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所得税法12条について

実質所得者課税の原則について質問です。

事業売上の入金先を個人口座にしたのち、その口座から事業口座に全額振り込みをする場合は所得の隠蔽に該当しないでしょうか?
個人口座の名義人の所得になってしまいますか?

税理士の回答

おっしゃる通り、ご不安な点あるかと思います。
ポイントとなるのは 所得税法12条「実質所得者課税の原則」 と、実際の資金の流れ・帰属の判断です。

1. 実質所得者課税の原則とは

所得税法12条では、形式的に誰の名義で所得が計上されていても、実際にその所得を得た者=実質的な所得の帰属者 に課税する、と定めています。つまり「名義」よりも「実態」で判断されます。

2. 事業売上を一度個人口座に入金した場合

事業にかかる売上であることが明確であれば、入金先が個人口座であっても 事業主本人の事業所得 として扱われます。その後、事業用口座へ振り替えているのであれば、資金管理上の問題にすぎず、直ちに「所得の隠蔽」とはなりません。

3. 注意点(リスク)

・第三者(家族など)の名義口座 を経由している場合:
  その名義人が実際に事業をしていなければ、その名義人の所得にはなりませんが、
  形式的には「名義預金」とみなされ、税務調査時に疑念を持たれやすくなります。
・資金移動の記録が不明瞭 な場合:
  「生活費入金なのか、売上入金なのか」が不透明になり、説明責任を問われやすくなります。
・一部を事業口座に振り込まず留保した場合:
  その部分を事業所得に計上しなければ「売上除外(隠蔽)」と指摘されるリスクがあります。

4. 実務上の対応

・可能であれば 売上は直接事業用口座で受ける ことが望ましいです。
・やむを得ず個人口座で受ける場合には、
 ・「売上入金」と分かるように明細を保管
 ・速やかに事業口座へ振替
 ・帳簿上も「売上」として計上することが大切です。

✅ 結論:
事業主本人の売上であることが明確であれば、個人口座を経由しても その名義人の所得にはならず、事業主本人の所得として課税されます。ただし、税務調査で「売上除外」と疑われやすいので、できるだけ事業口座で直接管理することをおすすめします。

事業者=A 個人名義口座=Bの口座 としたときに
 Bの口座入金に正当な理由(どのような事情か)があり、かつ事業を行っているのが「A」であれば、Aの所得になると考えます。
 なお「B」の口座を利用した理由については、説明できるようにしないといけません。
 あくまでも、当該所得の事業の実態(運営や管理など)によって、実質的に事業を経営していると認められる者の所得となります。
 
 参考に国税庁HPから通達箇所を添付します。
 ※所得税法12条の考え方になります。
 https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/03/01.htm

 

この場合、
• 売上を稼得したのは「事業主本人」
• 個人口座に入ったのは「たまたま振込先として利用しただけ」

なので、所得の隠蔽には直ちにあたりません。
実質所得者課税の原則により、売上は事業主本人の所得とされます。


3. 注意点(税務調査で問題になりやすい部分)
• 個人口座を経由すると「プライベートのお金」と混ざりやすい
• 仕訳・記帳の際に「売上計上が漏れている」と疑われやすい
• 税務署からは「売上除外では?」とチェックされやすい

したがって、
• 売上入金時点で事業収入として記帳すること
• 事業口座への振替仕訳を残すこと
• 個人口座はなるべく事業に使わないこと(どうしても使う場合は証拠を整理しておく)

が大切です。

本投稿は、2025年08月26日 10時43分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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