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定年退職後の確定申告要否について

2020年3末に定年退職、同年4月から別会社に転職しました。別会社に定年退職した会社の源泉徴収票を提出し、別会社での年末調整を予定しております。
このケースでは、確定申告不要と考えておりますが、ネットには以下のような記載があります。
●定年退職後でも確定申告が必要な3つのケースについてまとめてみました。
1.公的年金等の収入金額の合計額が400万円を超す場合
複数から受給している場合は、その合計額が対象となります。
2.公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円を超す場合

上記に照らすと、別会社の給与が400万円程度あることから上記2に該当し、確定申告が必要であるようにも思われます。確定申告要否につき、ご教示ください。

税理士の回答

  回答します。
 
  お尋ねの基因となったネットの内容は
  「公的年金」を得ている方のケースの内容となります。
  ※正しくは「①かつ②」となります。

  貴方は給与所得の他に公的年金の収入もあるのでしょうか。
  お尋ねの文面からは把握することができずに申し訳ございませんので、2つの例で回答いたします。

1 給与所得のみの場合
  確定申告義務はありません。
  貴方の現在の収入が、給与収入(給与所得)のみであり、再就職先で今年の分の年末調整で所得税の精算は完結します。

  また、今年退職したのであれば、退職後、別会社に勤務し、別会社で前職分の給与を含めて年末調整を行うのであれば、この場合も確定申告の必要はありません。
  退職が昨年だった場合は、既に年末調整と思われますので、特に確定申告は必要ありません。


2 給与所得の他に公的年金の収入がある場合
  既に、別会社からの給与収入が400万円ということですので、給与所得者の確定申告の要否で回答します。
  給与所得のある方で、他の所得が20万円以下の場合は申告する義務はありません。

  そこで、貴方の公的年金の所得金額が20万円以下の場合には確定申告義務はありません。(還付を受けるための申告はできます)
  ただし、住民税の申告義務はあります。
  公的年金の所得金額が20万円を超える場合は確定申告義務があります。確定申告をした場合は住民税の申告は必要ありません。


 国税庁HPから参考箇所をご案内します。
 「給与所得者で確定申告が必要な人」
 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
 「公的年金等の課税関係」
 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm

米森まつ美先生
早速のご回答ありがとうございます。
当方、60歳。公的年金の受給は64歳からですので「公的年金受給までは確定申告義務はない」と理解しました。なお、64歳からの公的年金の所得は20万円超となりますので「確定申告義務あり」とのことですが、仮に20万円以下の場合には「住民税の申告義務あり」ということになりますでしょうか。引き続き、別会社で勤務している場合には年末調整が実施されるため、別会社が年末調整のデータを自動的に市区町村に送るため「住民税の申告は不要ではないか」と思われますが如何でしょうか。
よろしくお願いいたします。


  回答します

  公的年金の申告不要(確定申告)に該当する場合であっても、通常は住民税の申告をする必要があります。
  これは、配偶者控除や生命保険料控除などの情報を、市区町村に申告するためとなっています。

  給与所得の場合、年末調整による収入や各種控除は「給与支払報告書」として会社から報告がされていますので、そのように考えますと必要がないとも思えますが、現状では市区町村によって対応が分かれているようです。
  住民税には、所得税のような「申告不要」制度がないため、ここでは原則論のみお伝えさせていただきます。


  なお、給与所得者の「申告不要」に該当した場合であっても、公的年金の「申告不要」に該当しない場合は、所得税の確定申告は必要になります。
 
 少し整理をします。
 給与所得と公的年金の収入がある人で、所得税の確定申告が必要な人(義務がある人)とは
① 給与の収入金額が2000万円を超える人又は公的年金の収入金額が400万円を超える人
② 給与の収入金額は2000万円以下で、公的年金の所得金額が20万円を超える人
③ 公的年金の収入金額が400万円以下で、給与所得金額が20万円を超える人

 ①~③に該当しない人は、所得税の確定申告書の提出義務はありませんが、源泉所得税などが控除されている場合で、還付を受けるための申告はすることができます。

 所得税の確定申告書の提出義務がない(申告不要)場合であっても、住民税の申告は原則必要となります。詳しくは市区町村にご確認ください。


 国税庁HP掲載の「年金受給者のフローチャート」が分かりやすいと思います。参考にしてください。https://www.nta.go.jp/about/organization/takamatsu/release/hodo/hodo_24/24kakusihin/pdf/nenkin.pdf
  

  

米森先生
迅速、適切、わかりやすい解説ありがとうございます。
いろいろ調べてもよくわからなかったことがクリアになり、大変助かりました。
本当にありがとうございました。

  ベストアンサーをありがとうございます。
  少しでもお役に立てましたら幸甚です。

米森先生のご略歴を拝見させていただきました。元国税職員で「源泉所得税の専門家」でいらっしゃったんですね。実務に裏付けされた先生だからこその回答、解説、アドバイスは一味も二味も違うなというのが正直な気持ちです。米森先生に回答いただきラッキーでしたし、心より感謝いたします。
貴事務所の益々のご発展を心より祈念しております。

ご丁寧にありがとうございます。
 そのようにお褒めに頂きますと恐縮してしまいます。
 今後もご不明な点がございましたら、遠慮なく「みんなの税務相談」にお寄せください。
 ご縁がありましたら私も回答させていただく機会があると思いますが、私以外の皆さんも税務の専門家として、また、得意分野をおもちの頼れる先生方です。ご安心ください。

 最後になりましたが、
 ご相談者様及びご家族に皆様のご健勝をお祈り申し上げます。 
                             かしこ

本投稿は、2021年11月04日 15時02分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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