滞納税の時効
税金滞納があると、督促状が来たり 財産調査や差押えがありますが。
督促状は2回目以降 時効中断にならないと伺いましたが、以後 給与所得もなく、資産も預金もないと、時効が進むだけなのでしょうか。
何年も入院していたりすると、時間が経てば滞納税は無くなるのですか?
こちらで伺うお話では無いのかも知れませんが よろしくお願いします。
税理士の回答
ご質問内容を整理しながら回答いたします、ご了承ください。
(1)消滅時効
国税の徴収権の消滅時効の期間は5年です。申告納税の所得税などは、法定納期限の翌日から計算して5年です。時効の中断とは、督促などによりこの5年の期間が振出しに戻ることを言います。
(2)2回目以降の督促
ご質問の内容は、恐らく「昭和44年2月6日の行政実例」のことではないかと思います。昭和44年2月6日の行政実例では、「法令の規定により普通地方公共団体がする督促は、最初のものに限り時効中断の効力を有すると解される。」としています。このことから、地方税に関しては『督促』での時効中断は1回目の物に限られているようです。
しかし、地方自治体の対応として、この最初の督促後『差押』の手続きに進みます。差押の手続きで時効は中断しますので、時間がたてば滞納税金がなくなるという事はないとお考えください。
また、所得税などの国税では、2回目の督促でも時効は中断します。
(3)滞納処分の停止
何年も入院するなど、納税により生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは、『滞納処分の停止』という手続があり、これにより納税が免除される規定があります。
もし、納税ができないような状況であれば、税務署に相談し、『滞納処分の停止』の適用を検討してもらうとよいと思います。
よろしくお願いいたします。
ありがとうございます!
所得税については理解いたしました
地方税ですが、差押え資産がない あるいは課税額に対して少ない場合。給与所得などがないと 新たな差押えができないと思いますが、その場合は?
あるいは、一度何らかの差押えをすると、時効は永久にストップするのでしょうか…
ご連絡ありがとうございます。追加のご質問に関して回答いたします。
(1)差押の時効の中断
差押をすると時効が中断します。これは、『時効期間のカウントが振出しに戻る』という事ですので、差押された後に、5年間の時効計算が再開されます。
(2)差押について
地方税も国税も同様ですが、差押の前に『差押財産の調査』があります。
この調査の段階で、差押の可能な財産(給与債権も含めて)がないと分かった時は、前回答の『滞納処分の停止』(国税徴収法153条①)が検討されることになります。
その結果『滞納処分の停止』が適用されると、督促・差押は3年間停止され、3年経過した後に状況が変わっていないと認められたときには納税義務が消滅します。
なお、この『滞納処分の停止』は、納税者から申請する制度ではなく、税務署・地方自治体の役所側から決定される制度になります。
ご参考にしてください。
よろしくお願いいたします。
よく分かりました。ありがとうございます
別件ですが、海外現地法人設立について伺ってもよろしいですか?
ありがとうございます。
個人で現地法人を設立した場合…
国内の個人に対する給与は、日本で所得税を収めますが、法人税は現地の国で納税するのでしょうか。
例えばインターネット事業などで、日本にいながらパソコン1台、ネット上での事業のみという場合など…
どのような基準で現地課税、国内課税となりますか。
外国法人の課税は、次の3つの考え方になります。
【1】外国課税
外国法人の課税所得は、まず現地国の法律に従って課税されます。
【2】国外源泉所得
外国法人の所得のうち、日本国以外で生まれた所得は、日本の税金の課税はありません。
【3】国内源泉所得
外国法人の所得のうち、日本国で生まれた所得は、日本の法人税が課税されます。
従って【1】と【3】は、一旦、二重課税となりますので、租税条約が締結されている外国の場合は、現地国で外国税額控除の適用をして、二重課税を解消します。
上記の『日本国で生まれた所得』の判定は、主として『PE(恒久的施設)』が、日本にあるかどうか、という判定をします。
ご質問の『日本にいながらパソコンを使って・・・』という事業の場合は、PE(恒久的施設)が日本にあるものと考えられますので、上記の【1】【3】に該当するものと考えられます。
よろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
と、いうことは、現地での課税を後から控除してもらうということですね。
では、現地法人を設立しても日本で課税される場合が多々あるという理解で、開業届などは両国で提出するのでしょうか?
また、国内の給与所得者に対しての(日本で言う)源泉徴収票は、海外にも同様の趣旨の書類があるのでしょうか。
その際、海外現地と給与所得者が居住する日本の どちらを使用するのですか?
よろしくお願いいたします。
【1】法人の届出の件
外国法人が日本で課税される場合、届出と毎期決算申告は、外国・日本の両方必要です。
外国税額控除は、現地国で実施されるものです。外国で課税されたものを日本で控除するのではなく、日本で課税されたものを外国で控除するという流れです。
これも、当該外国と日本が租税条約を締結しているかどうかが影響しますので、慎重に行う必要があります。
事務コスト(海外法人の設立から申告手続き費用)が二重に係ることになりますので、日本の法人のみで運営する場合と比較すると単純コスト高になると考えられます。
【2】外国の源泉徴収票
外国での源泉徴収票となる書類は各国で独自のものがあるようです。
日本法人が給与支払をした場合、源泉徴収票を作成して税務署に報告するように、海外でも同様の制度があるようですが、これは各国の税制により異なるので、各国に確認が必要です。
【3】外国法人が発行する日本の源泉徴収票
給与等の源泉徴収の対象となる所得の支払者は、源泉徴収義務者と呼ばれ、日本の居住者に給与の支払をした時は、『源泉徴収票』を作成し、提出しなければなりません。
これは、支払者が日本の法人・個人・外国法人・人格のない社団等のいずれであるにかかわらず、源泉徴収義務者とされます。
今回の場合、外国法人の日本出張所が、日本で勤務した報酬として居住者である役員に支払う役員報酬であるため、この役員にとっても国内源泉所得になり、通常の『源泉徴収票』の作成提出が必要になると考えられます。
本投稿は、2016年06月06日 17時24分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。