相続税の基礎控除の計算について
母が死亡したら、唯一の相続人である娘の私は相続放棄する予定です。
相続権は母の兄弟(生存4人と代襲相続人2人)に移りますが、この人たちも全員放棄すると思われます。この場合の基礎控除について教えていただきたいです。
私と私の娘は、母から相続時精算課税で贈与を受けており、基礎控除の金額によっては、相続税の申告の義務が生じます。
いろいろ調べてみましたが、結論(基礎控除額)が4種類ほどで食い違ってしまい、どれを信じたらいいかわからない状態です。
よろしくお願いします。
税理士の回答
前提として、民法の「相続人」と相続税法の「法定相続人の数(基礎控除の計算に使う人数)」の扱いは異なります。
相続税法では、相続放棄があっても「放棄がなかったものとして」法定相続人の数を数えます。(相続税法 第15条第2項)
これは、お母様の兄弟姉妹に相続権が移る場合でも、基礎控除の人数は変わりません。
今回のケースは被相続人(お母様)の子が質問者様お一人ですので、基礎控除の計算上の法定相続人の数は1人、基礎控除額は3,600万円(3,000万円+600万円×1)となります。
なお、娘様が被相続人であるお母様と養子縁組している場合は、基礎控除の人数に算入されます。この場合は、法定相続人の数は2人となり、基礎控除額は4,200万円(3,000万円+600万円×2)となります。
相続時精算課税については、被相続人が亡くなった時点で「相続財産の価額+(相続時精算課税で生前に受けた贈与財産の贈与時価額等)」を合算して相続税の計算を行います。この合計が基礎控除額以下であれば相続税の申告は不要です。超える場合には、相続時精算課税の適用を受けた受贈者(このケースでは質問者様と娘様)が相続税の申告を行います。ですので相続時精算課税制度により取得した財産以外も踏まえる点に注意が必要です。
また、娘様は、相続・遺贈・相続時精算課税に係る贈与で財産を取得した人が被相続人の配偶者または一親等以外である場合に該当すると考えられるため、娘様の相続税額に2割加算が生じます。(相続税法第18条)
最後に、相続時精算課税は一度選択すると撤回できない制度になっています。
以上を踏まえ、本件の基礎控除は通常の相続として判定し、基礎控除超となる場合に申告が必要ということになります。
心配であれば、お近くの相続税を取り扱っている税理士に相談することをおすすめします。
わかりやすい説明をしていただき、ありがとうございました。
本投稿は、2025年09月07日 11時26分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。