不動産の持ち分を追加取得した際の減価償却
もともとマンション(賃貸用)建物と土地を親族で共有名義十分の1分で持っていました。最近、残りの十分の9を取得しました。建物の減価償却は新規取得分を売買価格の三分の1程度に設定することは可能でしょうか。それとも、これまで償却した未償却分の簿価を引き継がなければならないのでしょうか。よろしくお願いいたします。
税理士の回答

境内生
個人のご親族間で売買されたということですので、まずはこの売買額の総額を土地の価額と建物の価額に按分しなければなりません。按分の根拠は合理的な按分方法によって按分するということになります。合理的な按分方法に絶対的なものはございませんが、土地と建物の時価で按分するという方法がとられます。この際の時価の概念も明確なものはありませんので、土地と建物の相続税評価額の比率で按分する、または固定資産税評価額の比率で按分するといった方法や購入した未償却部分の価額を時価とし、差額の残りを土地の取得価額とするという考え方もあります。いずれの方法もそんなに大きな金額の乖離差は出ないのではないかと考えますが、後者の考え方が納得いかないということであれば前者の方法によって按分されてはいかがでしょうか。結果、売買価額の3分の1になれば、その方法を根拠にして減価償却を算出されればよいかと考えます。
詳細なご返答ありがとうございます。具体的な数字をあげあさせていただくと、売買代金15000万円のRC造ですが築47年経っておりまして、未償却残高は修繕した部分の500万ほどしかない状況ですので、未償却部分を建物にするのと新規取得分を固定資産税評価額で行うのとではかなりの差が出るかと思います。新規購入分を固定資産税評価額にして建物を評価すると5000万ほどの未償却が出たとしてそれを耐用年数が過ぎたRCなので9年間で償却し、もともとの持ち分で未償却500万をこれまでの残りの期間で償却していくという2本立で行うということで大丈夫でしょうか。
建物の減価償却は一部の名義とはいえ、これまでに済んでいたのにもう一度償却していて否認されることはないでしょうか。よろしくお願いいたします。

境内生
売買時は当然、建物の資産価値を現在価額として把握しなおすものですのでそういう意味では帳簿残額は実態にはあっていないように思います。売買を行った年度の土地と建物の相続税評価額の比率の按分の方が合理的と考えます。按分後の建物価額が5000万円であればそれが取得価額になります。次に耐用年数ですが、見積が難しい場合は簡便法を適用していただくことになります。当初の耐用年数-経過年数+経過年数×20%で算出します。法定耐用年数を全部経過している資産の場合はその法定耐用年数×20%になりますので47年×20%=9.4年⇒9年での減価償却で結構かと思います。
もともとの分はそのまま継続です。中古不動産の取得価額は売買時点で変わりますのでその時の按分根拠が合理的であれば問題ないと考えます。
本投稿は、2020年04月13日 00時31分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。