契約前の売上の計上時期について
【質問タイトル】
継続契約開始前の経過月分報酬と、過年度分の一括受任報酬の売上計上時期について
【質問内容】
個人事業主として、顧客の事務処理や内容確認などの業務を継続的に請け負っています。
売上計上時期について、以下の2つのケースを教えていただきたいです。
① 当年度の経過月分について
例えば、2026年11月から継続契約を開始する場合、同年1月〜10月分についても業務を引き受けるため、経過月数に応じた報酬を11月にまとめて請求しています。
実態としては、当年度12カ月分の業務に対する報酬のうち、契約開始前の期間に対応する金額をまとめて請求するものです。
年内に相当程度の業務を行いますが、一部の確認や修正作業は翌年に残ることがあります。顧客もそのスケジュールを了承しています。
この場合、経過月分の報酬については、2026年の売上として全額計上することが適切でしょうか。
② 過年度分の一括受任について
一方、2026年に、2025年分の業務を一括して引き受ける場合があります。
2025年分の業務は2026年の継続契約とは別のものであり、2025年分の処理を完結させることを目的として、独立した一つの業務として引き受けています。
報酬についても、2025年分の業務一式に対する金額として、まとめて請求しています。
2026年中に請求・入金していても、実際の業務完了が2027年となる場合は、2026年は前受金として処理し、2027年の売上に計上することが適切でしょうか。
①と②では、基本的な作業内容は共通していますが、①は継続契約に伴う当年度の経過月分の報酬であり、②は過年度分を独立した業務として一括で引き受けた報酬という違いがあります。
それぞれ、どの年の売上として計上するのが正しいのでしょうか。
また、そのように処理する理由についても教えていただけますと幸いです
税理士の回答
山口勝己
個人事業主の所得税における売上(収入金額)の計上時期は、原則として「その収入の起因となった権利が確定した日(実現主義)」となります。
ご提示いただいた2つのケースについて、①は原則として2026年(一部翌年分を除く)、②は業務が完了する2027年の売上として計上するのが適切です。
① 当年度の経過月分について:原則として2026年の売上(一部例外あり)
【結論】
基本的には2026年分の売上として計上します。ただし、翌年に持ち越した業務に対応する対価(未終了の部分)がある場合は、その部分だけ2027年の売上(2026年末時点では前受金)とするのが厳密な処理です。
【理由】
• 実態が当年度の業務に対する対価であるため
11月にまとめて請求しているとはいえ、その中身は「2026年1月〜10月」に発生していたはずの事務処理や内容確認の対価です。実質的に2026年中に大部分の業務を提供しており、その期間に対応する報酬の権利は2026年中に確定しているとみなされます。
• 一部の確認・修正作業が翌年に残る場合の注意点
もし、11月に請求した報酬の中に「翌年に残る確認・修正作業」の対価も含まれており、かつその金額を合理的に区分できるのであれば、翌年に行う作業に見合う金額だけは2027年の売上(2026年は前受金)とします。
しかし、それが単なる「年内に行ったメイン業務の軽微な手直しや微調整」に過ぎず、契約の大部分(1月〜10月分の基本業務)が年内に完了しているのであれば、2026年に全額計上しても税務上大きな問題になる可能性は低いです。
② 過年度分の一括受任について:2027年の売上(2026年は前受金)
【結論】
ご認識の通り、2026年中に入金や請求があっても、実際の業務が完了する2027年の売上として計上し、2026年末時点では「前受金」として処理するのが適切です。
【理由】
• 「役務の提供の完了」によって初めて権利が確定するため
②のケースは、継続契約とは異なり「2025年分の処理を完結させること」を目的とした「独立した一つの請負的な業務」として契約しています。
請負契約のような単発の業務の場合、売上を計上するタイミング(権利が確定する時期)は、原則として「その業務(役務の提供)をすべて完了した日」となります。
• 入金や請求のタイミングは関係ないため
税務上の売上計上は、お金をもらった日(金銭の授受)や請求書を出した日ではなく、「やるべき仕事を終えたかどうか」で判断します。業務完了が2027年になるのであれば、2026年中に受け取ったお金は、まだ売上にする前の「手付金(前受金)」という扱いになります。
本投稿は、2026年11月02日 15時53分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







