不動産所得について
兄弟で共有名義の不動産所得と雑所得の確定申告を行う場合、
金額を数等分する作業等の手間がある為、業者さんからの入金は親族の預金に入ってきても、自分の元に入金があるのが来年以降の予定です。
そういった場合は本年度の確定申告としても大丈夫ですか?
また、本年度、事業所得等で青色申告をするのは確定しているのですが、上記のような不動産所得や雑所得が(副業として)20万円以内の場合は、申告しなくてもよいのですか?
それとも確定申告をするなら、少額でも一緒に申告するべきですか?
ご教示くださいませ。
税理士の回答
① 結論
共有不動産の賃料は「実際の入金口座」ではなく、“権利が発生した時点”に、各共有者の持分割合で各人が計上します。
→ 代表の親族口座に入っても、相談者様の持分は今年(令和7年)の不動産所得として申告が必要です。来年に実際入金される予定でも、今年の所得を遅らせて申告することは不可です。
「副業20万円以下は申告不要」特例は、原則“給与メインの人が確定申告しない場合”の救済です。
今年すでに事業所得で青色申告(=確定申告)をする相談者様は、金額が少額でも不動産所得・雑所得を合算して申告が必要です。住民税も同様に報告が要ります。
② なぜそうなるか
個人の所得は原則発生主義:賃料の支払期が到来し受領権が確定した時点で各人が収入計上。
共有不動産は持分按分が原則(契約や覚書で異なる取り決めがある場合を除く)。
20万円特例は「給与所得者の申告不要制度」。確定申告をする人(=青色事業者)は対象外。よって副収入が1万円でも、確定申告するなら必ず合算となります。
③ 実務処理
相談者様側(今年分の賃料の持分を計上/まだ受け取っていない)
収入計上(期末):
(借方)未収入金 ××× (貸方)不動産収入 ×××
来年、代表口座から実際に振込を受けたとき
(借方)普通預金 ×××
(貸方)未収入金 ×××
代表受領者(親族)側
賃料受領時(他共有者分)
(借方)普通預金 総受領額
(貸方)不動産収入 自己持分
(貸方)預り金 他共有者持分
他共有者へ清算時
(借方)預り金 ×××
(貸方)普通預金 ×××
書面整備
共有者間の覚書(分配割合・清算期限・代表受領の位置付け)
按分表(月別/入金別に各人の持分額を一覧化)
代表口座の通帳コピーと清算振込の明細
※ 長期間精算しないと贈与と疑われるリスクがあるため、期をまたがず(遅くとも翌年早々)に清算が安全です。
④ 「雑所得」側の扱い
ハンドメイド・クラウド収入など雑所得も同じく発生主義(検収・役務提供完了時に計上が原則)。
今年、事業(青色)で確定申告する以上、雑所得が20万円以下でも合算して申告してください(住民税は原則1円でも申告要)。
⑤ よくあるNG対応です。(避けてください)
代表口座に入ったからといって、代表者だけで全額申告(→ 他共有者の無申告・贈与論点に発展します)。
相談者様側が現金主義で翌年計上(→ 否認リスクがあります)。
清算の実績・書面がない(→ 架空経費・贈与疑義があります)。
20万円特例を事業者にも適用できると誤解すること。
ありがとうございます‼
勉強になります。
本投稿は、2025年12月01日 15時33分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







