化税制の対象経費であると
明確に言い切る事ができるようになります。
また、役員報酬では不可能な期末の利益調整も可能となります。

役員報酬を会社経営に関わる業務、業務委託費を研究開発に関わる業務として、
明確に切り分ければ問題ないようにも思えますが、実際の運用として、
こういったやり方はリスキーでしょうか?

ご見解をいただければと思います。

税理士の回答

お世話になります。

ご質問に対する回答)

できる余地もあるももの、税務上の否認リスクは高いと考えます。

社長ひとり会社であり、研究開発色の強い会社とのことで、そこからさらに研究開発を客観的に合理的に区分して社長個人に業務委託できるのか否か、また、株主もひとりでしょうから株主総会の決議がたとえあったとしても、個人的には否認されるものと考えます。
―――――――――――
補足)
基本的には、会社から取締役への外注費は、明らかに取締役としての職務に含まれない、特殊なものであることを疎明・証明できれば、外注費として損金算入できると、一般的には解釈されていると考えます。そのため、会社から取締役、特に代表取締役への外注費は、税務上かなり厳しいものと整理しています。さらに社長ひとり会社となると余計に厳しくなり、役員給与または役員賞与と扱われるリスクが高いと考えます。

大阪地裁( 平成7年11月29日判決) 
X会社は、予め開発費の総支給額を定めた上、その範囲内で業務に有益な企画等を行った役員及び使用人に対し、その功績に応じて開発費を支給しており、雇用契約に基づく労務の対価として支給された賞与としての性質を有するものと認められ、給与等に該当する。X会社は、これについて、前記の各費用項目に該当するとし、証拠として、「研究開発費概略」、「1991年度研究開発費実体」、「91年度研究開発費」を援用するが、右各書面は、いずれもX代表者の手控えないし本件訴訟のために作成された説明書にすぎず、役員及び使用人が出捐したとされる実費の支出先、支出金額、支出年月日等は全く詳らかでないばかりか、かえって、各人に対する開発費の支給額は、その出捐に係る実費の多寡によることなく、Xの業務に対する貢献度によって決定されたというのであるから、右各書面の記載内容等をそのまま鵜呑みにすることは到底できず、したがって、前記の主張は採用できない。

しかし、他方では、税務訴訟を担当する役職:訟務官などを歴任された伊倉博氏の著書:「逆転裁決から読み解く 国税不服審判所が引いた判断基準」(中央経済社,2022年12月)においては、東京高裁(昭和51年5月24日判決)を根拠に、株主総会の決議があれば、会社から代表取締役への経営指導料として損金算入の可能性があるとの言及もありますので、可能性はゼロではないと考えます。

あとは、税務上の否認リスクと、得られるメリットを比較して、どう評価するか、ということになると考えます。

他の方のアドバイスも参考になさってください。少しでもご参考になれば幸いです。

補足となります。
なかなか前向きな事例が無くて恐縮ですが、慎重な判断が必要と個人的には考えます。

会社から役員への業務委託費が否認された別の事例(会社と同じ事業の例)です。

法人がその役員個人との業務委託契約に基づきその業務の対価として役員に支払った金員を役員賞与に該当するとした事例(昭和55年12月24日裁決)
https://www.kfs.go.jp/service/MP/03/0204070402.html#y03

宜しくお願い致します。

本投稿は、2026年07月29日 17時55分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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