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事業所得→雑所得へ切り替える場合の開業費の扱いについて

扶養内フリーランスとして活動しています。
売上が矮小な状態が続き今後も増加が見込めないため、来年から事業所得→雑所得へ切り替える予定です。

この場合、今付けている帳簿に残っている開業費(繰延資産)はどのような扱いになるのでしょうか?

“事業に係る雑所得”に区分は切り替えますが仕事自体は続けていく予定で、複式簿記での記帳も続ける予定です。
いずれ収入が増えて事業所得に戻す事になった場合、任意償却することはできるのでしょうか?それとも雑所得へ切り替えた時点で消滅すると考えた方が良いのでしょうか?
ご教示いただけますと幸いです。


また、この場合帳簿の処理は下記1-3どのようにするのが良いのでしょうか?

1.事業所得として申告する最終年に強制的に償却する(利益<開業費なので無意味な償却となります)
2.前年までの入力内容を引き継がず開業費を無しにした新たな帳簿として作成し直す
3.これまで通り帳簿に繰延資産として残しておき、いずれ事業所得に戻した後に任意償却する


色々と調べてみましたが、自力では正解が分からず混乱しています。
ぜひ専門家のご教示を頂けますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

税理士の回答

 現在の本業が副業になってしまうということでしょうか。
 単に金額が小さくなるだけで、それがあなたの本業ならば雑にする必要は無いのですが、副業になってしまう場合には雑所得の可能性もありますね。ただ、業務を行っていることには違いが無いので、いわゆる廃業なのかどうかは難しい判断だと思います。
 あなたのように、事業所得から雑所得(業務)へ切り替えても、帳簿上の開業費(繰延資産)は消滅せず、将来的に事業所得へ戻った際にも任意償却することは可能です。  
 税法上、開業費は「支出した金額のうち任意の金額を必要経費に算入できる」とされており、償却のタイミングに期限はありません。所得区分が一時的に「雑所得」となっても、その活動自体(事業の源泉)が継続している限り廃業では無く、資産としての権利は保持されます。
 ご提示いただいた選択肢の中では、「3」の処理が最も合理的です。
 1. 各選択肢の判断
 1. 強制的に償却する:推奨しません。
 利益が少ない状況で償却しても節税効果がなく、資産を無駄に消費するだけになります。
 2. 新たな帳簿として作成し直す:不要です。
 開業費は税務上の資産であり、一度計上したものは償却し終えるまで残せます。あえて除外する法的なメリットはありません。
 3. 帳簿に繰延資産として残し、将来償却する:推奨します。
 雑所得として申告する期間は「償却費0円」として計上せず残しておき、将来売上が回復して事業所得に戻ったタイミング(あるいは雑所得でも利益が出て節税したいタイミング)で任意償却を行うのが最も有利です。
 2. 運用のポイント(2025年時点)
 雑所得での償却について:
「事業に係る雑所得(業務)」の計算においても、必要経費の算入は認められます。もし雑所得の段階で利益が出るようになったら、その時点で一部を償却して節税に充てることも可能です。
 記帳の継続:
 複式簿記を続けられるとのことですので、貸借対照表上の「開業費」の残高をそのまま翌年以降へ繰り越してください。
 所得区分の判定:
 所得税の区分(事業か雑か)は、記帳の有無や収入金額、営利性などから総合的に判断されますが、区分が変わることで過去に積み立てた繰延資産が否定されることは通常ありません。
 将来、再び事業所得として申告する際に、残っている開業費を有効活用できるよう、現在の残高を維持したまま記帳を継続されることをお勧めいたします。

雑所得へ切り替えた時点で開業費(繰延資産)は税務上償却対象から外れ、以後は任意償却も引継ぎもできないため、事業所得として申告する最終年に全額償却する扱いとするのが適切であり、ご提示の選択肢では①が正解でございます。

本投稿は、2025年12月30日 22時27分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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