相続税申告 少額現金 実務上の取扱
兄弟2人で親の遺産を相続しました。遺産のほとんどが預貯金(名義預金を含む)で、総額1億2千万円ほどになります。それに比べ、手元に残した現金は千円に満たないごく少額です。親の部屋を整理する際に念入りに探しましたが、それ以上は出てきませんでした。この千円に満たない現金を申告の実務上どのように取り扱うべきかご指導願います。わたしは出てきたとおりの金額で申告しようと思うのに対し、兄は少額だから0円と見なして問題ないだろうという意見です。兄の意見も分からなくはありません。なお、通帳、はんこは親が生前自分で管理していて、相続直前の払い戻しはありません。通帳で確認できた最後の払い戻しは2年前3月の30万円でした。
税理士の回答
【結論】
ご質問の記載から、見つかった1,000円未満の現金が相続開始時の親御様の現金で、ほかに未確認の現金がないことを前提にすると、相続財産として実際に見つかった金額を記録・評価するのが適切です。お兄様のいう「少額なので財産そのものを0円とみなす」という扱いにはしません。
ただし、相続税申告書は千円単位で記載する箇所があるため、申告書上は端数処理により0千円となることがあります。これは申告書の記載単位によるもので、現金が存在しなかったという意味ではありません。
【理由】
現金は原則として相続開始時に存在した額で評価します。したがって、手元に残った実額を遺産分割のメモや財産確認資料に残し、申告書では所定の単位で記載します。約1億2,000万円の遺産について、相続人が兄弟2人であれば、基礎控除額は「3,000万円+600万円×2人=4,200万円」です。債務・葬式費用や各種控除を考慮する前では、1億2,000万円-4,200万円=7,800万円となるため、少額現金も含め、財産の把握自体は丁寧に行う場面です。
念入りに探しても1,000円未満だったとのことですから、その事実をそのまま残しておけば不自然ではありません。
次に行うことは、
- 見つかった現金を実額で数え、金額・発見場所・確認日をメモに残す。申告書で0千円となっても、このメモは保管します。
- 財産明細書の記載単位を確認し、千円未満の端数処理は様式どおりに行う。
- 2年前3月の30万円については、通帳で使途や残高の流れを確認する。相続開始時に残っていなければ現金として加算しませんが、相続直前の払戻しや未記帳の資金が判明した場合は、現金残高の確認をやり直します。
この千円に満たない現金を申告の実務上どのように取り扱うべきかご指導願います。わたしは出てきたとおりの金額で申告しようと思うのに対し、兄は少額だから0円と見なして問題ないだろうという意見です。
少額だから0円とはなりません。
現金残高が少額であったとしても、金額が分かっているのですから課税財産に加算すべきです。
相続税申告書の作成は相続税分野に強い税理士に依頼すべきで、そうした税理士に相談すれば、決して0円でよいとは言いません。
今村先生、中田先生、早速ご回答いただきありがとうございました。お二方のご指導に基づき、出てきたとおりの額で申告しようと思います。今村先生には理由のほか次にすべきことまでご助言いただきました。兄にも見せたところ、納得してくれました。
本投稿は、2026年08月05日 13時56分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







