夫名義の車両を事業で使用するため自分名義に変更し、申告時に減価償却したい場合について
来年より会社員を辞め、個人事業主になります。
その際、夫名義の車を妻である私が事業で使用して、確定申告の際 経費・減価償却で計上したいと考えております。
車のローンはありません。
車体の金額は贈与税にもあたらず、なおかつ中古車の市場価格より100万円を考えております。
この場合
・売買契約書を作成 署名押印
・夫の口座へ代金を送金
・車両の名義変更(保険含む)
中古車を購入として事業に使用する部分割合を法定年数に則り、
資産として計上 →減価償却する
で問題ございませんでしょうか。
ご教示頂けますと幸いです。よろしくお願いします。
税理士の回答

回答します
特に車を奥様名義に変更しなくとも「減価償却費」の計上をすることはできます。
また、名義変更とした場合も、家族間の贈与であるため、車両価額については未償却残高を計算し、その計算した金額をベースにして減価償却費の計上をすることが相当と考えます。
非業務用資産から業務用に変更をしたとき
① 非業務用の耐用年数を調べます
車両(普通車の場合)6年 × 1.5= 9年
9年の耐用年数 旧定額法の償却率 0.111
② 非業務期間の減価償却額・未償却残額の計算
{車両の購入価額(a)ー(a×10%)}×0.111× 使用年数※=減価償却額(累計額)(b)
a - b= 未償却残額(c)
※ 1年の端数があるときに、6ヶ月以上は1年とし6ヶ月未満は切り捨てます。
③ 業務用に使用を開始した年の減価償却費
耐用年数6年の 定額法の償却率は 0.167 です
a×0.167×その年で使用した月数/12=当年の減価償却額(d)
c-d = その年の未償却残額
この未償却残額が1円になるまで減価償却費の計算を行います。
国税庁HPから
「非業務用資産を業務の用に供した場合」を参考に添付します
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/17.htm

長くなりましたので理由を記載します。
1 事業者に対して生計を一にする親族が、役務の提供や、賃貸等を提供した場合の対価は、その親族は「その所得はなかったもの」とされ、かつ、支払った側は「必要経費」に計上されないこととなっています。
ただし、特に「賃貸」に関してはその賃貸物にかかる租税公課や減価償却費などは、事業者に対する必要経費と認められています。
2 譲与税の計算をする場合、その対象物の価格は見積も(評価)する必要があります、通常であれば「市場価格」が目安となります。
ただし、今回のケースであれば、
生計を一にする親族(夫)からの譲与であることからも、「未償却残額」を計算することが可能であること、
また、ご質問者の「市場価額100万円」には、通常販売者の「利益」が加味されていること、
更に、「1」の考え方があることからも、ただしい減価償却できる価額の計算は、当初の車両の購入価額により計算され、今後の償却可能金額も「未償却残額」を限度とすることが相当であると考えられること、
そのことからも、贈与の金額も「未償却残額」とされることが相当と考えます。
3 「市場価額」とした場合考えられること
市場価額100万円とすることは、譲与税は課税対象となりませんが、場合によっては今後の「減価償却費」の累計金額が、「未償却残高」よりも大きくなる可能性があります。
また、中古品の購入の場合は、耐用年数を見積もりますが耐用年数を超えている場合は、2年となるため、減価償却費の計上が大きくなると考えられます。
これらのことからも、「市場価格」をベースにして計算することは実際に車両を購入した価額・・・支払った金額・・・・よりも多く減価償却される事※になりかねませんので、お考えの方法は採用できないと考えられます。
※ 非業務期間の減価償却費と業務期間の減価償却費の合計額が、車両購入価額より大きくなる
本投稿は、2023年10月28日 10時54分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。