個人事業主への報酬に源泉徴収をする義務があるのか
外注をしている取引先(個人事業主)に対し、源泉徴収が必要なのでしょうか。ちなみに私は法人化しておらず個人事業主です。
タックスアンサーのNo.2793には「その報酬・料金等の支払者が個人であって、その個人が給与等の支払者でないとき~~源泉徴収する必要はありません。」と書いてあるくせに、タックスアンサーのNo.2792では「報酬・料金等の支払を受ける者が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲」が書かれており、矛盾してないかと感じております。
結局どちらの言い分が効力が強いのでしょうか?
又、源泉徴収をしなくてもいいという言い分を採用して源泉徴収をしない場合、どのようなペナルティーがあるのでしょうか?
税理士の回答

相談者様が従業員を雇用していて給与の支払をしている場合は、源泉徴収義務者になり源泉税を控除する義務があります。しかし、従業員を雇用していなくて給与の支払をしていなければ、源泉徴収義務者ではなく源泉徴収は不要になります。
やはり報酬なら源泉徴収は不要という事なんですね。
ご回答ありがとうございます。
ちなみになんですが、国税庁は「個人から個人に対する報酬は源泉徴収しなくていい」と言っているのに、源泉徴収でいる報酬の範囲を定めているこの矛盾(と私は認識しておりますが)にたいして、「税理士によっては報酬に対して源泉徴収は必要だという人もいる」「税務署は都合よく解釈して追徴させてくる」云々どのような見解を税理士の方たちは持っているのでしょうか?

回答します
先ず報酬の支払者に「源泉徴収義務」があるかないかで判断します。(タックスアンサーNo2972が原則、ただし、例外としてNo2793が効力として先になります)
報酬の支払者が個人の場合、事業者であるか無いかにかかわらず「給与の支払※」がある場合に「源泉徴収義務者」になります。
源泉徴収義務者となった者が「所得税法第204条に規定する報酬・料金等」を支払った場合のみ所得税を源泉徴収して納税することになります。
※ 正確には、「家事使用人2人以下の支払者は、源泉徴収義務者はない」となります
なお、源泉徴取義務がある者が、源泉徴収をしなかった場合は、後日当該源泉徴取すべきであった所得税の納付義務と、加算税が賦課される可能性があります。
国税庁HPの「源泉徴収のあらまし」
報酬・料金等の箇所を添付します。
ここでの説明では
原則は「居住者に対し、国内において(所得税法第204条に規定する)報酬・料金等の支払をする者は所得税等の源泉徴収を行う」とされています。
しかしその後に例外として(本文6行目から)
「支払者が個人であって、その個人が給与の支払者でないとき又は給与の支払者であっても常時2人以下の家事使用人のみに対する給与の支払者であるときは・・・源泉徴収の必要はない」とされています。
私の最初の説明は、この内容を簡単に説明したものになります。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2020/pdf/07.pdf
米森まつ美 様
ご回答ありがとうございます。
米森様の回答からは、報酬というカテゴリーの中に給与があるという解釈ができたので、「報酬」という言葉の定義を私は誤解していたから、このような疑問が生じた気がしました。
雇用契約(給与)や請負委任契約(私でいう「報酬」・「外注」)、どの契約であれ基本的には源泉徴収が必要なのですね。
まだ私が誤解している様ならご指摘くださると幸いです。
今のところは、大変腑に落ちています。

回答します
「報酬」のカテゴリーに「給与」が入るのではありません。誤解を生じさせていたとしましたら、申し訳ございません。
「給与」と「報酬・料金等の「報酬」」とでは、そもそも所得区分が異なります。(言葉として、一緒になることがあるので注意が必要です)
「給与=給与所得」とは、雇用契約又は雇用契約に準じる契約に基づく対価を指します。
「報酬・料金等の報酬=事業又は雑所得」とは、業務委託などの契約に基づく対価であり、対価を受ける側は「自己の責任と計算に基づき営まれ独立して業を行うもの」と捉えられています。
まず、個人の方が「給与」の支払いがない場合「源泉徴収義務者」にはなりません。
源泉徴収義務者にならない個人の方が、「報酬・料金等」の支払いをした場合は、「源泉徴収の義務」がないのですから所得税を源泉徴収して納税する義務はないことになります。
簡単に説明しますと例えば
サラリーマンの方が相続などで税理士に依頼し確定申告書を作成してもらいその報酬を支払った場合に、「税理士報酬」は本来「報酬・料金等に掲げる報酬」ですが、サラリーマンの方は通常給与の支払いが無いため、源泉徴収義務がありませんので、その税理士に支払う報酬に対して源泉徴収して所得税を納める必要はありません。
サラリーマンでなくとも、個人事業主の方も同じ考えになります。
米森まつ美 様
お返事ありがとうございます。
タックスアンサーのNo.2792には「源泉徴収が必要な報酬・料金等」について記載しており、No.2793には「報酬・料金等の源泉徴収義務者」について記載しております。
米森様は、”No.2792が原則でNo.2793が例外”と仰っていた気がしたので、No.2793の「その報酬・料金等の支払者が個人であって、その個人が給与等の支払者でないとき~~源泉徴収する必要はありません。」という一文は例外的なもので、原則的に給与であれ報酬であれ源泉線徴収するものだ、という変な解釈をしていたようです。
”報酬の支払者が個人の場合、事業者であるか無いかにかかわらず給与の支払※がある場合に源泉徴収義務者になります。”とおっしゃっていたので、報酬の支払者が給与を支払うということは→報酬と給与がほぼ同義である、と誤解してしまったようです。
(おそらく、基本的には報酬を支払っている支払者が、例外的に給与を支払う契約をすることになった際は→源泉徴収義務者になる、ということですよね)
最終的には
『給与に関しては、源泉徴収の義務がある。報酬に関しては、源泉徴収の義務がないのが原則だが、一部例外もある。』
この様に解釈し直すことが出来ました。
出澤様、米森様
大変理解が深まりました。誠にありがとうございました。

お役に立てましたら幸甚です。
本投稿は、2021年11月23日 23時01分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。