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海外在住の非居住者としての日本永住権保持者の税務疑問

税理士の皆様へ、

永住権を持っている外国人として、税務の疑問がございます。

背景です:

* 日本で生まれ、4歳で日本を離れ15歳まで他国におりました。その後、カナダで留学を始め、現在もカナダに住んでいます。カナダの永住権も持っています。
* カナダの税務居住者として、資産、家族、仕事など、すべてカナダに集中しています。
* 2016年から2020年まで、カナダの大学に在籍していました。2020年1月から4月まで、東京でインターンシップをしていて、給与は900,000円で、居住者税率で課税されました。
* 2020年3月に、カナダの企業と契約をし、現在もそちらで勤務しています。もう3年が経ちます。
* コロナの影響で、2020年7月まで日本に滞在していました。その間、Airbnbを利用していました。
* 住民票は知人の家にあります。国民健康保険も3年分払っていますが、利用したことはありません。5年の再入国許可も取得しています。

疑問点です:

1. 2020年に日本での滞在と、それ以前の年について、税務上、私は日本の居住者とみなされるのでしょうか?
2. インターンの給与から引かれた税金は2%未満でした。しかし、非居住者として20.42%の税率が正しいのでしょうか?
3. 誤った税率が適用された場合、今の状態で正しい手続きをする方法はありますか?

皆様のご意見やアドバイスをお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。

税理士の回答

はじめまして
日本の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上居所を有する個人をいい、「居住者」以外の個人は「非居住者」とされます。
「住所」とは「個人の生活の本拠(その人の生活の中心)」をいい、「生活の本拠」かどうかは客観的事実によって判定することとされています。
また、国内に居住することとなった個人が次のいずれかに該当する場合には、国内に住所を有する者と推定されます。
①その者が国内において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること
②その者が日本の国籍を有し、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有することその他国内におけるその者の職業及び資産の有無等の状況に照らし、その者が国内において継続して一年以上居住するものと推測するに足りる事実があること
逆に、国外に居住している個人が、次のいずれかに該当する場合には、国内に住所を有しない者と推定されます。
①その者が国外において、継続して一年以上居住することを通常必要とする職業を有すること
②その者が外国の国籍を有しまたは外国の法令によりその外国に永住する許可を受けており、かつ、その者が国内において生計を一にする配偶者その他の親族を有しないことその他国内におけるその者の職業および資産の有無等の状況に照らし、その者が再び国内に帰り、主として国内に居住するものと推測するに足りる事実がないこと
また、日本とカナダとの租税条約では、「日本の居住者」とは、日本の租税に関し日本の居住者であり、かつ、カナダの居住者でない個人…をいい、「カナダの居住者」とは、カナダの租税に関しカナダの居住者であり、かつ、日本国の居住者でない個人…をいうものとされています。

質問者様のご説明ですと、
①カナダの永住権をお持ちである。
②カナダの税務居住者である。
③資産、家族、仕事など、すべてカナダに集中している。
④カナダの企業と契約をし、現在もそちらで勤務している。
という状況から、非居住者であることが推定されますし、実質的にも生活の本拠はカナダにあると判断されることから、現在は質問者様は日本の非居住者に該当するものと考えられます。
2020年とそれ以前については、①~③の状況がいつ頃から始まっていたかによって判断することになるかと思います。
2020年のインターン当時から①~③の状況があったのであれば、その当時から質問者様は非居住者ということになり、インターン先が質問者様が非居住者であることを関知していなかったか、または非居住者の源泉徴収税率について不知であったことから、給与の源泉徴収税率を誤っていたものと考えられます。
ただし、非居住者の給与(人的役務の提供対価)については、源泉分離課税のみとされており、確定申告で精算するということができません。
もし仮にこちらからアクションを起こすとすれば、取り得る手段としてはインターン先に連絡し、自身が当時非居住者であった旨(場合によって非居住者に関しては通常の給与所得の源泉徴収と適用税率が異なる旨)を説明し、徴収不足税額をインターン先に返金した上で、インターン先から過去の源泉徴収不足分として納付していただくということになろうかと思います。

高橋先生、

詳しいご説明、本当にありがとうございます。

実は、今年カナダの永住権を取得したのですが、実際には2012年からカナダに暮らしています。2015年からは、カナダ税務局からの居住者証明もしっかりと取得しており、その期間の税務申告の書類もすべて持っています。仕事の方も、カナダの企業で正社員として安定して働いています。

2020年の税務上の問題に気づき、雇用先に連絡をしたのですが、彼らからの返答は「特に対応しない」とのことでした。こういった状況を考慮に入れて、日本国税への連絡や何らかの手続きは必要でしょうか。また、「特に何もアクションを起こさない方が良い」という話も聞きますが、先生のご意見を伺いたく存じます。

どうぞよろしくお願い致します。

追加のご質問ありがとうございます。
結論から申し上げると特段アクションを起こさなくてもよいのではないかと思います。
源泉徴収に関してはあくまで国と源泉徴収義務者(インターン先)、源泉徴収義務者と所得の支払を受ける者(質問者様)の三者の法律関係であって、国と質問者様に直接の法律関係はないことから、法定された手続が存在しません。
インターン先にご連絡いただいたことで質問者様としては責任は果たされていると思います。
万が一インターン先が税務調査で追徴を受け、インターン先から徴収不足税額を請求された場合には不足分をお支払い頂ければ問題ないかと思います(インターン先が負担し、請求されない可能性もあります)。

高橋先生、

先ず、貴重なご助言とサポートを賜り、心から感謝しております。

次に、一つお尋ねしたいことがございます。インターン先への連絡に関する証明は必要でしょうか。具体的に申しますと、私が非居住者として課税されるとの税理士先生の見解を示すメールをインターン先にお送りしておりますが、これで問題ないでしょうか?

何卒、ご見解を伺えますと幸いです。よろしくお願いいたします。

繰り返しになりますが、源泉徴収に関してはあくまで国と源泉徴収義務者(インターン先)、源泉徴収義務者と所得の支払を受ける者(質問者様)の三者の法律関係であって、源泉所得税に関して質問者様が税務調査等を受けるということは通常あり得ません。
あくまでインターン先との関係だけ考えて、言った言わないの証明ができればよいと思いますのでメールで十分だと思います。

ありがとうございました。大変参考になりました。

本投稿は、2023年08月17日 01時36分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

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