開業届の日付と創業融資・助成金制度の扱いについて
こんにちは。
2022年8月ごろにマネーフォワード開業届を使用して書類を作成したものの、提出までは行っていなかったことが分かりました。
税務署にも確認したところ、今から提出しても問題ないとのことでした。
これまで3年間は青色申告として確定申告を行っていましたが、所得が44万円以下で青色特典の控除も使用していなかったため、実質的には白色申告と同じような状態です。
なお、初年度には一部「開業費」を計上していましたが、事業規模は小さく、副業的な位置づけでした。
現在、渋谷区の創業融資制度など「創業1年未満の事業者」を対象とする制度の利用を検討しています。
そこで、以下の点についてご相談させてください。
①今から開業届を「最近の日付」で提出し、創業融資や助成金などの対象になることは税務上・実務上問題ないでしょうか?
②過去に開業費を計上している場合でも、「2025年開業」として扱うことに税務リスクはありますか?
③今後の融資・助成金・法人化などを見据えた際に、どのような日付設定・届出方法が最も適切でしょうか?
お忙しいところ恐縮ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
税理士の回答
【1】開業届を「今の時点の日付」で提出することについて
結論:
税務上は問題ありません。
税務署は、開業届の提出遅れを理由に罰則を設けていません。
(所得税法229条等に罰則規定なし)
したがって、今(2025年)に「開業日=2025年◯月◯日」として届出を提出しても、
税務署としては特に異議を唱えません。
ただし、過去に青色申告で事業所得を申告していた点との整合性に注意が必要です。
【2】過去に「青色申告」や「開業費計上」をしていた場合の扱い
青色申告は、原則として「開業届を提出した者」が対象です。
しかし実務上、開業届が出ていなくても「実際に事業活動をしており、青色承認申請書が受理されている」場合は有効とされます。
つまり、
• 税務署がこれまでの青色申告を受理していた
• 所得が少なく特典も使っていなかった
という状態であれば、税務上の問題は実質的にありません。
ただし、2025年開業とする届出を提出することで、
「2022年~2024年に事業を行っていた事実」との整合性が崩れます。
税務調査や融資審査で過去の確定申告書が確認されると、
「実際は2022年から事業をしていたのでは?」と指摘される可能性があります。
【3】融資・助成金(「創業1年未満」条件)の扱い
創業融資・助成金は、税務署ではなく自治体・金融機関の運用ルールで判断されます。
多くの制度では、「開業日=税務署に届け出た開業届の日付」で判定します。
したがって、
・開業届の日付を「2025年◯月◯日」とすれば
→ 形式上は「創業1年未満の事業者」として扱われる可能性が高い。
ただし、
・過去の確定申告(2022~2024年の青色申告)が確認されると、
「すでに事業実績がある」とみなされる可能性もあります。
自治体や金融機関によっては、
「確定申告をしていた時点で創業済と判断」するケースがあります。
本投稿は、2025年11月08日 20時50分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







