福利厚生費の計上について
お世話になっております。
出張靴磨きサービス代を福利厚生費として会社経費に計上することは可能でしょうか?
以下の条件をクリアすれば経費計上できるかと考えておりますが、その他注意事項等ございましたらご教示いただけますと幸いです。
・法人契約とする
・福利厚生として全社員が受けれれる
・福利厚生として利用できる旨を就業規則に記載
・利用規定や利用記録を作成する
また、業務委託者についても使用させてあげればと考えておりますが可能でしょうか?
お忙しいところ恐縮ですが、何卒宜しくお願い致します
税理士の回答

小川真文
福利厚生制度とは、従業員の慰安や健康維持、生活の安定・向上を目的に、事業主が実施する施策・取り組みの総称です。法律上特に規定はないので事業者の裁量で決めることができます。
例えば、健康診断費用、従業員の慰安のためのイベントや旅行、従業員またはその親族等に対する慶弔見舞金、ほかに休憩時のお茶やコーヒーなどが挙げられます。
福利厚生費を経費計上するための条件としては、①賃金ではないこと、②全従業員を対象範囲としていること(機会の平等)、③金額が社会通念上妥当であることを満たすもの(金額の妥当性)が福利厚生費と認められます。一部の従業員だけを対象とする、あるいは社会通念上妥当な金額ではない場合は、課税対象となります。
「出張靴磨きサービス代」については私共にはあまり馴染みがありませんが、営業担当者を含め身だしなみに気にされる方には良いサービスと思われます。金額的にも500円~程度と想定されますので特に高額な支出とは認められません。受益の機会として老若男女に幅広く対応できるように靴の種類や材質、もしくは修理等も含め各人に合わせたメニューが必要と思われます。そのうえでご相談内容のとおり「法人契約とする・福利厚生として全社員が受けることができる・福利厚生として利用できる旨を就業規則に記載・利用規定や利用記録を作成する」等を備えれば問題ないものと考えます。
社外の「業務委託者について」はかなり微妙な部分があります。例えば福利厚生費とすべきか交際費とすべきか実態により判断する場合、旧措置法通達では専属下請の従業員については、自己の社内等で業務に従事しており実質的に自己の従業員と同様の事情にあり、福利厚生活動においても特に区別した取扱いをしない事例があり、当該費用については交際費には該当しないものと考えて良いと思います。
ですが福利厚生費は本来自己の従業員を対象として支出するものに限られますので、従業員と同等に福利厚生費で計上することについては違和感があります。税務上は対象から避けて頂く方が無難と思料されます。
ご返信ありがとうございます。
追加の質問で恐縮ですが、業務委託者については福利厚生費としてではなく、交際費として計上するのは特に問題ないとの理解でよろしいでしょうか?

小川真文
旧措置法通達では福利厚生費とすべきか交際費とすべきか実態により判断する場合の例示として、単に下請関係にあるにすぎない企業の従業員に対して下記のような費用を支出した場合は、交際費に該当します。
1 下請企業の従業員に対し、自己の従業員に準じて見舞金品を支出するために要する費用
2 下請企業の従業員に対し、自己の従業員とおおむね同一の基準により表彰金品を支給するために要する費用
3 下請企業の従業員に対し慰安のために行われる、運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用を負担する場合のその負担額
4 下請企業の従業員に対し慰労のための終業後の飲食代の費用
福利厚生に準じて、業務委託者に対して従業員と平等に一定のサービスを享受するために必要な経費との認識では問題ありませんので、税務上の損金性については消極的ですが交際費として計上することが安全策と考えます。
本投稿は、2023年10月10日 17時48分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。