財産状況が不明確な場合の相続税申告について
相続人不存在のいとこが先日、病気で亡くなり、遺言書によって私がすべての財産の遺贈を受けることになりました。
近々、相続税の申告をしなければならないのですが、亡くなったのが急だったため、いとこの財産状況が不明です。所持していた銀行のカード類から推察し、目星をつけた銀行に照会をかけながら手続きをしていますが、いとこが開設していた口座すべてを税申告の期限前に手続きできるかどうか不安です。
そこで相談したいのは、
①把握できなかった(口座の有無を知らないまま手続きできなかった)銀行口座に預貯金があった場合、相続税申告の際、遺産隠しと見なされますか?
申告後、そのような口座が新たに判明した場合、修正申告はもちろんするつもりではいます。(ちなみに故人はマイナンバーカードは作っていませんでした)
あと、もう1点。
いとこの病気療養中、私をはじめとして、行き来のあった親類何人かで協力していとこの生活を支えておりました。遺贈を受けたのは私ですが、手伝ってくれた何人かの親類に特別寄与料として幾ばくかの金銭を協議の上、差し上げたいと考えています。その場合、私が遺贈を受けた遺産から債務控除できますか?また、特別寄与料を受け取る側は、被相続人からの遺贈扱いになるとのことですが、仮に1人あたり200万円ずつ差し上げた場合、受け取る側も税金を支払うことになるのでしょうか?
税理士の回答

①申告期限までに判明しなかった相続財産が判明した場合には、その財産について自主的に修正申告書を提出すれば、更正を予知しない修正申告として、過少申告加算税を賦課されることはありません。本税と延滞税はかかります。
税務調査により申告漏れ財産が把握された場合は、当局が判断することになります。
特別の寄与ですが民法1050条が新設され、被相続人の親族は相続の開始後、相続人に対し、特別寄与者の寄与に応じた額の金銭の支払いを請求することができることになりました。
要件は次のとおりです。
⑴被相続人に対して無償の労務の提供があったこと。
⑵特別寄与者は被相続人の親族(6親等内の血族、配偶者及び3親等の姻族)であること。
⑶被相続人の財産の維持又は増加についての特別に寄与があったこと。
手続
特別の寄与料の支払いについては、当事者間の協議により決められます。この場合は、相続税が課税されます。
特別の寄与に該当しない場合は、貴方が相続して、その後贈与があったと判断されて、受贈者に贈与税が課税されます。贈与税の基礎控除額はご承知でしょうが110万円です。
200万円-110万円=90万円×税率10%で納税額は9万円です。
相続税の基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数ですが、法定相続人がおりませんので、3,000万円です。
なお、財産を取得した者が被相続人の一親等の血族及び配偶者以外の者である場合には相続税額により算出した金額に、20/100に相当する金額を加算した金額となります。
よろしくお願いいたします。
鈴木先生、ご回答ありがとうございます。
「税務調査により申告漏れ財産が把握された場合」とありますが、その場合、当局サイドから当方に、「●×銀行に▲▲万円預金がありますよ」、または「★★証券に株がありますよ」などと具体的に教えていただけるものなのでしょうか?
被相続人が体調を崩して以降、生活の援助をはじめ病院での主治医からの病状説明への同席など多方面にわたって関わってきましたが、いきなり急変して帰らぬ人となってしまったため金融資産の把握など、被相続人の存命中はやりようがありませんでした。
特別寄与についてですが、私の他に故人の介護にかかわった親戚はいずれも「6親等内の血族」ですので、(2)の要件はクリアしていると思います。また、自宅での療養中は訪問看護や介護サービスなどを一切利用せずに、私をはじめ何人かの親類で介護をしたので(1)の要件もクリアしていると考えます。もちろん無償です。
介護に協力してくれた何人かの親類から特別寄与料をくれと請求があったわけではないので、実質的には私からの贈与、ということになるかもしれませんが、「特別の寄与料の支払いについては、当事者間の協議により決められる」ということですので、彼らと協議の上、金額を決めて支払うという形にできると考えますが、どうでしょうか?
また、その場合は、相続税が課税されるようですが、仮に1人あたり200万ずつ支払うことにしたとして、基礎控除額3000万円を超えないので受け取る側の税負担は0円という解釈で合ってますでしょうか?
贈与税の基礎控除額および、法定相続人不在の場合の2割加算については浅学でありますが存じております。

税務調査が入った場合は、調査結果を相続人に説明して修正申告の慫慂となります。その事実を基に、相続人は指摘のあった金融機関に請求することになります。
以前に税務調査が入って被相続人名義の預金を見つけてもらったことがありました。その事案は、過少申加算税でした。
特別寄与については、質問の通りでよろしいと思われますが、親族からの請求について書面に残してください。
相続財産が基礎控除額以下でしたら相続税はかかりません。申告書の提出の必要もありません。
ご存じとは思いますが、税務署は、過去の所得等のデータを蓄積しています。心配でしたら非課税でも期限内申告書の提出をお勧めします。過少申告と無申告では、加算税・延滞税に違いが生じます。財産額が幾らぐらいかは解りませんが、念の為お伝えします。
本投稿は、2023年10月27日 22時12分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。