夫婦の共有財産として、預金のバランスを取るための資金移動について
夫婦の共有財産として、預金のバランスを取るための資金移動について相談
私は52歳、妻は53歳で、結婚して26年になります。
これまで妻の給与から主に生活費を負担し、私の給与の約8割程度を長期間貯蓄し資産形成してきました。
現在、夫婦の総資産は3000万円弱です。
一方、妻名義の預金は100万円未満しかなく、夫名義に資産が大きく偏っていました。
妻からは、今まで自分のおかげで作り上げた共有財産なのに、自分名義の資産がないことで老後に向けて、不安と不公平感が強いと指摘されました。
そこで昨年、これまでの夫婦の資産形成を考えて、夫名義の預金から妻名義の口座へ1,500万円を移しました。
これは妻にお小遣いや財産をプレゼントするという趣旨ではなく、26年間の夫婦の生活や資産形成を考えて、夫名義に偏っていた預金のバランスを取るという考えで行いました。
移した1,500万円は現在も妻名義の定期預金にそのまま入っていて、妻はまだ使っていません。
利息以外は資金移動もありませし、
自分の口座なので通帳から印鑑等、口座管理は妻本人が行なっています。
この場合、この1,500万円は妻への贈与として贈与税の対象になるのでしょうか。
それとも、夫婦の資産形成の実態を踏まえた財産の帰属・バランス調整として、贈与とはならない可能性があるのでしょうか。
もし贈与に該当する可能性があるのであれば、まだ妻が使っておらず、現在もそのまま定期預金になっているため、夫の口座へ1,500万円を戻すことも考えています。
その場合、税務上『錯誤』や贈与契約の取消し等によって、最初から贈与がなかったものとして扱える可能性はありますか。
このケースでは、どのような条件を満たせば贈与がなかったものとして扱われるのか、教えていただきたいです。
税理士の回答
結論から申し上げますと、現在の税務のルールでは贈与税の対象となる可能性が極めて高いかと存じます。。
民法上、婚姻中に築いた財産は「夫婦の共有財産」と考えられますが、これは主に離婚時の財産分与において適用される概念です。婚姻が継続している状態での「口座残高のバランス調整」を目的としたまとまった資金の移動は、税務上は原則として「財産の贈与」とみなされます。日々の生活費の受け渡しとは異なり、1,500万円という金額は基礎控除(年間110万円)を大きく超えるため、多額の贈与税が発生してしまいます。
〈「錯誤」による取り消し(贈与の無効)は可能か〉
「贈与税がかかるという重大な事実を知らなかった(錯誤)」という前提があり、かつ「資金に一切手をつけておらず、そのまま定期預金として保全されている」という現在の状況は、取り消しを主張する上で有利な事実かと存じます。。
原則として一度成立した贈与の取り消しは税務上認められにくいものの、今回のように資金が全く費消されておらず、単に口座を移動しただけの実態であれば、「錯誤による無効」または「贈与の合意解除」として、初めから贈与がなかったものとして扱われる可能性はあるかと存じます。
〈今後の具体的な対応手順〉
昨年の資金移動とのことですので、本来の贈与税申告期限(今年の3月15日)はすでに過ぎています。税務署からの指摘を受ける前に、以下の対応を行うことをお勧め致します。
●元の口座へ戻す: 奥様の定期預金を解約し、1,500万円全額をご主人様の口座へ「振込」で戻す(資金の流れを記録に残すため)。
●証拠の保存: 資金が一切使われていなかったことを客観的に証明するため、奥様の通帳の履歴(入金から出金までの流れ)を確実に保管。
●合意書の作成: 「税務上の認識に誤り(錯誤)があったため、当初の資金移動を無効とし全額を返還した」旨を記載した夫婦間の確認書を作成しておくと、万が一税務署からお尋ね(書面での照会など)があった際の有力な説明資料となるかと存じます。
なお、今後は、年間110万円の基礎控除の範囲内で計画的に暦年贈与を行うなど、税務上のリスクがない方法で奥様への資産移転を進められることをお勧めいたします。
回答は以上となります。
ご参考になりましたら幸いです。
税金のことは知れば知るほど複雑で難しく、悩んでいたところでした。
非常に的確で分かりやすい回答をありがとうございました。
本投稿は、2026年08月26日 01時18分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







