従業員に支払う報奨金に対する消費税について
当社では、従業員の発明やアイデア、改善提案に対して報奨金を支給することがあります。
国税庁サイトの「社内提案報償金」ページでは課税仕入れに該当すると説明されています。
しかし、インボイス制度が始まったことにより、実際には消費税は100%控除できず、経過措置としてしばらくは80%または50%控除することができる、ということになるのでしょうか?
税理士の回答
丸尾和之
発明報奨金については、貴社の社内報奨金規定上、使用者原始帰属制度を導入しているか否かで消費税の課税関係が変わってきます。
◆使用者原始帰属制度を導入している場合
会社が特許権を使用することにより得られた利益の分配と考えるため、
資産の譲渡等に該当せず、消費税の対象外となります。
◆上記によらない場合(発明者に帰属する場合)
資産の譲渡等の対価として消費税の課税の対象となります。
よって報奨金の支給を受ける従業員の方がインボイス登録されていない(免税事業者である)場合は、ご認識の通り、期間に応じて仕入税額控除が80%、50%等と制限されることとなります。
◆ご参考
・使用者原始帰属制度を導入している場合
https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/bunshokaito/shotoku/170206/besshi.htm#a03
・社内提案報償金(上記によらない場合)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/16/18.htm
・免税事業者等からの仕入れに係る経過措置
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-15.pdf
お忙しい中、丁寧にご回答いただき誠にありがとうございます。
ご説明いただいた「使用者原始帰属制度の有無による消費税の課税関係」について、大変分かりやすく、勉強になりました。
なお、私の質問の意図がやや不明瞭であったかもしれず、補足させていただければと思います。
今回確認させていただきたかったのは、発明に限らず、社内での提案制度等に基づく報奨金(いわゆる社内提案報奨金)に対する消費税の取扱いと仕入税額控除の可否についてでした。
今回のご説明は発明報奨金について詳しい内容でしたが、一般的な提案制度に基づく報奨金につきましても、同様に消費税の課税対象となり、支給先が免税事業者である場合には仕入税額控除に制限がかかる、というご説明と理解いたしました。
もし私の理解に誤りがございましたら、ご指摘いただけますとと幸いです。
丸尾和之
上記「社内提案報償金」のURL内の下記が参考になると思います。
(3) 事務若しくは作業の合理化、製品の品質改良又は経費の節約等に寄与する工夫、考案等(特許又は実用新案登録若しくは意匠登録を受けるに至らないものに限り、その工夫、考案等がその者の通常の職務の範囲内の行為である場合を除く。)をした使用人等に支給するもの
「その者の通常の職務の範囲内の行為である場合を除く。」という文言がキーとなります。
当該提案につきまして、
通常の職務の範囲【外】の行為であれば、記載の通りの取り扱い(消費税の課税の対象)となりますが、
通常の職務の範囲【内】の行為である場合は、雇用契約に基づく支給として、給与課税(賞与)の対象になります。給与課税の場合は消費税の課税の対象外となります。
このたびは、社内提案報奨金に関する参考情報および丁寧なご説明をいただき、誠にありがとうございます。
ご教示いただいた通り、「通常の職務の範囲内か否か」が消費税の課税関係を判断するうえで重要な要素であること、改めて理解いたしました。
今後、該当する提案については、当該行為が職務の範囲内かどうかの確認を行った上で、適切に区分・対応してまいります。
本投稿は、2025年10月16日 11時45分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。







