減価償却費による赤字について
運輸業をしている資本金1,000万の中小法人の決算について教えて下さい。
車両が多いため減価償却の金額がそこそこのものになります。
そのせいで営業利益も経常利益も当期利益も赤字になってしまいます。
キャッシュフローの観点から減価償却費による赤字よりもキャッシュが回って
いれば特に問題ないように思っています。しかしながら現社長と顧問税理士さんは
赤字は銀行の印象が良くないので減価償却しないでおきましょう。と言っています。
説明すれば済む話ではないのでしょうか?
車両の減価償却が定率法で行う限り初年度の償却額は大きくなり数年後には
経費が少なくなって通常通りに戻るのでは?と考えてしまいます。
現状の売上が同じぐらいの水準だと、今後も減価償却できない事になりますよね?
これって決算書の意味が薄れるように感じているのですがどうでしょうか?
あと、上記とは別の質問ですが他の運輸業は資産計上して定率法で減価償却
する方が主流なのか、実は今はリース取引で賃借料で定額の経費計上していく
方が会計上、シンプルな決算書の見栄え(分析等)になるものなのでしょうか?
もしくはリース資産とリース債務で管理して定額経費計上する方が良いのか。
個人的には賃借料かリース資産負債で管理する方が馴染むのではないかと・・・。
会計上でも資産管理する考えでいくとリース資産負債のほうが良いように
思っています。
ご回答お待ちしております。
税理士の回答

回答いたします。
赤字の場合、減価償却費を計上するしないは見解がわかれるところですが、結局金融機関側からは償却費を計上しなくとも、個別に償却費を算出し考慮した上で決算書を見られるケースもございます。
税務上は償却費が0円で償却費限度額の範囲内のため問題ないという見解もありますが、企業会計原則の継続性の原則の観点からみれば、意図的に経費を過少計上しているようにも見えるため、金融機関のご担当者様からすれば利益操作としてよくない印象を与える場合もございます。
最終的に償却費計上をどうされるかは会社判断かと存じますが、資金繰り的に問題が起きないのであれば、その分支払う税金もありますので、素直に償却費を計上される方が望ましいのではないかと考えられます。
また、リースに関する会計処理は、会計基準にしたがい、リース資産債務を計上できるかどうかの要件がありますので、一概に資産負債を計上できるものではございません。
会計基準の要件に取引状況を当てはめて資産負債計上をされるかどうかご検討いただくのがよろしいかと存じます。
少しでもご参考となれば幸いです。

補足です。
償却費を計上を仮にしなかった場合、赤字ではなく黒字化した場合、本来負担する必要のない税金が発生する点ではキャッシュの観点ではマイナスです。
また、償却費を計上することで赤字の場合、一定の要件に当てはめれば、将来の黒字化した利益に対し繰越欠損金として充当することで、支払う税金を抑えられるメリットもございます。
(一方で黒字化の見通しが難しい場合は繰越欠損金を充当しきれない懸念もあるかと存じますが。)
金融機関には誠実な姿勢で向き合い、きちんと再現性の高い中長期的な黒字化計画も踏まえれば融資契約等の観点でご相談に乗ってくださるところもあるかと存じますので、一概に税理士等の専門家だけの意見によるだけでなく、会社として将来事象もご検討いただいた上でご判断されることを推奨いたします。
少しでもご参考となれば幸いです。

増井誠剛
減価償却費はあくまで会計上の費用であり、現金流出を伴わないため、キャッシュが健全なら経営上の致命傷にはなりません。ただし、金融機関は決算書を表面的に見る傾向があり、赤字は確かに印象を下げます。一方で、償却を意図的に繰延べると将来に負担が残り、決算書の正確性を損ねます。また、近年はリースで固定費化し、資産負債として管理する形も多く、運輸業でも主流化しつつあります。資産性を意識するならリース資産負債計上が実態把握に即します。
本投稿は、2025年07月05日 11時37分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。