太陽光発電開始に伴う消費税の取り扱いについて
・今年6月末に約2000万円で中古の野立て太陽光設備(土地は地上権を設定してもらい使用)を購入する契約を締結しましたが、土地の地上権に抵当権が設定されていることから抵当権の抹消がされるまで私に対する地上権の移転登記手続きが完了せず、設備代金に対するローン融資も実行されていない状態です(契約上、引き渡しはローン融資実行による設備代金の完済時点となっているため、現時点で設備の引き渡しは受けていません)。
・設備の売買契約上、売電収入(年間200万円程度)については、(売買契約の締結前ではあるものの)今年5月末時点以降は(前の設備オーナーではなく)私に権利があるものとされており、上記引き渡しを受けた時点で私に入金されることになっています。
質問1:私が引き渡しを受ける前の売電収入に係る消費税は前の設備オーナーが電力会社から預かっている訳ですが、権利者である私に入金となった場合、この消費税は引き渡しを受けた後の売電収入に係る消費税と同様、私が合算して申告することになるのでしょうか?
質問2:売電収入(事業所得)を得る前提で今年中に開業届と共に消費税の課税事業者選択届を提出し、消費税の還付を受けるための手続きをする予定です。開業届および消費税の課税事業者選択届を提出する際の開業日は、①将来私が引き渡しを受ける時点、②前のオーナーが設備を所有していたものの、契約上私が権利を有する5月末時点のいずれでしょうか?
税理士の回答

細かい契約内容が不明のため、あくまでも一般論として説明します。
引き渡されていない太陽光発電設備から生じる売電収入は、通常、そのときの所有者である前所有者に帰属します。
ただ民法上、当事者間で合意された契約において、引渡しが前所有者の責に帰す事由により履行遅滞になった場合、前所有者は損害賠償などの責任を負うことになります。そして契約(或いは当事者の合意事項)で、引渡しが遅れた場合に、前所有者はその期間にかかる売電収入を買受人に、名目はどうであれ損害賠償金(逸失利益)的性格を持つものとして渡す、としていると解されます。
その場合、実質この金額は売電という資産の譲渡等の対価とみなされ、消費税の課税対象となります。したがって、引渡しを受けた後の売電収入同様、消費税の申告をすることになります。
次に「開業日」ですが、消費税法上では「課税資産の譲渡を開始した日」とは、その準備行為も含めて判断するため、少なくとも売買契約書を締結した日は具体的な準備行為をしたとして、判断することになります。
余談ですが、所得税法上「事業」所得になるか、或いは「雑」所得になるかで、大きく所得計算が違ってくることがあります。判定は一律線引きではできない部分があるので、詳しい税理士さんにご相談された方が良いと思います。
畑中先生、ご多忙のところご回答ありがとうございました。引き渡しに関し、前オーナーである売主の帰責事由等は特になく、業者を通じ買主を探す期間の売電収入は買主に帰属するとの契約になっているものです。いずれにしましても、買主である私が消費税の申告をすることになる点承知いたしました。
事業所得になるかどうかにつきましては、所管の税務署に個別に確認いたします。
本投稿は、2021年07月05日 21時33分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。