建物解体費用について
お世話になります。
法人で不動産経営を行っており、所有する物件のうちの1棟を土地ごと売却することになりました。
建物は法人名義、土地は社長名義となっています。
更地にしてから売却するのですが、法人側に解体費用を支払うキャッシュの余力がなかったため、社長個人が立て替えて払っています。
社長が支払った場合でも、解体費用は法人側の経費として算入できるでしょうか。
また、経費となる場合、以下のように仕訳しても問題ないでしょうか。
(建物の簿価は1円)
解体費用 500万円 / 建物 1円
売却代金 1,000万円 / 役員借入金 500万円
建物売却益 999万円
税理士の回答

<一般的な税務の考え方>
1 法人が社長個人の土地を利用開始した時
法人が不動産経営のための建物を建築時に借地権が発生します。
法人が権利金を支払うか、法人が相当な地代を支払うか、無償返還届を提出すれば、発生した借地権に対する認定課税の問題は生じません。いずれも行っていない場合は、法人が無償で土地を利用していることに対して借地権の課税関係が生じます。
なお、権利金の処理や相当な地代の処理を適正に行っていることも必要です。
2 建物を解体し更地を売却
(1) 利用開始時に権利金を支払った場合
社長個人は、会社へ適正な立退料を支払う必要があります。
適正な立退料=土地の更地価格(通常の取引金額)×借地権割合
(2) 利用開始時から相当な地代を支払っている場合
地代の改訂方法が改定方式であれば立退料の支払がなくても課税関係は発生しません。据置方式の場合には認定課税の問題が生じます。
(3) 無償返還届出を提出している場合
借地権の認定課税は発生しません。
<ご質問の場合>
社長個人が所有する土地に法人が建物を建てて不動産経営で利用した後に、その土地を更地にして個人の土地を売却したとなります
法人は更地で借りて更地で個人へ返却したとなりますので、解体費用は法人の経費となります。
更地を売却して得た収入は、個人の譲渡所得で申告することとなります。
今回の売却理由が、個人側にあるとしたら、解体費用の一部を個人が負担して、個人の譲渡所得の譲渡費用に含めても良いのかもしれません。
ご質問にある仕訳の売却代金が法人の収入となっていますので、掲載された仕訳は上記のことを考えると誤りと思います。
井口様
仰る通り、個人所有の土地の売却代金を法人側で仕訳しているのは誤りですね。
解体費用は法人側の経費に算入いたします。
頭が混乱していましたが、整理できたように思います。
ご教示頂きありがとうございます。
本投稿は、2024年04月18日 10時10分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。