建築物のみ社宅化した場合の土地の賃料相当額
法人役員が土地(2筆300㎡)・建物を所有する専用住宅(木造延床160㎡)を社宅にすべく調べています。
現在既に役員から法人に1割程度を事務所として貸し、賃料の支払いを受けています。
質問は、以下となります。
1.建物のみを法人に売却し、土地は個人所有のままですが、土地の評価額の6%の賃料相当額の支払いは必要でしょうか(しないと役員報酬として課税対象となるか)
2.1割程度既に法人に貸している部分は、社宅として扱わなくても問題ないでしょうか(法人所有の建物となるので、現賃貸契約を解除しそのまま事務所として使用、独立した出入口はなし)
3.賃料相当額の支払いにおいて上記「2」を10%とすると、土地建物で算出した賃料相当額に0.9を乗じた数値が真の賃料相当額となるという理解で良いでしょうか
4.現在住宅用地として2筆とも軽減措置を受けていますが、建築確認申請上1筆のみの上で成立しているので、社宅の敷地としては1筆のみで賃料相当額の計算や無償返還の届出書を考えていますが問題はありますでしょうか(他の筆が住宅用地軽減が受けられなくなる等)
質問ばかりで大変申し訳ありませんが、ご教示宜しくお願い致します。
税理士の回答

石割由紀人
1. 土地の評価額の6%の賃料相当額の支払いが必要かについてですが、役員へ無償で社宅を提供し、または賃貸料相当額より低い金額で提供する場合には、その不足分が役員報酬として課税対象となります。したがって、土地や建物の固定資産税の課税標準額を使って算出される賃貸料相当額に基づき、適切な賃料を設定しない場合は、役員報酬として課税される可能性があります。土地についても同様に評価額の6%の賃料相当額を支払わない場合、役員報酬として課税される可能性があります。
2. 法人に既に1割ほど貸している部分を社宅として扱わないことには問題はありません。ただし、その部分が法人所有の建物として事務所利用が継続する場合には、賃貸契約が存在し役員個人の利益供与にならないようにしなければならないです。独立した出入口が無い場合でも、法人の実際の利用状況が役員の個人住居としての利益提供とならないよう適切に管理する必要があります。
3. 賃貸料相当額を計算する際に、役員の給与と見なされる部分を控除して、法人が利用している部分の割合を考慮するので、0.9を乗じた数値が適用されるのは誤りです。賃料相当額は建物と敷地全体の割合に基づくもので計算すべきであり、法人の利用部分を正確に見積もる必要があります。このため、法人利用部分の正確な割合で計算する必要があります。
4. 建築確認申請が1筆の敷地を基に申請されている場合でも、その土地が住宅用地の軽減措置を受けている2筆すべてに適用されるかどうかは、税制上の判断に依存します。主に、地方税法上の住宅用地特例の取り扱いにおいては、特定敷地のみへの適用となる可能性があるため、他の筆に対して軽減が継続されるか事前に確認が必要です。併せて、無償返還の届出書により賃料の取り扱いや軽減の継続が確認される必要があります。
大変詳しくご回答頂き、ありがとうございました。
賃料相当額の算定において、建物のみを法人に売却し土地を所有したままでも、土地分を含めた金額となるのは不条理な気がしますが、借地権が成立していると見做すのでしょう。
ご回答頂いた内容を反映し、今後の進め方を検討していきます。
重ねてお礼申し上げます。
本投稿は、2024年12月04日 17時55分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。