親から出してもらったお金を一括返却すれば贈与になりますか
10年前に、親から新築住宅購入の資金として1000万程出してもらいました。税務署のお尋ねもありませんでした。
家の名義は私になっています。
私は、親から出してもらったお金を、一括返金したいと考えています。
私には兄弟がおり、親が、私だけにお金を出した「不公平感・不満」を、におわせてくるのに、うんざりしているからです。
以前、こちらで質問させていただいた時、
「10年前のお金は『借りたもの』としてとらえ、今、親に一括返済しても問題はない」と回答されました。
後で、他の税理士に聞いてみると、「当初に借用書を書き、定期的な返済履歴など無ければ、そのお金は贈与と見なされる。同じように親に多額のお金を返すと、親への贈与になる。返すなら、毎年100万とかにすべき」とも言われました。
どちらの見解が「通常」なのでしょうか。
個人的には、一括返済は、税務署に知られれば怖い気がしますが。
税理士の回答

国税庁のタックスアンサーNo.4420「親から金銭を借りた場合」が参考になります。ここには「親と子、祖父母と孫など特殊の関係がある人相互間における金銭の貸借は、その貸借が、借入金の返済能力や返済状況などからみて真に金銭の貸借であると認められる場合には、借入金そのものは贈与にはなりません。しかし、その借入金が無利子などの場合には利子に相当する金額の利益を受けたものとして、その利益相当額は、贈与として取り扱われる場合があります。なお、実質的に贈与であるにもかかわらず形式上貸借としている場合や「ある時払いの催促なし」又は「出世払い」というような貸借の場合には、借入金そのものが贈与として取り扱われます。(相法9、相基通9-10)」とあります。これによれば、今回のご相談内容では、贈与とされる可能性が高いものと思われます(ただし、その場合贈与から6年が経過しているため、時効が成立しています。相続税法36条)。なお、ご質問の一括返済は、贈与の取消し等によるものではないので、贈与税の対象になるものと思われます(昭和39年5月23日直審(資)22、直資68「名義変更等が行われた後にその取消し等があった場合の贈与税の取扱いについて」通達参照)。ちなみに、暦年贈与(年間110万円)にする場合は、1000万円一括贈与の分割贈与(この場合多額の贈与税が発生します。)と認定されないよう注意が必要です。
回答ありがとうございます。
納得いたしました。
1つ質問なのですが、
「暦年贈与(年間110万円)にする場合は、1000万円一括贈与の分割贈与と認定されないよう注意が必要」
とありますが、どのような「注意」なのでしょうか。
・年ごとに贈与契約書を作成する。
・金額を変える。
・振り込み月を変える。
といったことでしょうか。
お忙しい中、再度質問して申し訳ありません。

国税庁タックスアンサーNo.4402「贈与税がかかる場合」には、「Q 親から毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受ける場合には、各年の受贈額が110万円の基礎控除額以下ですので、贈与税がかからないことになりますか。」に対して、「A 定期金給付契約に基づくものではなく、毎年贈与契約を結び、それに基づき毎年贈与が行われ、各年の受贈額が110万円以下の基礎控除額以下である場合には、贈与税がかかりませんので申告は必要ありません。ただし、毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受けることが、贈与者との間で契約(約束)されている場合には、契約(約束)をした年に、定期金給付契約に基づく定期金に関する権利(10年間にわたり100万円ずつの給付を受ける契約に係る権利)の贈与を受けたものとして贈与税がかかります。なお、その贈与者からの贈与について相続時精算課税を選択している場合には、贈与税がかかるか否かにかかわらず申告が必要です。」とあります。ポイントは、定期金給付契約に基づくものではなく、毎年贈与契約を結び、それに基づき毎年贈与が行われることが必要ですので、例えば、①贈与する度に贈与契約書を作成すること、②贈与する金額や時期も毎年ずらすこと等が考えられます。
詳しい解説ありがとうございました。

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本投稿は、2021年01月28日 15時57分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。