海外渡航予定での個人年金の税と確定申告
生保の個人年金の受け取り時期あたりに海外への渡航を予定してます。(2~3年)
渡航先は租税条約締結国ですが国内の源泉所得については日本で課税すると記載されています。
・出国日が個人年金契約日前と後ではかかる税金はどうなるのでしょうか。
・一時金で受け取る場合、受け取る時に出国前ならば一時所得の計算で直ぐに確定申告をすればよいですか。
・年金で受け取る場合、源泉徴収された税金は確定申告は不要ですか。
また確定申告が必要な場合、帰国して自分で申告することは可能でしょうか。
丁度時期が重なりそうですので質問させて頂きました。
よろしくお願いします。
税理士の回答

石割由紀人
個人年金の受け取り時期に海外渡航を予定されているとのことですね。以下、各質問にお答えいたします。
1. 出国日が個人年金契約日前と後では、かかる税金はどうなるのでしょうか。
日本の税制では、居住者と非居住者で課税方法が異なります。
- 居住者の場合:全世界所得が課税対象となり、個人年金の受取額も含まれます。
- 非居住者の場合:日本国内源泉所得のみが課税対象となります。
したがって、出国日が個人年金契約日(受取開始日)の前後で、居住者か非居住者かが変わるため、課税方法や税率が異なる可能性があります。
2. 一時金で受け取る場合、受け取る時に出国前ならば一時所得の計算で直ぐに確定申告をすればよいですか。
一時金で受け取る場合、受取額から支払った保険料総額と特別控除額(50万円)を差し引いた金額が一時所得となります。この一時所得の1/2が課税対象となります。受取時に居住者であれば、この所得を含めて確定申告を行う必要があります。
3. 年金で受け取る場合、源泉徴収された税金は確定申告は不要ですか。また確定申告が必要な場合、帰国して自分で申告することは可能でしょうか。
年金形式で受け取る場合、受取額から対応する保険料を差し引いた金額が雑所得となります。この雑所得が25万円以上の場合、保険会社が10.21%の所得税および復興特別所得税を源泉徴収します。しかし、実際の税率は個人の総所得により異なるため、源泉徴収だけでは過不足が生じる可能性があります。そのため、確定申告を行い、正確な税額を計算して過不足を精算する必要があります。
海外渡航中でも、日本の税務署に確定申告書を郵送することが可能です。また、電子申告(e-Tax)を利用すれば、インターネット経由で申告ができます。帰国後に申告する場合は、申告期限内(通常、翌年の3月15日まで)に行う必要があります。
回答をありがとうございます。
追加で質問させて下さい。
〇保険金を出国前に受け取る場合
・一時金で受け取る場合
直ぐに自分で確定申告をすればそれで終わりでしょうか。(これ以上の所得の見込みはないです)
又は納税管理人を選定して翌年も確定申告をする必要がありますか。
また納税管理人を選定した場合にも振替納税を事前に申請すれば自分の口座から納付できますか。
この所得に対する住民税はどうなるのでしょうか。
・年金で受け取る場合
これ以上所得がなくても確定申告は必要ですか。
確定申告をしないとどうなるのでしょうか。
一時金受け取りと同様にこの所得に対する住民税はどうなるのでしょうか。
また翌年度からは国内源泉所得に該当し、20.42%の所得税を源泉徴収されることになると思うのですが翌年度からも確定申告が必要なのでしょうか。
また電子申告(e-Tax)や郵送で申請できるとのことですが出国後でも自分で申請できるということでしょうか。
以上よろしくお願いします。

石割由紀人
以下に、追加のご質問にお答えします。
保険金を出国前に受け取る場合
一時金で受け取る場合
1. 直ぐに確定申告をすれば完了するのか
- 出国前に一時金を受け取った場合、その所得を含めた確定申告を翌年の確定申告期間内(通常、翌年3月15日まで)に行えば完了します。
- この場合、翌年に納税管理人を選定する必要はありません。
2. 納税管理人を選定した場合の振替納税
- 納税管理人を選定しても、事前に振替納税を申請すれば、自分の口座から税金を納付することが可能です。
- 納税管理人は、申告書の提出や税金の通知受領を代行する役割であり、振替納税そのものに影響を与えません。
3. 住民税について
- 一時金受取時に課される住民税は、所得が発生した翌年度の課税対象です。
- 具体的には、所得が発生した年の1月1日時点での住所地の市区町村により課税されます。
- 出国後であっても、その市区町村から住民税の請求が届きます。住民税の納付方法としては一括納付や口座振替が選べます。
年金で受け取る場合
1. これ以上の所得がない場合でも確定申告は必要か
- 年金形式で受け取る場合、通常は支払保険料を差し引いた額が雑所得として計算されます。
- 年間の合計所得が基礎控除(48万円)以下であれば、確定申告は不要です。ただし、源泉徴収された税金の還付を受けたい場合は申告が必要です。
2. 確定申告をしないとどうなるか
- 確定申告をしない場合、正しい税額計算や還付が行われません。また、過少申告や無申告が判明した場合、追徴課税やペナルティが課される可能性があります。
3. 住民税について
- 年金受取額に対しても住民税が課されます。
- 一時金と同様に、その年の1月1日時点での住所地が課税対象となり、翌年度に請求が行われます。
4. 翌年度以降の国内源泉所得と確定申告の必要性
- 非居住者として年金を受け取る場合、日本国内源泉所得として20.42%の源泉徴収が行われます。この場合、追加の確定申告は通常不要です。
- ただし、所得税の還付を希望する場合や日本の租税条約を利用した軽減措置を受ける場合は、確定申告が必要です。
出国後の確定申告
1. 出国後も自分で申請可能か
- 電子申告(e-Tax)
出国前にマイナンバーカードを準備し、事前登録を行えば、海外からもe-Taxを利用して確定申告が可能です。
- 郵送申告
申告書を日本の税務署宛に郵送することも可能です。ただし、提出期限内に到着するよう注意が必要です。
細かい質問にも回答いただきありがとうございました。
やらなければいけないことを整理してみようと思います。
本投稿は、2024年11月29日 12時42分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。