インターネット配信者(ライバー)がオリパ等のカードゲームを配信上で行った場合の経費について
インターネット配信者が、配信業としてオリパやDOPAといったカードゲームの配信を行った場合、カードゲームに費やした費用は経費として認められるのでしょうか?
ご教示をお願いいたします。
例)
オリパ・DOPAに配信上で3000万円を課金しカードを購入
カードを売却し、数百万円分の利益を得た
配信者は3000万円分すべてを経費として計上したいと考えている
税理士の回答
結論
3000万円をそのまま全額「経費」にすることはできません。このケースでは、オリパ・DOPAへの課金は 「経費」ではなく原則「棚卸資産(仕入)」 です。売却したカード分だけが売上原価として経費化され、未売却・保有中のカード分は期末在庫として資産計上が必要です。
❌「配信で使ったから全部経費」
⭕「売れた分だけ原価、残りは在庫」
これが税務調査前提での安全な結論です。
理由
税務ではまず その支出の“性質” を見ます。
今回のオリパ・DOPA課金は、単なる演出費・広告費ではなく
転売可能なカード(換金性のある資産)を取得している
実際に売却して利益も出している
この時点で、税務上は「商品(棚卸資産)の仕入」と判断されます。
「配信のために使った」という主張だけでは全額経費(広告宣伝費・接待費など)として落とすことは不可です。
正しい税務処理の考え方
① 課金時(オリパ・DOPA購入時)
(借)棚卸資産(カード) 30,000,000(貸)普通預金 30,000,000
※ この時点では 経費ゼロ。
② カードを売却した時
例:売上:2,400万円
売却したカードの取得原価:2,000万円
(借)普通預金 24,000,000 (貸)売上 24,000,000
(借)売上原価 20,000,000 (貸)棚卸資産 20,000,000
→ 利益:400万円
③ 期末にカードが残っている場合
未売却カードは 必ず棚卸 します。
期末棚卸高 = 未売却カードの取得原価
これを経費に落とすことはできません。
「配信の演出費だから経費では?」へご回答
消費して価値がなくなるもの → 広告費・接待費・消耗品費 OK
売却・換金できるもの → 棚卸資産(経費NG)
カードは
高額
換金性が極めて高い
実際に売却している
ため、演出費理論はほぼ通りません。
例外的に「経費」になり得るケース
以下すべてを満たす場合のみ、一部経費化の余地があります。
配信演出用に開封後すぐ破棄
視聴者プレゼントとして無償配布(証拠あり)
一切売却していない
台本・配信ログ・企画書で広告目的が明確
この場合でも
広告宣伝費として“配布分のみ”が限界です。
ポイント
カード売却履歴(フリマ・買取業者)
在庫の有無
配信アーカイブ
課金履歴と売上の対応関係
「なぜ全額経費にしたのか」の合理性
このケースで3000万円全額経費は、ほぼ100%否認されるのではないかと思います
非常に詳しい回答をありがとうございます。
例として挙げた、3000万円を借金してまでオリパというカードガチャをインターネット配信上でコンテンツとしているライバーの他にも、借金はせずに数百万円を課金しているライバーもいます。
そして、例では400万円の利益が出ている前提で解説していた来ましたが、彼らのうち9割方のライバーが利益が出ていません。
例えば、9千円のガチャを回して、出たカードは3千円の売却額のカードが出ると言った様な具合です。
こういった、利益が出なかった(利益がマイナスの状態)カードガチャに関しては、競馬のはずれ馬券と同じような扱いで、経費に含めることは出来ないのではないかなと思いました。
いずれにせよ、丁寧なご回答ありがとうございました。
大変ためになりました。
本投稿は、2025年12月11日 21時46分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







