納税猶予制度と相続時精算課税制度との併用について
株価が下がっているので、相続時精算課税制度の適用を受けて子供に自社株を渡すことを考えています。
相続時精算課税制度は納税猶予制度と併用を受けられるようになったと聞きました。
納税猶予制度で贈与する場合には、納税猶予制度の認定を受けた後に、贈与をしなくてはならないのだと思いますが、どうでしょうか。
子供が、まだ入社していないので、贈与だけ先にして、入社したら、納税猶予制度の認定を受けるという方法はだめでしょうか。
税理士の回答

天野健一
ご相談承ります。
相続時精算課税と納税猶予制度についてはそれぞれ適用できる条件が複雑になってますので、パターン別に分けて解説致します。
前提条件としてお子様は20歳以上であると想定しています。
【相続時精算課税のみ利用】
現状でも届出さえ提出すれば簡単に利用できます。
贈与した自社株の評価額が2500万円以下なら贈与税はかかりません。
超える場合は、超えた額の20%が贈与税として課税されます。
また、この制度はあくまで税金の繰延べですので、
ご自身が死亡された時に贈与した自社株の評価額が相続税の計算に加算されます。
【納税猶予制度のみを利用】
この制度では、お子様が会社の代表権を有している必要がありますので現状では利用できません。
なお、代表権等々の問題が解消されこの制度が利用できるようでしたら、
認定を受けるなど条件を満たせば贈与時及びご自身の死亡時の相続税も
この自社株については納税猶予により税負担が不要となります。
【納税猶予と精算課税の併用】
納税猶予の条件を満たし精算課税を併用した場合については、
基本的には上記の納税猶予制度のみの利用とほぼ同じ効果が得られます。
ただ異なる点といえば、
お子様が納税猶予された株式を売却等をして納税猶予が適用除外となり、
猶予されていた贈与税を全額支払う必要が生じた時です。
この場合は精算課税を併用してますので2500万円の特別控除枠までは税金が生じないので負担が軽減される等々の利点があります。
なお、質問者様が提案する贈与の後に納税猶予制度を利用することはできないこととなっております。
以上参考になればと思いますが、実際の制度の利用に際してはここに記載した以外の他の要件等もありますのでご注意下さい。
本投稿は、2020年03月23日 16時26分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。