現金1000万に対する相続税
お世話になります。
昨年9月に、実家の父が亡くなり、初めて相続に直面しています。
実家の正確な総資産はまだ出ておりませんが、おおよそ9000万くらいであろうということです。とはいうものの、不動産の資産がほとんどで現金ははっきりしたものでは1000万です。
これは兄の住宅ローンの担保として父が預け入れておいたもので、ローンは終わったようなのですが、父が寝たきり状態で施設に1年半入っていたので動かすことができなかったものです。
法定相続人は母と兄と私の3人となります。
両親と同居している兄の考えでは、配偶者控除を当てにしてほぼ母が相続することとするようです。とはいえ、放棄の届出はしていないので、兄も最低限の額で相続は発生するのだと思います。
私は二次相続を踏まえて放棄は考えておらず、できれば法定相続分をと申し出ましたが、無理ということでした。話し合いの末に土地は分割できない、現金の1000万をという話が出ています。
ただ、その代わり今後母の医療費や施設に入ることがあった場合、その費用などを負担するようにと言われました。
それについては当然な部分もあるのですが、1000万の相続とはいえ引かれる税金の額も大きいものと思いますので、手元には実際どのくらいの金額が残るのかわからず不安です。
この場合、現金で1000万円相続すると相続税はどのくらいになるのでしょうか。
いろいろ調べましたが配偶者控除や担保からの引き出しということを含めるとよくわかりませんでした。
よろしくお願いいたします。
税理士の回答
概算ですが、1,000万円に対する相続税額は52万円になります。
早速のご回答をありがとうございます。
自分なりには10%かな、と思っていました。
この相続税額は、今回の相続の仕方の大半が母の配偶者控除によることや法定相続人の人数などは関係してのものなのでしょうか。単純に自分が相続する額(今回の場合1000万円)に対しての相続税率で出すものではないのでしょうか。これからまだ何回か相続の場面があると思いますので勉強させていただければと思います。
よろしくお願いいたします。
相続税には基礎控除というものがあります。
亡くなった方(被相続人といいます)の残した財産(相続財産といいます)が基礎控除以下であれば、誰が相続しても相続税はかかりません。
基礎控除の計算は、定額3,000万円と法定相続人1人当たり600万円の合計になります。
ちなみに法定相続人は、相続放棄しても人数にカウントしますので基礎控除は同じです。
今回の例では、法定相続人は3人なので、基礎控除は4,800万円となります。
すると、課税対象は、
9,000万円-4,800万円=4,200万円となります。
次に、相続税の総額を計算します。
4,200万円を法定相続分で分け、税率を掛けて税額を計算します。
お母様は1/2、子供は2人でそれぞれ1/4。
お母様は、4,200万円×1/2=2,100万円
2,100万円×15%-50万円=265万円 ・・ ①
子供は、4,200万円×1/4=1,050万円
1,050万円×15%-50万円=107万5千円 ・・ ②
全体の相続税(相続税の総額といいます)は、
①+②×2人=480万円
相続税の総額を、実際に相続した金額で按分します。
例えば、1,000万円の場合、
480万円×1,000万円/9,000万円=533,300円
52万円と回答しましたが、途中で計算誤りがありました。
次にお母様の特例、配偶者の税額軽減について。
配偶者は、法定相続分又は1億6,000万円まで相続税がかかりません。
例えばの例として、お母様が8,000万円を相続した場合。
相続税の総額から、
480万円×8,000万円/9,000万円=4,266,600円
と算出されますが、1億6,000万円以内なので、配偶者の税額軽減(控除)も4,266,600円となり、納める相続税額が0円となります。
実際の相続税の計算では、債務控除(債務や固定資産税、病院代などの未払金)もありますし、葬式費用も控除して計算します。
なお、相続財産(債務や葬式費用を差し引いた残額を課税価格といいます)が基礎控除を超える場合には、10か月以内の相続税の申告が必要になります。
例えば、お母様が全部を相続する場合には、1億6,000万円以内なので相続税は発生しませんが、基礎控除の4,800万円を超えるために申告が必要です。税金ゼロの申告になります。
補足します。
相続税の税率は、累進税率といって、階段状になっています。
1,000万円以下が10%。
1,000万円超3,000万円以下が15%。
ちなみに、先程の計算で50万円を控除したのは、速算表の控除額です。
2,100万円の場合、
1,000万円部分は10%で100万円。
1,000万円超の部分は1,100万円×15%で165万円。
合計は、265万円ですが、この計算を一度でするときは、15%を掛けて50万円を控除します。
大変わかりやすい説明をありがとうございます。大変参考になりましたし、勉強になりました。
遠く離れた実家ですので、どうなっているのやら、あまり報告もなく状況がつかめない状況でした。
おおよそのことが把握できていれば気持ちも落ち着きます。
お忙しい中、お時間を割いてのご回答に感謝いたします。
本投稿は、2022年01月31日 16時55分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。