eスポーツにまつわる税金!プロゲーマーの獲得賞金は課税される?

eスポーツは近年、日本人選手の優勝者も登場したこともあり、日本でも認知が高まっています。今後、国内でも法的な課題が解決された際には、プロゲーマーと呼ばれる、ゲームで戦うことで収入を得る人が本格的に増えていくと予測されます。
そこでこの記事では、eスポーツやプロゲーマーにまつわる税金について解説します。
目次
eスポーツの基礎知識
eスポーツとは、「エレクトロニック・スポーツ」の略です。わかりやすく言うと、コンピューターゲームやビデオゲームを使った対戦をスポーツとして捉える際に、この言葉が使われます。
スポーツという言葉が使われるように、大会が開かれる際には、賞金が用意され、選手には技を競い合うプロスポーツとして楽しまれています。
現在日本ではあまり普及していませんが、海外では特に中国や韓国、アメリカなどで非常に発展しています。
なぜ日本で流行らないのか
現在の日本では、景品表示法、風俗営業法、賭博罪などの法律に触れることから、高額賞金をかけた大会を開くことが困難なため、プレイヤーが育ちにくいということが挙げられます。安定して収益を稼ぐことが難しいため、社会人がプロゲーマーという職業を選択しづらい状況なのです。
しかし、今の厳しい環境下でも、日本人のプロゲーマーが世界で活躍しています。今後、新たに環境が整備された際には、今まで以上に多くの人がプロゲーマーを目指すようになるでしょう。
なお、プロゲーマーとなり、ゲームの大会で賞金を稼ぐようになった場合には、確定申告が必要になることを覚えておきましょう。
eスポーツの確定申告
ゲーマーには、ゲーマーを専業としながら活躍する個人事業主や、会社員の副業として、アルバイト感覚で賞金ありの大会に参加している人など、さまざまな人がいます。また、専業として活躍する人の中には、スポンサー契約をして、賞金以外に収益を得ている方もいます。
では、どのような人が確定申告をする必要があるのでしょうか。
賞金にはどんな税金がかかる?
まず、eスポーツの大会で賞金を得た場合、受け取った賞金には所得税が課されます。所得税は、超過累進税率となっており、所得が増えるに従って負担する税率が大きくなるしくみになっています。
個人事業主としてプロゲーマーをしている場合は事業所得となり、所得税のほかに所得合計額が290万円を超えている場合は「個人事業税」が課税されます。
一方で、趣味程度でeスポーツを行い、営利を目的とせずに大会に参加したときに得た賞金は、一時的な収入なので一時所得の対象となります。

事業所得となる場合、事業としてゲーマー活動で得た賞金を含めたすべての収入から必要経費を差し引いた額が、事業所得の金額となります。
総収入金額 - 必要経費 = 事業所得
このとき、算出された事業所得の額から基礎控除額を引いて残額がある場合は、確定申告が必要になります。
一方で、趣味などでの活動で得た賞金ほか収入は、一時所得とみなされるため、以下の計算式で所得を計算します。
総収入金額 - 収入を得るために支出した金額 − 特別控除額(最高50万円) = 一時所得
一時所得の場合は、上記の計算式で出た「一時所得の金額」の2分の1に相当する金額が課税対象金額となり、アルバイトや給与などほかの所得を合算して、納税額を算出します。
確定申告は必要?事業主か副業かで異なる
給与所得を得ている会社員や学生などであれば、大会の賞金を年間20万円以上稼いだ場合には、所得税の確定申告(以下より確定申告)の対象になります。
プロゲーマーとして活動している個人事業主の場合は、大会の賞金金額が年間48万円以上であれば確定申告が必要になります。
なお、ごくまれにですが、企業に所属してゲーマーという職種に就き、給料としてもらっている人もいます。その場合は年末調整が会社で行われるため、原則として個人で確定申告をする必要はありません。
ただし、所得税の確定申告が不要でも住民税の確定申告が必要になるケースもあるので注意してください。
どこまでが経費として計上できる?
確定申告では、収入を得るためにかかった費用は経費として計上することができます。
プロゲーマーが確定申告の際に認められる経費は、以下のようなものが考えられます。
- 大会へ向かうための交通費
- 大会の際の滞在費
- 大会で使うPCやゲーム機 など
また、事業でゲーマー活動をする場合(事業所得)は、一時所得として申告するよりも、税務上の特典を受けることができます。主な特典としては以下のようなものがあります。
- 青色申告特別控除
- 青色事業専従者給与
- 貸倒引当金
- 純損失の繰越控除、繰戻し還付
いずれの場合でも、確定申告の際に経費として計上する際には、領収書が必要になります。必ず領収書をもらって保管しておきましょう。
海外で得た賞金はどのように処理すればよい?
もし海外の大会で賞金を得た場合は、どのように課税されるのでしょうか。
日本の法律では、日本の居住者(国内に住所を有し、または現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいう)は所得が生じた場所が国内であるか、国外であるかを問わず、すべての所得について日本で課税されます。
しかし、海外で賞金を獲得した場合、その国の法令によって、賞金を獲得した国でも所得税が課される、いわゆる日本と外国の2重で所得税が課されてしまうこともあります。
このような2重課税を防ぐためにも、外国税額控除という制度を活用しましょう。外国税額控除とは、外国で所得税を納付することになる場合に、一定の金額を限度として、外国所得税の額を当該年の所得税額から差し引くことができる制度です。
海外で賞金を得た際には、国税局電話相談センターや税務署に相談してみましょう。
大会主催者が気をつけるべきこと
最近では、吉本興業がプロゲーマーの育成、イベント・大会の実施など、eスポーツ事業への参入を発表したり、サイバーエージェントの子会社がeスポーツのプロリーグを開始するなど、eスポーツのポテンシャルの高さに大手企業も興味を示してきています。
今後、賞金に関する法律などの課題がクリアになってきた場合、今まで以上にeスポーツへの参入を考える企業が増えてくる可能性は大いにあります。
では、企業が大会の主催を検討した場合、どこまでが大会の経費として認められるのでしょうか。大会開催で認められる経費は、以下のようなものが考えられます。
- 広告宣伝費
- 運営費
- 運営人員費
- 大会に必要な物品費
- 機材、機材運搬費
- 会場費
- 設備費
大会を主催する際には、通常のイベントと比べても、機材やテレビ放映に関する費用など膨大な経費がかかることが予想されます。上記にあげた以外にも経費と認められるものはあると考えられるでしょう。
eスポーツが新しいジャンルの事業なだけに、イベントや大会に関わることを検討しているならば、こうした税務に詳しい税理士に相談してみることをおすすめします。
おわりに
プロゲーマーはもちろんですが、アルバイトで賞金稼ぎをする場合でも、一定の条件を満たしていれば、確定申告が必要になります。
事業でプロゲーマーをしていたり、アルバイトで多額の賞金などの収入を得ている人でも、場合によっては経費の計上や確定申告の手続きがややこしく、迷ってしまうこともあるかもしれません。そうした困った状況が発生した場合には、一度税理士に相談してみてはいかがでしょうか。
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