夫と別居中の子供の扶養控除について
現在、離婚を前提で夫と別居し、私が子供3人(今年19歳、17歳、9歳)と一緒に住んでいます。
職場に扶養控除等申告書を提出し、夫に税制上の扶養の付け替えをお願いしていますが応じてくれません。
夫婦とも同じ自治体の公務員で、年収は夫の方が約60万円多いです。婚姻費用分担請求調停中で、まだ婚姻費用はもらっていませんが、条件が決まればそれまでの分がまとめて支払われ、その後は毎月の支払いとなる予定です。
税務署に問い合わせたところ、年末調整の時期に調査してどちらの扶養か判断すると言われましたが、この状況で私の扶養となる可能性はあるでしょうか?
扶養控除申告書を夫より先に出せばよいのかと思いましたが、私が勤務している自治体では変更がない限り自動的に更新されるシステムのため、夫が申請を取り下げるしかないと言われました。
扶養手当については、人事課が私を扶養者と判断したことから夫が申請を取り下げ、私が受給しています。
扶養控除は大きいので、結局追徴課税になるのであれば現時点で取り下げた方がよいのかと悩んでいます。
税理士の回答

佐藤和樹
① 子どもの扶養控除の適用基準
扶養控除の適用には以下の条件があります。
✅ 1. 扶養対象となる子どもの「生計維持関係」があるか
• 生計を一にしている(生活費や教育費を負担している)ことが必要。
• 同居している場合は原則として「生計維持関係がある」と判断される。
• → あなたと同居しているため、扶養控除をあなたが受ける可能性は高い。
✅ 2. 扶養控除の「重複適用」は不可
• 夫とあなた 両方が同じ子どもを扶養にすることはできない。
• 夫が扶養から外さないと、あなたが扶養に入れることができない(自治体のシステムの影響もあり)。
✅ 3. 扶養控除は実質的な「生計維持者」が受ける
• 税務署の調査では、「実際に子どもを扶養しているか(生活費の負担割合)」が重要視される。
• 夫が婚姻費用を支払っていない場合、あなたが事実上の生計維持者と判断される可能性が高い。
• ただし、婚姻費用の支払いが始まると「夫も生計維持者」と見なされる可能性がある。
② 夫が扶養控除を外さない場合のリスク
現在、夫が扶養控除を外さない場合、あなたが扶養に入れることができない ため、次のリスクが考えられます。
✅ 1. 年末調整後の税務調査で「二重控除」が発覚する
• 夫が扶養控除を取り下げないまま、あなたが扶養控除を申請すると、夫婦ともに「扶養控除を二重適用」している状態になる。
• → 税務署の調査で指摘されると、いずれかが追徴課税される。
✅ 2. 税務署の判断で「どちらの扶養が正当か」が決定される
• 税務署の調査で、実際に子どもを扶養しているのがどちらかが判断される。
• 実態に基づき、あなたが扶養控除を受けるべきと判断される可能性は高い。
• ただし、婚姻費用を夫が支払い始めると「夫も扶養者」と見なされる場合があるため、税務署の判断次第となる。
③ 今後の対応
✅ 1. 夫に「扶養控除を外してほしい」と再度交渉
• 扶養手当をあなたが受けているなら、扶養控除もあなたに移すのが合理的。
• 夫が扶養控除を外せば、あなたが扶養控除を適用できる。
• 夫の職場の人事課にも相談し、扶養控除の整理を促してもらう。
✅ 2. 税務署へ「扶養控除の判断基準」について事前相談
• 税務署の判断基準を明確に確認する。
• 「現在の状況(夫が扶養を外さない)だと、追徴課税の可能性があるか」について聞いておく。
✅ 3. 婚姻費用の支払い開始後の影響を確認
• 婚姻費用の支払いが開始されると、夫も生計維持者と見なされる可能性がある。
• その場合、夫が扶養控除を維持する可能性もある(ただし、調停で決まる金額が重要)。
✅ 4. 年末調整時にあなたが「扶養控除の適用」を進める
• 先にあなたが扶養控除を申請すれば、夫が申請できない自治体もある。
• ただし、今回のケースでは あなたの自治体のシステム上、夫が申請を取り下げないと自動更新されてしまうため、税務署の判断待ちになる可能性が高い。
御回答ありがとうございます。
詳細な点まで教えていただき、よく理解できました。
人事課からは、結果的に追徴課税されるかもしれないが、夫が取り下げた場合に申請月に遡って扶養控除を受けられるとの説明があり、とりあえず申請したという経緯があります。
夫も同じ自治体勤務のため担当者も同じであり、担当者から夫に二重控除になっていることは伝えてもらいましたが、夫からの反応はありません。
重ねての質問になりますが、婚姻費用の支払いが始まった場合、婚姻費用算定表程度の額であれば、夫が扶養控除を維持する可能性は高いでしょうか。仮に夫の扶養と判断された場合、婚姻費用が決まるまでの期間も夫の扶養となるのでしょうか。(未払分はまとめて支払われる予定)

佐藤和樹
婚姻費用の支払いが始まった場合の扶養控除の適用について
✅ 夫が婚姻費用を支払い始めた場合、夫が扶養控除を維持する可能性は?
➡ 婚姻費用の額によっては、夫が扶養控除を維持できる可能性はあるが、低いと考えられる。
📌 税務上の扶養控除の要件
• 扶養控除の適用は、「生計を一にしている」ことが条件
• 「生計を一にしている」とは、同居している場合だけでなく、離れていても生活費を負担している場合も該当する
• 婚姻費用は「生活費の負担」に当たるが、その額が十分でない場合、扶養控除の適用は難しくなる
📌 夫の扶養控除が維持されるかのポイント
• 婚姻費用の金額が十分か
• 婚姻費用が子ども3人の生活費の大部分を賄えるほど高額であれば、夫が「主たる生計維持者」と見なされ、扶養控除が認められる可能性がある
• 婚姻費用算定表の額程度(通常は生活費の一部負担)であれば、扶養控除の適用は難しい
• 実際の生計維持関係
• 現状、あなたが子どもと同居し、実際の生活費を負担しているため、「生計を維持しているのはあなた」と判断される可能性が高い
✅ 夫の扶養と判断された場合、婚姻費用の支払いが決まるまでの期間も夫の扶養となるのか?
➡ 婚姻費用の支払いが決まる前の期間は、原則として夫の扶養とは見なされない可能性が高い。
📌 理由
• 現時点で 婚姻費用の支払いがない以上、夫が「生計を一にしている」と認められる根拠がない
• 過去に遡って婚姻費用がまとめて支払われる予定でも、その期間は実際に夫が生活費を負担していないため、遡って夫の扶養とする根拠は薄い
• 通常、税務署は「支払いが実際に行われていたか」で扶養関係を判断するため、遡って夫の扶養とするのは難しい可能性が高い
佐藤先生、有り難うございます。
私の扶養となる可能性が高そうで安心しました。
近日中に、教えていただいた情報を基に税務署にも確認してみようと思います。
疑問が全て解決して、大変感謝しております。
本当に有り難うございました。

佐藤和樹
とんでもないです。お役に立ててなによりです。
本投稿は、2025年03月03日 20時46分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。