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相続税・土地評価(小規模宅地特例等)について

相続税申告に当たっての土地評価についてお伺いできればと存じます。
【前提事項】
・被相続人が死亡し、被相続人と同居していた娘(相続人)が被相続人所有の土地を相続。
・相続人は、住民票の世帯は被相続人と別であるものの、40年以上衣食住を共にして生活しており、相続人・被相続人が居住している家屋および家屋が建つ土地は相続人所有(もともとは相続人の父が所有していたが15年前に父の死亡により相続人が相続したもの)のものである。
・被相続人が所有していた土地は、家屋の前にある庭および庭の前にある貸駐車場(15~20台程度)であり、庭は、家屋部分と一体として利用しており、被相続人がその土地を自宅の一部として日常的に使っている(庭と家屋は同じスペースとしてブロック塀で囲われている。)。
・庭および貸駐車場については隣接していますが、ブロック塀で区分けされている。また、庭および貸駐車場は道路に1面しか面していない。

<照会事項①:庭部分の相続について>
 相続人が所有している「建物の敷地」と相続財産である「庭」は物理的・機能的に一体となっており、全体が「宅地」として評価され(庭は固定資産税の課税資産明細でも「宅地」となっている。)、小規模宅地特例の特定居住用宅地等が利用できるという理解で問題ないでしょうか。

<照会事項②>
駐車場部分と庭部分については、隣接した土地でありますが、ブロック塀で区分けされており、また利用用途も異なることから、土地評価は分けて行うことで問題ないでしょうか。
また、分けて評価する場合には、庭部分の正面路線に面する長さ(間口距離)が狭くなるのですが、この場合には、長さに応じて、間口狭小補正率を加味して土地評価の計算をするという理解でよろしいでしょうか。

<照会事項③>
 駐車場については、砂利を引いており(最後に引いたのが7~8年程度前)、フェンスもありますが、各駐車スペースにロープ等は引いておりません。
この場合において、小規模宅地の特例の貸付事業要宅地等の特例を利用するのは難しいでしょうか。

税理士の回答

回答申し上げます。

<照会事項①:庭部分の相続について>
 相続人が所有している「建物の敷地」と相続財産である「庭」は物理的・機能的に一体となっており、全体が「宅地」として評価され(庭は固定資産税の課税資産明細でも「宅地」となっている。)、小規模宅地特例の特定居住用宅地等が利用できるという理解で問題ないでしょうか。

【回答】被相続人様所有の庭の部分は小規模宅地の特例の適用があるものと判断しております。
 建物の敷地として利用されていた宅地の範囲の考え方は、その建物を建築するために必要な最小限の宅地の部分のみとするのではなく、現実の利用状況を基に社会通念上に沿って、建物と一体として利用されていたかどうかを考慮して判定するものと考えられます。
 社会通念上、ご自宅と庭はそれ全体で自宅と認識しますし、庭のみ個別に評価することは通常ございません。

 今回のご質問のケースでは、
・相続人様所有の土地家屋に、被相続人様と相続人様が長年生活を共にされ同居されていた点
(住民票の世帯は異なるようですが、生活の実態で考えます。場合によっては、申告の際に、長年同居されていた説明書きをお付けいただくとよいかと存じます。)
・ご自宅の庭部分は、当然ご自宅と一体として利用されていた点
・ご自宅の庭部分は、ご自宅土地建物を所有し、かつ、生計を一にしていた相続人様が相続され、申告期限まで居住継続・所有継続される点
から、小規模宅地の特例の適用ができるものと考えております。

余談にはなりますが、私が本土地を評価する場合は、
庭部分だけで評価できるとしても庭だけでは評価せず、
自宅部分と庭部分を一体として一旦評価した上で、面積按分で庭部分の評価額を算定し、小規模宅地を適用するかと存じます。

<照会事項②>
駐車場部分と庭部分については、隣接した土地でありますが、ブロック塀で区分けされており、また利用用途も異なることから、土地評価は分けて行うことで問題ないでしょうか。

【回答】ご質問者様にご記載いただいたとおり、利用状況が異なることから、駐車場部分と庭部分は分けて評価を行います。

また、分けて評価する場合には、庭部分の正面路線に面する長さ(間口距離)が狭くなるのですが、この場合には、長さに応じて、間口狭小補正率を加味して土地評価の計算をするという理解でよろしいでしょうか。

【回答】ご理解のとおりでございます。
利用状況に応じて分けて評価し、その結果、間口狭小補正率や不整形地補正率を加味して評価いたします。


<照会事項③>
 駐車場については、砂利を引いており(最後に引いたのが7~8年程度前)、フェンスもありますが、各駐車スペースにロープ等は引いておりません。
この場合において、小規模宅地の特例の貸付事業要宅地等の特例を利用するのは難しいでしょうか。

【回答】残念ながら、砂利敷の駐車場については、小規模宅地の特例の適用は難しく存じます。小規模宅地の特例は、建物や構築物がある土地を前提としている制度であるため、砂利はある程度簡単に撤去できる点から、小規模宅地の特例対象外とされております。

ご参照の程お願い申し上げます。

ご丁寧に回答いただきましてありがとうございます。
恐縮ですが、追加で1点お伺いさせていただければと存じます。

照会事項①のご回答について、「私が本土地を評価する場合は、庭部分だけで評価できるとしても庭だけでは評価せず、自宅部分と庭部分を一体として一旦評価した上で、面積按分で庭部分の評価額を算定し、小規模宅地を適用するかと存じます。」とございますが、これは小規模宅地の特例において、建物部分と庭部分を一体として評価している以上(建物部分は今回の相続財産ではなかったとしても)、庭部分の面積単体で評価するというのは税務上問題があるということになりますでしょうか。
なお、今回の場合には、建物部分と庭部分を一体で評価すると、角地であることから、2面の道路に接することとなり、側方路線影響加算率を加味して計算することになり、評価額は庭単体で評価した場合と比較して高くなるかと思われます。
税務上の懸念はできるだけ少なくしたいものの、評価額もできるだけ抑えたく、庭単体での計算に問題があるのかお伺いできますと幸いです。

また、先生がおっしゃられている計算方法は、以下の理解でよろしかったでしょうか。
<例>
・角地 0.03加算
・建物部分の土地:350㎡
・庭部分の土地:150㎡
・正面路線価:85,000円(庭と建物部分に面する)
・側方路線価:84,000円(庭部分に面する)

側方路線による加算額:84,000円×0.03=2,520円
1㎡当たりの評価額:85,000円+2,520円=87,520円
評価額:87,520円×(350㎡+150㎡)=43,760,000円

上記評価額のうちの150/500㎡が今回の相続財産であることから、43,760,000円×150/500=13,128,000円(87,520円×150㎡と同義・申告書上は500㎡は登場せず、87,520円×150㎡で計算。)
131,280,000円のうちの8割が圧縮できることから評価額は2,625,600円となる。

以上、細かい点で恐縮でございますが、ご教示いただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。

最初のご質問の点から1路線かと認識しておりましたが、
建物部分を入れてしまうと2路線になってしまうのですね。

一路線にするか二路線にするかは、大変恐縮にながら、
(ご依頼されているならば)評価する税理士先生と、最終的には相続人様とのご相談・ご選択に委ねる点になるかと存じます。
そして、最終的に税務署の指摘がはいるかどうかは判断が難しい点になり恐縮にございます。

私の判断としては、次の理由から、ご自宅+庭で保守的に高く評価した上で小規模宅地を取るかと存じます。
・土地の評価は利用状況・利用単位によって評価する点(ご自宅+庭)
・自宅部分の敷地と庭部分と所有者が異なるので実際には筆が異なるかと存じますが、その状況で、一体として利用しているので小規模宅地を取るにあたって、路線価の点では庭側の路線だけ評価に使う点に違和感を感じる点

この場合の評価額の計算については、ご質問者様にご記載いただいた通りの認識になるかと存じます。
(土地の地形やその他の要因は不明なためその他の補正率はない場合を前提としております)

評価の一意見としてご参照いただけますと幸いです。

早速にご回答いただきましてありがとうございます。
結局圧縮して、そこまで大きな金額差異にならないということが分かりましたので、
保守的なかたちで申告したいと思います。

そして、何度も大変申し訳ないのですが、最後に1点だけ伺えればと思います。
「土地及び土地の上に存する権利の評価明細書(第1表)」では、路線価、間口距離、奥行距離を記載する必要があります。上記前提で考えると、路線価は正面85,000円、側方84,000円を記載するかと思いますが、間口距離と奥行距離は純粋な庭部分の距離を記載することになりますでしょうか(それとも庭と建物を一体として見た距離を記載するべきでしょうか。)。
庭部分の土地だけの間口距離を記載すると、間口が極端に狭くなり(6メートル程度)、間口狭小補正率を加味する必要があるように見えてしまうのですが、一方で上記のとおり、評価額の計算に当たっては建物部分の土地と庭部分の土地を一体評価しているので、間口狭小補正率は加味しない形になります。
この点、申告書上、間口距離が短いけれど、間口狭小補正率が加味されていないのはなぜ??と疑問に思われないかと思った次第です(税務署側で申告額が減る点についてあえて指摘はしてこないと思いますが、少し気になった次第です。)。また、庭と建物部分を一体として見た距離を記載すると、地積との整合性が取れないので、どうなのかなと思った次第です。

どうぞよろしくお願いいたします。

回答申し上げます。
前提:一体評価した後、地積按分で評価対象地を評価する場合

1.間口距離と奥行距離は純粋な庭部分の距離を記載することになりますでしょうか(それとも庭と建物を一体として見た距離を記載するべきでしょうか。)。

【回答】
一旦全体で評価し、地積按分で庭部分の評価額を算定します。
そのため、評価明細書の記載は下記のとおりです。

間口・奥行距離:庭と建物を一体としてみた場合の距離です。
(実際に評価対象地で、建物を建て替えることとなった場合、道路との接道を考える場合の間口は、一体評価した場合の間口で接道を取る点からも、間口は一体評価した場合の間口です)
地積:一旦全体の地積を記載
間口・奥行補正率:一体評価した場合の補正率を適用
※あるべき土地の間口・奥行をとるので税務署から指摘が入る可能性は限りなく低いかと存じます。
不整形地補正率:一体評価した場合の不整形補正率
最後に地積按分:庭部分の地積/一体評価地積
備考欄等に、一体評価した上で、評価対象地地積算定と記載

となりますでしょうか。
御確認の程お願い申し上げます。

大変分かりやすいご説明ありがとうございました!

本投稿は、2025年05月25日 17時12分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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