非上場株式の譲渡所得について
相続によって取得した非上場株式を発行法人に譲渡します。譲渡所得は、法人への譲渡額から取得額を引いたものを譲渡所得としていいのでしょうか。また、相続による取得なのでこの非上場株式の取得額が分かりません。株券に記載された株式発行日時点での発行法人が株主総会で承認された譲渡額として計算してよいのでしょうか?
税理士の回答

米森まつ美
回答します
譲渡した株式の取得費の額が不明の場合は、その譲渡価額の5%を「取得費」とすることができます。
① 原則
今回の株式の譲渡先が「発行法人」のため、売却価額の全額が「譲渡所得」の対象にはなりません。
株式を発行法人に譲渡した時は、その株式にかかる発行法人の「資本等の額」を超える金額は「配当所得(みなし配当)」となり、20.42%の源泉所得税が徴収されます。
そして、売却価額からみなし配当額を減額した額が、「株式の譲渡価額」になります。
〇 次のような考え方になります
交付を受けた金銭等の額(売却額) ー みなし配当の額
= 株式の譲渡価額
株式の譲渡価額 - 取得費(不明の場合は譲渡価額の5%)
= 株式の譲渡所得の金額
② 相続による特例
今回の譲渡が、相続税の申告期限から3年を経過するまでの間の譲渡であった場合で、かつ、相続税が算出され納税となっていた時には当該みなし配当課税はないため、その時には、売却価額=譲渡価額として、譲渡所得の計算をするになります。
また、譲渡所得を計算する際の「取得費」に、相続税額のうち、当該株式の相続評価額相当分を含めることができます。
※ 当該特例を受けるには、譲渡の日までに「特例に関する届出書」を発行法人を経由して提出する必要があります。
届出書の様式を添付しますhttps://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/hojin/010705/pdf/380-1.pdf
その他、国税庁HPの参考箇所をお知らせします
「源泉徴収のしかた」4枚目(P231)の図がイメージしやすいと思いますhttps://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2019/pdf/10.pdf
タックスアンサーNo1464「譲渡した株式等の取得費」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1464.htm
タックスアンサーNo1477「相続により取得した非上場株式を発行会社に譲渡したとき特例」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1477.htm
早速のご返答、ありがとうございました。

米森まつ美
ベストアンサーをありがとうございます。
まずは、相続税の内容を確認した後、発行会社に確認をした上でお進めください。
稀ではありますが、「みなし配当」を失念している法人もあります。
また、「取得費」に関しても、被相続人が発行会社の設立時に出資をしたことにより得た株式の場合、発行会社で金額が分かる可能性もあります。
株式の異動があった時は難しいかもしれませんが、念のためご確認されてはいかがでしょうか。
わかりやすいアドバイスをいただきありがとうございます。
本投稿は、2020年11月24日 14時45分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。