証券会社の口座名義を変えることで後に相続税等に問題がありますか
5年以上前に証券会社の口座にある資産の一部を私名義の口座にしました。特別問題に思っていなかったのですが、これは贈与に当たりますか?また、これを放置しておいて母が亡くなったとき相続税はどうなりますか?税務署が調べるてから贈与税などがかかるようでは困ります。相続税も重加算税を取られるのも心配です。どのように対処すればいいですか。素人なのでわかりません。お願いします。
税理士の回答
このような場合には、外観上の見方と当事者の認識(実態)とのふたつの観点から考える必要があります。この両者にズレがある場合に、えてして課税問題が発生するからです。
まず外観上つまり税法的発想からすると、一般に金融資産の名義を変更した場合には、それは贈与がなされたと推定します。したがって特に反証がなされない限り贈与税の対象となるものと思われます。
とはいえ、実態はそうでない場合もありましょう。そこでお聞きしたいのですが、金融資産の名義を移した理由は何なのでしょうか。ご質問の流れからは、贈与を企図したものではないようですので、何かの便宜上そうされたものではないかと思われます。
仮にそうであれば、この金融資産は(名義はどうあれ)実質的にはお母さんのご所有と考えられます。つまり贈与はなされていないわけです。にもかかわらず外観上の見地から税務署がこれに贈与税を課税しようとした場合には、この事実を説明することです。その説明に税務署が了解すれば課税はなされないはずですし、納得してくれなければ課税されてしまうでしょう。
ところでこの名義変更は5年以上前になされているとのことです。したがってこれは贈与税の時効(原則6年)を経過している可能性が高いものと思われます。つまりこの名義変更が贈与でありかつ時効となっていたのであれば、もう課税されることはありません。
しかし仮にこの名義変更が贈与としての実態(贈与の意思と受贈の意思の双方の存在等)がないような状況であれば、上記のとおり、この資産はお母さんの財産であるとみなされましょう。これを具体的にいえば、来たるべきお母さんの相続発生に際して、この資産が相続財産に算入されることになるわけです。
以上のとおり、この問題は「実態がどうだったのか」にかかっているものと思われます。
本投稿は、2017年04月17日 19時24分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。