自宅用のマンションの売却でも減価償却をするのはどういった意味があるのでしょうか?
マンションなどの自宅用不動産を減価償却する意味が良く分りません。
「価値が目減りするから」といった内容を良く目にしますが、実際に購入時点で購入代金を失っているわけですから、いつ売ろうが全額取得費の方がしっくりきます。
そう決まっているからと言われてしまえば終わりですが、どのような考え方なのか具体例などを交え教えて頂ければと思います。
よろしくお願いします。
税理士の回答

藤本寛之
減価償却はマンションは使用(居住)の期間に応じて少しずつ価値が落ちていくという前提で計算していきます。
減価償却をする上では国税庁が定めた「耐用年数」を使用しますが、例えば7000万円のマンション(建物5000万円、土地2000万円)を購入し、耐用年数を50年(仮)とすると、年々建物は100万円ずつ価値が落ちていきます。
5000万円÷50年=100万円/年
マンションの譲渡時ですが、仮にこれを20年後に売却したとすると、売却価格から減価償却後の購入価格を差し引いて譲渡所得を計算することになります。
なぜ自宅用のマンションでもなぜ減価償却をするかといえば、「使用(居住)に応じた価値の減少を譲渡所得の計算において考慮することになっているため」ということでしょうか。

3000万で土地を買った。1年後、3000万で売却した。
損益無し。土地の価値は減りませんので。
3000万で建物を買った。10年たって2500万で売却した。
10年間の減価償却費が500万だった。
損益無し。建物は数十年しか利用できないので、その期間、徐々に
価値が下がっていくものですから。
機能的に、物理的に。
減価償却しない、と考えることの方が無理があります。

ご相談者様のお考えは、
居住期間中の減価償却費相当額(非業務用資産については減価の額といい、事業用耐用年数の1.5倍の期間を定額法で計算します)について、家屋の価値が減るのは解るが、「その分、賃貸していて必要経費にした訳でもないのに……」と言う意味ですよね。
譲渡所得は、金銭的にいくら手元に残ったか、手元に残った金額に課税するのではなく、評価益に課税されます。例えば、時価3000万円の物件を2000万円で売っても、課税は3000万円で売った計算をします。
そう考えると、
★譲渡対価−価値が減ったマンションの評価額=課税対象額★
との計算も、ご理解いただけるのではないでしょうか。
ご相談者様のお考えは、
居住期間中の減価償却費相当額(非業務用資産については減価の額といい、事業用耐用年数の1.5倍の期間を定額法で計算します)について、家屋の価値が減るのは解るが、「その分、賃貸していて必要経費にした訳でもないのに……」と言う意味ですよね。
はい、その通りです!下手な説明を察して頂きありがとうございます。
★譲渡対価−価値が減ったマンションの評価額=課税対象額★
譲渡所得 = 譲渡収入金額-(※取得費 + 譲渡費用)
※建物の減価償却費を差し引いた金額
このような計算になると思うのですが、
それこそ賃貸していたわけでもないのに、取得費が削られる理論がわかりません。

藤本寛之
理論的には自己使用の場合でも減価償却という考え方はあります。ただ、自己使用している場合収入はなく、家事費用であるため経費計上するところがないだけです。
自己使用の場合は耐用年数を1.5倍し、賃貸使用の場合とのバランスを取っています。

>取得費が削られる理論がわかりません。
税務は、時価(客観的な市場価値)で所有権の移転がなされている前提で考えられています。
ご相談者様が、売却する日の価値で考えてください。
ご相談者様は、新物件を市場価値で購入、例えば土地2000万円プラス建物1000万円で買ったわけです。それを、仮に50年もつものを10年使ったら、1000万円は800万円になりますね。
ご相談者様が売却する時点で、土地2000万円プラス建物800万円=2800万円の価値の物件になっています。これを3000万円で売ったら200万円の利益ですね。
税務はこれに課税します。
ところで、この200万円は必要経費ではなく生活費ですね。
生活費は払いっ放し。税金を納めた後の手取額から負担するものです。
日常の食費と同様の性質です。
日常の食費を譲渡所得から控除すべきとご相談者様は考えますか?
日常の食費を譲渡所得から控除しない事に納得されているご相談者様なら、マンションの減価償却費が譲渡所得から控除できないことも納得できませんか?
それにしても、興味深いご質問ありがとうございました。
譲渡所得の本質、課税の本質を改めて考え直す良い機会になりました。
日常の食費を譲渡所得から控除しない事に納得されているご相談者様なら、マンションの減価償却費が譲渡所得から控除できないことも納得できませんか?
確かにそのように考えれば、理論的にも納得できますね。
それにしても、興味深いご質問ありがとうございました。
譲渡所得の本質、課税の本質を改めて考え直す良い機会になりました。
私もこのような具体的でない質問は申し訳ないと思ったのですが、丁寧に答えて頂き大変感謝しています。
ありがとうございました。

こちらこそ、本当にありがとうございました。
一般の納税者様が課税のシステムに疑問をもち、そして解決していくことは、課税行政の適正化と、その次に来る税金の使い方への意識を高めることとなり、税理士としても大変ありがたく思います。
また、何かございましたら、ご質問をお待ちしております。
本投稿は、2018年04月21日 23時58分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。