ふるさと納税の自己負担が2,000円になってない理由
住民税の通知書が届きました。きちんとふるさと納税分が控除されているか確認してみたのですが、自己負担が2,000円を超えていました。改めてふるさと納税のシミュレーションをしてみると、納税の上限額が320,000円となっているのですが、そこから還付される所得税額が84,500円、210,800円となってました。たしかにその通りの金額の所得税が還付されて、住民税の税額控除がされています。なぜ上限以内で寄附したのに2,000円の自己負担となっていないのでしょうか。
税理士の回答

丸尾和之
相談者様の課税所得が900万円前後かつ、生命保険料控除等の物的控除有りではないでしょうか。
ふるさと納税の限度額は、
住民税の課税所得✕10%✕20%÷(90%−所得税率)+2,000
で求めますが、この所得税率は、実際の所得税率でなく、
住民税の課税所得−人的控除の差額を元に所得税率表に当てはめるので、
所得税率の境目辺りの課税所得で、所得控除に物的控除があると、2,000円負担でなくなることがあります。
シミュレーションでは、この境目あたりの計算が考量されていない可能性があります。
例:事業所得9,560,000円、生命保険料控除(所得税12万円、住民税7万円)の場合
所得税の課税所得:9,560,000−120,000−480,000=8,960,000
所得税率:23.483%(復興税込み)
住民税の課税所得−人的控除の差額:9,560,000−70,000−430,000−50,000=9,010,000
所得税率:33.693%
この場合、所得税23.483%+住民税基本分10%+住民税特例分56.307%(90%−33.693%)=89.79%となり、全額(100%)控除とならないことになります。
◆ご参考
・所得税の税率
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm
ご回答ありがとうました。
おっしゃってることがよく分かりました。
ちなみに税率に違いが出た大きな原因は人的控除ではなく寄附金控除によるものでした。所得税は所得控除ですが、住民税は税額控除のため、ふるさと納税を、320,000円した分だけ所得に大きな違いが出ていました。
ちなみにこれは修正申告や公正の請求などで今から上手いようにする方法などはありませんよね、、?泣

丸尾和之
寄付金控除を入れると、確かに課税所得に大きな違いが出ますね。
すでに、令和6年分の過ぎ去った事象ですので、令和6年中の課税所得を下げる新たな事実(医療費控除等)がない限り、更正の請求等は難しいですね。
今年度以降は所得税の基礎控除額が増加し、より課税所得に差が出るかと思います。
令和7年分もふるさと納税を検討されている場合は、厳密に限度額を計算できるシミュレーターを見つけるか、お近くの税理士事務所へご相談ください。
◆ご参考
・令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025kiso/index.htm
本投稿は、2025年07月01日 23時38分公開時点の情報です。 投稿内容については、ご自身の責任のもと適法性・有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。