小売業・製造業・建設業などが対象となる分割払いの売上計上基準の特例「延払基準」と「工事進行基準」とは?

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小売業・製造業・建設業などが対象となる分割払いの売上計上基準の特例「延払基準」と「工事進行基準」とは?

所得税は、その年の全ての所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に税率を適用し税額を計算されます。では、高額な商品などを1年以上の分割払いで販売したときの収益の計上はどうしたらよいでしょうか。

本来ならば引渡基準により、商品を引渡した日に収益を計上するのが原則ですが、一定の要件を満たす場合は特例を利用することもできます。今回はこのような、主に小売業や製造業・建設業が対象となる所得税の計上基準の特例について解説します。

目次

基本になる計上の考え方と例外的な計上基準

まず、所得税上の収入や費用の計上基準についての原則を確認します。所得を計算する際には基本的に、債権確定主義または債務確定主義によって収益や費用を計上する決まりになっています。しかし、一定の要件を満たす場合は特例を利用することもできます。

「債権確定主義」や「債務確定主義」とは?

収益や費用の計上基準は、原則として以下の通りです。

  • 債権確定主義:税法上における収益の計上基準に関する考え方
  • 債務確定主義:税法上における費用の計上基準に関する考え方

これらは簡単に説明すると「債権・債務はそれが確定した年度に帰属させる」という決まりです。結果、もしこの決まりがないとしたら、納税者は好きなタイミングで収益・費用を計上できてしまい、結果、正しく所得税を課せられなくなってしまいます。そこで債権や債務が確定した年度に計上しようというルールが決まりました。

例外的に用いられる収入・費用の計上基準

原則は債権確定基準・債務確定基準ですが、会計慣行や納税資金との兼ね合いなどから例外的な基準も設けられています。たとえば以下のような特例です。

  1. 延払基準:延払条件等販売等に該当する場合に利用できる基準
  2. 工事進行基準:工事期間が1年以上の製造物・建築物に適用できる基準
  3. 現金基準:実際に現金等の出入りが生じた際の一定の基準

一定条件を満たす場合にそれぞれの特例を利用できます。

延払条件付販売等に当てはまる場合は「延払基準」で処理する

小売業などでは1つの商品が高額になることもあり、先に売上を計上することによって、税金が高くなります。その場合には分割払いで販売する(割賦販売)こともあります。そこで、一定の条件を満たす割賦販売であれば「延払基準」にて手続きできることが決まっています。

対象になる「延払条件付販売等」の条件

まず延払条件付販売等とは代金を複数年にわたり、分割して回収する割賦販売のことを言います。具体的には以下の4つの条件を満たす場合を指します。

  1. 3回以上の分割払いである
  2. 2年以上の契約期間である
  3. 頭金が対価の3分の2以下になっている
  4. その他政令で定める要件を満たす

この延払条件付販売等に当てはまる「棚卸資産の販売」、「工事の請負」、「役務の提供」をした場合に、延払基準で経理処理を行うことができます。

延払基準で収益を計上するポイント

延払基準を使って収益を計上する場合は、毎年1月1日から12月31日に回収した入金に応じて割賦金額を計上することになります。この割賦金には以下の2種類が考えられます。

  • 毎年1月1日から12月31日に支払期日が到来する割賦金
  • 翌年以降に支払期日が到来する割賦金のうち、今年に回収した割賦金

このように「延払基準」は複数年にわたる割賦金のうち、1月1日から12月31日までに発生したものだけを計上すればよいルールです。なお、この延払基準にて計上する場合は、翌年以降も継続して「延払基準」を採用しなければなりません。

1年以上にわたり工事が必要なものは「工事進行基準」で処理する

製造業や建設業などによっては規模が大きく、製造まで1年以上の工事期間を要するものも珍しくありません。こうした場合には「工事進行基準」で経理処理ができます。

対象になる「工事」には2つの種類がある

そもそも工事とは建物や造船、ソフトウェア開発など、基本的な作業内容を顧客の指図に基づいて作業するものを言います。そして、工事進行基準の対象になる工事には以下の2種類があります。

  1. 長期大規模工事:工事期間が1年以上で、請負金額が10億円以上の工事
  2. その他の工事:着工年から引渡し年の前年まで工事進行基準で処理したもの

なお、工事の設計や管理などの役務のみを請け負った場合は、工事進行基準の対象にはなりません。あくまでも実際に建物などの製造物・建築物をつくる場合に特例を適用できます。

工事進行基準で収益・費用を計上するポイント

工事進行基準にて収益を計上する場合、まずはその年の工事進捗度を計算して、その進捗度合からその年の収益額を算出することになります。具体的には以下のとおりです。

  • 工事進捗度=年末までに生じた工事原価/工事原価総額
  • 当期工事収益=工事収益総額×工事進捗度-計上済み工事収益

また、費用は「その年に実際に支出された工事原価」を計上することになります。このように工事進行基準では、その年に生み出したであろう収益分と、実際にかかった費用を計上する手続きだと言えるでしょう。

小規模事業者に当てはまる場合は「現金基準」でも処理できる

税法上は原則として発生主義により債権・債務を計上する決まりになっていますが、小規模事業者に該当する場合は「現金基準」にて処理できます。

対象になる「小規模事業者」の条件

所得税法上では以下の2つの条件に当てはまる場合に、「小規模事業者」として認められることになっています。

  1. 青色申告者であること
  2. 前々年の事業所得額・不動産所得額の合計額が300万円以下であること

上記に当てはまる人が管轄の税務署にて「現金基準による所得計算の特例を受けることの届出書」を提出し、税務署長より承認を受けることで適用できます。

現金基準で収益・費用を計上するポイント

現金主義の場合は実際に現金などの出入りが生じた際に記帳すればよいことになります。つまり、仮に商品を販売して発送等を終えたとしても、実際に振込が生じていなければ記帳する必要がありません。しがたって、もし現金の受け取りや支払いが12月31日を過ぎてしまった場合は、そのお金は翌年の入金時に計上することになります。

おわりに

税法上は原則として「債権確定主義」または「債務確定主義」によって経理処理する必要があります。しかし、資金回収が長期にわたる場合などでは「延払基準」や「工事進行基準」なども利用でき、納税者は負担を少なくできます。もし、ご自身の事業でこれらの基準を使える可能性があれば、一度税理士などの専門家に相談するとよいでしょう。

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